百四十五話
クランを創設して最初にしたことは領主から許可を取り大工ギルドに依頼を出して街の外にクランの拠点を作ることだった。
動けるメンバーにミリアーヌとミーシャをつけて近隣の森に薬草採取にいって貰っている。
残ったメンバーにはカタリーナと天ちゃんにラファエルが指導を続行している。
先の防衛線で活躍したことにより加入希望者が集まってきて指導は忙しいようだ。
自分は何をやっているかと言えばクランメンバーに持たせる為に大蛇の皮を加工して鞄を作りマジックバックの量産をしている。
クランの経営は持ち出しで赤字だが出来ることをコツコツと進めていくしかないと割り切り覚悟を決める。
この辺りの村は大事な食料供給源なのだが防衛に手を回すことができず荒れ果てて機能していない所もあり物価が高い。
胃が弱っている人たちには野菜スープを与え大丈夫な人には収納魔法の肥やしになっている肉を中心とした食事になっている。
「ウィリアムのおじちゃん衛兵の人が来てるよ」
作業に没頭していた所にクランメンバーの子供が声をかけてくる。
「ありがとう」
お礼を言って頭を撫でてあげる。
「こっちだよ」
子供の後をついていくと衛兵隊長が待っていた。
「わざわざ来てもらってすみません」
「いえいえ。お忙しいのはわかっておりますから。折り入ってご相談があります」
「なんでしょうか」
「少しでもスタンビードを遅らせる為にダンジョンの間引きを行おうと思うのですが合同でできないかと」
「メンバーは実戦経験が圧倒的に足りてませんからよろこんで協力させていただきます」
その後は細かい調整を衛兵隊長と詰める。
間引きに参加するのは動けるメンバーに集団行動を叩きこまれた人達と怪我をした時の為にミリアーヌと自分が参加することにする。
「それでは明日はよろしくお願いします」
「迷惑をおかけするかもしれませんがこちらこそよろしくお願いします」
話し合いが終わり戻ろうとすると子供達に囲まれる。
稽古をつけて欲しいと口々にする子供達に幻術でゴブリンやウルフを再現して相手をする。
うまく動ける子もいれば恐怖で訓練の結果を生かせない子もいる。
丁寧に指導をして恐怖を取り除き少しずつではあるが教え通りの動きを取れるようになる。
倒せれば褒めて自信がつくように誘導すると的確に武器を振るえるようになった。
まだまだ実戦に投入するには不安が残るが子供達の育成も順調と言える。
子供達は体力の限界まで模擬戦を繰り返し今は休憩している。




