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老賢者は始祖になる  作者: 髙龍


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百五十九話

子供達はやる気があるだけ飲み込みが早く幻術を使った実戦形式の訓練を開始した。

この訓練を無事にやりとげれば冒険者登録を済ませ薬草採取を開始できるとあって子供達は果敢に挑んでいく。

一匹を仕留めて安心した子に注意を促すべく隙をつくように幻術の魔物を動かす。

慌てて対応しようとするがゴブリンが手に持った武器を振るう方が早く実戦では怪我を負った判定となる。

一回訓練を中止して怪我を負った子供も含め全員に硬直の危険性を教える。

訓練を再開し油断なく構えた子供達の幾人かは無事に訓練を突破して実戦に出せるようになった。

回復魔法を使える子もおりパーティーのバランスは取れており引率は付けるが安心して送り出せると安堵する。

その日は訓練を突破した子達にデザートをつけて他の子達のやる気を出させる。

翌日訓練を突破した子達を連れて冒険者ギルドに向かう。

冒険者登録を無事済ませ引率役のミリアーヌと子供達は近くの森へと向かった。

ミーシャと天ちゃんと協力して幻術魔法を使い少しでも多く訓練時間を確保する為に奮闘する。

カタリーナとラファエルは新しいクランメンバーを探すべくスラム街に行っている。

訓練を続けていると門に馬車がつけられハリー王太師が姿を見せる。

訓練を中断して自己修練をするようにいってから対応する。

「ハリー王太師殿下お久しぶりです」

「ウィリアム卿久しいな。貴殿がクランを立ち上げたと聞いて様子を見に来たのだが中々厳しい訓練をしているのだな」

「子供達を死なせるわけにはいきませんから」

「ウィリアム卿達が付与魔法を施した装備を流してくれて助かっている」

仲間達の練習の結果なのだが付与がかかっていないものと比べてれば各段に性能が上なのは間違いない。

「そういって貰えると仲間達も喜ぶでしょう」

「今日来たのは最新の魔物の生息域を調査した結果をウィリアム卿に教えるためだ」

「よろしいのですか」

魔物の生息域を調べるのは簡単ではないし機密情報に近い。

「王国軍の恥を承知でいうのだが危険度の高い場所に軍の運用が集中していて手が回っていない地域なんかもあってな。その辺をそちらで対応して貰いたいのだ」

「話はわかりました。こちらをお持ちください」

収納魔法からダンジョン産の宝飾品が綺麗な剣に付与魔法を施した物をハリー王太師に渡す。

ハリー王太師は鞘から剣を抜いて確かめている。

「これは見事な剣ですね。ありがたく貰っておきます」

用件の済んだハリー王太師が馬車に乗り込み去って行くのを確認して子供達の訓練に戻った。

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