十五話
四人に見つからないように遺跡の入り口に戻って火の番をしているとダッカス達が戻ってきた。
「最初は面倒な依頼だと思ったがこれを見れただけでも十分だな」
「えぇ、今の天体と多少違う所もあるようですが概ね同じのようですし古代文明の技術力は凄いですね」
少し興奮気味に話す三人。
「アーネストさんはあの状態でもう一度隅々まで調べ直すそうです」
研究者魂に火が付いたのだろう。
自分も研究に熱中すると時間が経つのを忘れた口なので気持ちはよくわかる。
しばらく四人で雑談していると慌てたアーネストが遺跡から出てくる。
「そんなに慌ててどうした」
「皆さんこれを見てください」
と先ほどこっそり置いてきた宝珠を出しながら興奮気味に捲し立てる。
「その玉がどうしたっていうんだ」
「私が思うにこれがあればゴーレムを操作できるんじゃないかと」
「ゴーレムを操作ってロッテムハルト伯爵家が持ってたっていう宝珠なのか」
「その可能性が高いですね」
リラックス効果のあるハーブティーを入れてアーネストに手渡す。
「これでも飲んで少し落ち着いてください」
「ありがとうございます。はぁ、これ美味しいですね」
ゴーレムの操作自体は念じるだけと簡単なのだが加減をするのが難しいという問題がある。
例えば、木材を運べと命じたとする。
力加減を間違えて木材を折ってしまったりするのだ。
ちなみに待機中のゴーレムの命令は管理者以外は追い返せである。
「しかし、どうやって操作するんだろうな」
「試しに少し実験してみましょうか」
アーネストが宝珠を掲げながらゴーレムに近づいていく。
「手を挙げろ」
ゆっくりゴーレムが両手を挙げる。
「命令を聞きましたね」
その後も、色々な命令を出して何が出来て何ができないのかを確かめていく。
一通り試して満足したのかアーネストが戻ってくる。
「いやぁ、これは世紀の大発見ですよ」
「ゴーレムが戦力として使えるかはわからねぇ。今日も交代で見張りにつくぞ」




