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老賢者は始祖になる  作者: 髙龍


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百四十三話

マキート王国の応接室には相も変わらず執事が待機しており国王陛下と宰相を呼びに行く。

二人はそう待たずに現れて本題に入る。

「アスカ皇国に関しては魔王からの襲来に備えるために軍備を固めているようです」

「そうであったか。魔物被害が増えているうえで戦争にでもなったらとても対応しきれぬからな」

「ウィリアム卿達は今後どうするのですか」

「リーン連邦のイルム地方のダンジョンで経験を積もうかと考えております」

「なるほど。あの地方は大陸でも屈指のダンジョン地帯であったな」

「実は戦利品の処理に困っていて王都の冒険者ギルドに卸そうかと考えているのですが」

「そういうことなら無論構わぬ。王宮でも買取を受け付けよう」

「ありがとうございます」

国王陛下と宰相と別れ戦利品を買い取って貰うために官僚の案内を受けて備品局に向かう。

「不足している物を中心に売りたいと思っているのですが何か希望はありますか」

「そういうことでしたら即座に仕える防具や武器などがあれば嬉しいのですが」

「それではハイオークとハイリザードマンにリビングアーマーから取れた物を中心にお出ししましょう」

指定された場所に装備品を出していく。

かなりの量になったが担当官の人は笑顔で支払いを済ませてくれる。

王宮を出た後は急ぎ市場をまわり野菜を中心に買い込んでいく。

店じまい間際ということで値引きしてくれてかなり安く仕入れることができた。

その後は冒険者ギルドに向かい買取をお願いする。

ここでは防具の素材となる皮や魔石を中心に買い取って貰い路地に出て人がいないのを確認してイルムの街に転移した。

戻ってきたのを気配で感じとった仲間達が寄ってくる。

「師匠。お疲れさまでした」

「無事に仕入れてくることができました」

「こちらは訓練で疲れたのだろうな皆静かに眠っている」

「そうですか。今後の予定を決めておきましょうか」

「子供達はまだ体が出来上がってない子が多いから体力作りをかねて素振りを中心に教えようと思います」

「大人達は皆真剣に訓練に取り組んでいるが出来るものと出来ない者の差が激しいな」

「出来る人達はウィリアムさんに幻術魔法で実践さながらの訓練をお願いするとして動きに不安の残る方は集団戦を徹底的に叩き込もうかと思います」

「方針はわかりました。それでいきましょう」

いつスタンビードが起きるかわからない現状少しでも生き残れるように訓練を施す。

全員が生き残るのは難しいかもしれないが今は出来ることを全力でしようと決めるのだった。

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