百三十一話
ここはどこだろうか。
どこまでも続く深淵の闇の中に気が付けば漂っていた。
何かの話声が聞こえる。
「ぬしは宿主をもっといたわらんか」
「あの程度の力に耐えられんとはなんと軟弱なことか」
「経験が圧倒的に足りていないのだ。我らを扱うにはまだまだ未熟よな」
声のする方へ近づいていく。
「おお。宿主殿目覚めたか」
「ここは一体どこで貴方達は何者なんですか」
「ここはお主の精神世界で我らは主の体に住んでいる眷獣じゃよ」
「私の中にですか」
目が慣れてきて眷獣の姿が見えてくる。
とぐろを巻いた巨大な蛇のような体に頭には立派な角をはやしている。
「宿主よ。お主我らを見て蛇のようなと勘違いをしているようだが我らは東洋における龍である」
「それは失礼しました」
「儂らは主が吸血鬼になる前からこの体に住んで居ったわけだが人間には過ぎた力であるからな。寝ながら主に力を貸してきた。カグラとかいう小娘との戦いで強制的に儂と暴れん坊が目覚めたわけじゃ」
「眠っていた力を目覚めさせるのが目的でしたからね」
「普通のものならそれで構わぬかも知れぬが我らは力そのもの。本来ならゆっくりと時間をかけて目覚めさせる必要があった。今のままでは儂らは十分な力を発揮できぬ」
「どうすればいいのですか」
「悠久の時を過ごし少しずつ力を蓄えればよいと言いたい所ではあるが今力が必要なのであろう」
「簡単なことよ。我らと精神世界で対峙し圧倒的な力を示せばよい」
「そうはいうがな。今の宿主殿では万に一つの可能性もないことを主も分かっておるだろうに」
二匹の龍からは圧倒的な力を感じる。
今にも襲い掛かってきそうな黒い龍を碧色の龍が牽制しているように思える。
「黒いの主が勝手に目覚めるからそれを抑えるために我まで起きることになって宿主に負担をかけていることに気が付いておるか」
「お前が眠れば全て解決ではないか」
「それをしたらお主は宿主の体を無理矢理奪って滅びるまで暴れまわるだろうに。それでは困るからこういう状態になっている」
「ふん。こうしていても埒が明かぬな。我は今一度眠りについてやろう」
眷獣達は勝手に話を進めていく。
「やれやれ勝手な奴だ。宿主殿よ。我が代表して力の一部を貸そう。我が司るのは風の属性だ」
「風の属性ということは他にも」
「宿主殿の中には全属性に特殊な属性を操るものまで含めて大量の龍が眠っておる。今は我の力を使いこなすことだけを考えればいい」
意識が浮上していく感覚に身を任せ現実世界に帰還する。




