百二十七話
吸血鬼を名乗る少女は部屋にトコトコトコと入ってくると遠慮なく椅子に座る。
「まぁまぁお兄さんそんなに警戒しないで敵対する為に来たんじゃないんだから」
意図を掴みかねて質問する。
「では何をしに来たのかな」
「私はお姉さまの指示で新しく生まれた真祖を探してるだけだよ。お兄さん知らないかな」
「お姉さまとは」
「お姉さまはね。大古から存在する吸血鬼の真祖なの」
「借りに私がその真祖を知っていたとしてどうするつもりなのですか」
「お姉さまの考えはわからないけれど新しい同胞に会いたいだけじゃないかな」
少女は矛盾する言葉を発してどう受け取ればいいのか悩む。
同じ真祖に会ってみたい気持ちはある。
一見油断だらけに見える目の前の少女も相当な実力を感じる敵対することになった時仲間を守ることができるだろうか。
どう対応しようかと悩んでいると女性陣が戻ってくる。
「師匠。いいお湯でした・・よ」
「ウィリアムさんその少女からただならぬ気配を感じるんですけど」
女性陣は見慣れぬ少女に警戒心を露にする。
「へぇ。こっちのお姉さんと獣人の子は同族ね。っで天使と神獣に子供か。変わった面子ね」
言い当てられたことに仲間達の警戒心がさらに上がる。
「この子何なの」
「まぁまぁ。戦う気はないから安心してよ。それに力の使い方をわかってないお姉さん達じゃ逆立ちしても私には勝てないよ」
「そこまでにしとき」
急に声がしたと思ったら少女の影から一人の美女が現れる。
「お姉さま。もうお着きだったんですか」
少女は先ほどの挑発的な態度から一転嬉しそうに笑顔を浮かべる。
「あんたが新しく生まれた真祖やね。神の奴から聞いとるよ」
美女からただならぬ気配を感じる。
「自己紹介しとこか。私の名前はカグラ。この子はアイリや」
「ウィリアムと申します」
「ウィリアムねぇ。西の国にいた大賢者と同じ名前やね」
「ずいぶん情報に詳しいのですね」
「不定はせえへんのやね。情報は何よりも大事やからね。眷属に加えられるような偉人については徹底的に調べるようにしとるんや」
「それは光栄だと思えばいいのですかね」
「眷属に加えようと思ったら噂を聞かないようになって死んだと思っとたんやけどね」
「アスカ皇国が軍備を固めている理由なんかは知らないですよね」
「それは簡単や。皇国には神託の巫女ちゅう神とやり取りできる子がおってな。鬼の季節。こっちでいう魔王が続々と現れるって神託を受けたんや。国を守るために防備を固めるのは当たり前やな」




