百三十四話
幾度目の挑戦かもわからないぐらいカグラとの衝突でついにカグラに傷をつけるのに成功した。
「ほう。我に浅いとはいえよく傷をつけたの」
眷獣である風の龍の力も全快ではないとはいえようやく体に馴染んできた。
今の感覚を忘れぬように風をまといながらカグラに斬りかかる。
カグラの刃は風に阻まれカグラが反応できぬ速度で剣を振るう。
薄っすらとだがカグラに傷を与えることにまたしても成功する。
「眷獣を解き放つまではいかんくても大分うまく使えるようになったやん」
カグラは構えを解くと座り込み横をポンポン叩いて隣に座るようにいってくる。
恐る恐る隣に座ると無言で杯を突き出してくるのでそれを受け取りお酌を受ける。
「実をいうと眷獣を従えるのに手っ取り早いほうほうがあるんよ」
「そんな方法があるんですか」
「強者の血を取り込めばええんよ」
「強者の血をですか」
「そう。私の血を取り込めばええ。ただし強すぎる力を急に手にして力に溺れるようなのもおるから今までの戦闘でウィリアムはんがどっちなのか見極めさせてもろうた」
「それで私は合格ですか」
「絶望的な力の差にもめげずに挑んできてついには私に一太刀あびせたんや。十分合格やで」
これからカグラの血を吸うのだと思うと意識してしまいドキドキしてくる。
それを誤魔化すように杯に注がれた酒をクイっと飲み込む。
「ウィリアムはん。私もウィリアムはんの血を吸わせてもらうよって。真祖同士の血の交換は力を得る為であると同時に同盟の締結を意味するんや」
「未熟でどこまで役に立てるかわかりませんがよろしくお願いします」
「ほな。覚悟はいいかや」
カグラは首を晒して血を啜るように促してくる。
カグラは美女といっていいほどのいい女だ。
色香に惑わされそうになるが精神力を集中して抑え込む。
カグラの首に牙を突き立てると同時にカグラも首に牙を突き立ててくる。
互いに血を啜りえも知れない快感が全身を巡る。
お互いに十分な量を啜った後牙を離してしばらく見つめ合う。
「これでわらわとそなたは深い関係で結ばれたよって」
カグラは誤魔化すように離れ酒瓶から杯に酒を注ぐとそのまま飲み込む。
「これで眷獣全てとはいわへんが顕現させられるようになったんとちゃうかな」
言われてみれば全身から力が湧き上がってくるのに気が付く。
大古から存在するカグラの血を得たことによって自分の強さのステージが何段階も上がったような気がする。
「今なら眷獣を召喚できそうな気がしますね」




