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老賢者は始祖になる  作者: 髙龍


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十二話

ボンドさんの誘いを受け昼食をご馳走になることになった。

彼の護衛を引き受けた冒険者達がてきぱきと準備してくれる。

メニューは固めに焼いたパンに干し肉、乾燥させた野菜をお湯で戻したスープ。

移動中にスープが付くのは十分贅沢と言える。

なんと言っても水は嵩張る上に貴重なのだ。

ボンドさんは工芸品や日用雑貨を村々に卸し村から食料品を買い取ってロッテムハルトで卸す仕事をしているそうだ。

食事も終わりしばしの休息の後、ボンドさん達はもう少し休憩してから出るということで先にお暇させてもらうことになった。

「今回は本当にありがとうございました。おかげで商売を続けることができます」


それからは何事もなく順調に進み夕方頃、適当なスペースを見つけ野営の準備を始めた。

「そういえば、ダッカスさん達はなんで今回の依頼を受けたんですか」

「俺達は、不人気依頼を受けるのを信条としていてな」

「報酬は安くて学者先生の相手、そのうえ今回はゴーレムと戦うことが決まってる」

「アーネストさんは違いますが学者さんの中には偏屈な人とか無茶振りしてくる方も多いですからね」

「私も、もう少し依頼料をあげたいところなのですが無い袖は振れなくてですね」

と苦笑いをしているアーネストさん

収納魔法から食材を取り出しながら会話を続ける。

「なるほど。困っている人がいたら放っておけないタイプですか」

「今回はウィリアムさんが同行してくれて助かっています。荷物を持っていただけたことで予定より早く進めています」

本日のメニューは前回買いすぎて余っていた肉の串焼きに果物。ダッカス達が用意してくれた乾燥野菜に干し肉を入れたスープだ。

魔術師がパーティーにいると食事に余裕がでてくる。

重い水を運ばなくていいことによりその分を他に回せるからだ。

「飯を食べながら聞いてくれ。今日の見張りだがロンとフェンが先でいいか」

「ウィリアムさんがそれで構わないなら私達はそれでいいですよ」

「それでは食べ終わったら先に休ませていただきますね」

食事を終えサーチにアラームの魔法を組み合わせて発動させて横になる。

これで何かあってもすぐ対応できるはずだ。


何事もなく時間はたち、ロンとフェンと交代して火の番をする。

コーヒーを入れてダッカスに渡し、自分も口をつける。

「悪いな、いい眠気覚ましになる」

とりとめのない会話をしながら時間を潰しているとサーチにウルフの反応をキャッチする。

二人を起こすまでもないと判断しダッカスに許可を貰い狩りに向かう。

ウルフの数は五匹、的確に急所に風魔法を当てていき瞬殺して収納魔法に収めていく。

仕上げに血の匂いで他の獣が近づいてこないように拡散してみんなの所に戻る。

「おつかれ、探索魔法ってのは便利なもんだな。俺みたいなのは襲われる直前に気づくもんなんだが」

「そんなに難しい呪文ってわけじゃないからロンに覚えて貰うのもいいかもしれないな」

その後は何事もなく時間が過ぎていき朝を迎えた。

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