百五十三話
仲間達と共に凶刃を振るっている人型と傭兵達との間に割り込む。
「おやおや。威勢のいい方達が来ましたね」
凶刃を振るっていた人型のターゲットが仲間達になり返り討ちにするが傷がみるみる治っていく。
「この再生力吸血鬼ですか」
「我々のことを知っているとは殊勝なことです」
礼服を着た男は何の躊躇もなくカタリーナが相手をしている吸血鬼ごと手に持ったステッキで貫いてくる。
カタリーナは影に溶けてそれを避ける。
「なるほど。なるほど。貴方方も我々と同じということですか」
「同じとは不愉快ですね」
言うと同時に動き剣を振るうが相手は影に溶けて距離を取る。
「まずは自己紹介といきましょう。私は偉大なる侯爵様に仕えるヴァンデッド伯爵と申します」
道化じみた言動とは裏腹に隙がなく一筋縄ではいかない相手だと悟る。
ヴァンデッドに仕える吸血鬼達もよく鍛えられており仲間達と一進一退の攻防を繰り広げている。
「名乗っていただかなくて結構ですよ。すぐにあの世にいくのですから」
ヴァンデッドが杖を振るうといつの間にか蛇が現れており噛み付こうとしてくる。
それを剣で弾いて防御する。
いつの間にかヴァンデッドは上空に移動しておりステッキで頭を貫こうとしてくるが影に溶け避ける。
ヴァンデッドの後ろに現れ攻撃を仕掛けるが影に溶けて避けられる。
「ふふふ。いい動きです。まるで極東の裏切り者を相手にしている気分です」
その後も攻防を繰り返すが千日手となり決着が着く気配がない。
戦闘に巻き込まれないように自然と空間が空いておりこれならば眷獣を使っても問題ないだろうと碧色の龍を呼び出す。
ヴァンデッドは影渡りで避けようとするが影を巻き込み風の刃が切り裂いていく。
礼服ごとズタボロに体を切り裂かれヴァンデッドは膝をついている。
「これほどの眷獣を秘めていたとは計算外です」
碧の龍は風の監獄を作っておりヴァンデッドには逃げ場がない。
影渡りでヴァンデッドの後ろに出ると首に吸い付き血を啜る。
生命力そのものを吸われたヴァンデッドは灰になり再生する気配はない。
戦闘を行っていたはずの仲間達が近寄ってくる。
ヴァンデッドを倒したことで連鎖的に灰になったとのことで無事難局を乗り越えることができた。
最初襲われた傭兵達は深手を負ったものの致命傷は避けておりミリアーヌと二人で治療をしてまわり無事前線に復帰させることが出来た。
ヴァンデッドを倒したことでスタンビードも小康状態になりこの時間を使って全体の体勢を整え治すことになった。




