百二十八話
カグラはこちらが知りたかった情報をあっさりくれた。
信用するかどうかは別としてとてもありがたい。
「さて。本題に入らせて貰おうか」
「本題ですか」
「真祖になったといってもウィリアムはんは力の使い方をわかってないのと思ってな」
その一言にグサリと刺さるものがある。
とてつもない潜在能力があるような気はしていたがどう引き出したらいいのかわかっていない状態だ。
「その顔は自覚があるようやな。本来は長い時間をかけて自分で気が付いていくものやけど今回は時間がない。手っ取り早く教えてあげようと思ってな」
「どうして新説に教えてくれるんですか」
「そうやね。魔王達はこちらにいる者には容赦なく牙を剥いてきよる。吸血鬼も人間も関係ない。自分と身内は力で守るしかないんや。魔王の数は膨大や。私らだけで相手にするのは骨が折れる。教えることで少しでも楽をしたいって理由やわ」
理由はそれだけというわけではなさそうだが納得できる。
「まずはそうやね。ここにいるお嬢さん達を大切に思うのなら全員眷属にすることや。眷属化は力を分けて貰うと同時に加護を与えるちゅうことや。デメリットを不安に思ってるのかもしれへんけど悠久の時を共に過ごすってことぐらいやな。中にはそりが合わなくなって袂をわかつような子もおるけどそん時はそん時や」
仲間達の方を見ると全員頷いている。
「お嬢さん達の覚悟はできてるようやね。男の甲斐性をみせや。特訓はそうやね。時間もあまりないし今夜からはじめるで」
それだけ告げるとカグラとアイリは影に溶けて消えていった。
「前にも伝えたと思うが私は構わないぞ。元々悠久の時を生きる天使だしな」
ラファエルを筆頭に天ちゃんとカタリーナも続く。
「ウィリアムさん私も悠久の時を生きる神獣だからね。構わないよ」
「ウィリアムさん私も皆とずっと一緒にいたいです」
彼女たちの覚悟は固いようだ。
「少しだけ考える時間をください」
それだけ伝えると考えごとをするためにお風呂に向かう。
体を洗い湯船につかりながらみんなの人生を変えてしまっていいのかを考える。
彼女たちの覚悟は受け取ったのだ。
自分の覚悟を固めるべく顔をなんどかパンパンと叩く。
覚悟を固めおえ眷属にするべく彼女達の部屋を訪れる。
「覚悟は決まりましたか」
ラファエルは躊躇なく首を晒す。
色香に迷わされそうになるがラファエルの首筋に牙を突き立て血を啜ると同時に因子を送り込む。
覚悟を決めて臨んだためか全快と違い欲望は沸いてこない。
天ちゃんとカタリーナにも同じように牙を突き立て眷属化した。




