百六話
「皆さまおかえりなさいませ」
帰ってきた気配を感じ取ったのか天ちゃんがミーシャに飛びつく。
「天ちゃんいい子にしてましたか」
天ちゃんの愛らしさに緊張していたカタリーナも笑顔を浮かべる。
「可愛いです。撫でてみてもいいですか」
「賢い子だから大丈夫ですよ」
カタリーナは恐る恐る手を伸ばしすぐに大胆に撫ではじめる。
「わぁ。モフモフです」
天ちゃんも構って貰えてうれしいのか尻尾が揺れている。
「私は少しやることがあるので皆はくつろいでいてください」
自室に戻りハイオークからの戦利品の中でカタリーナが使いやすそうなショートソードを出し斬撃強化と耐性強化の付与を施す。
下級竜の皮で鞄を作りそこに空間拡張と時間停止の魔法をかけアイテムバックを作る。
最後に下級竜の皮で動きやすさを重視した皮鎧を作り各種耐性強化と体温調節の魔法をを施した。
カタリーナ用の装備を一式作り終え居間に向かうとみんなはお茶会をしていたようだ。
「楽しそうですね」
「師匠も一緒にどうですか」
「それでは混ぜてもらいましょうかね。カタリーナに私からプレゼントがあるのですよ」
先程作った装備一式を手渡す。
「ありがとうございます」
カタリーナは皆に手伝って貰って装備を身に着けてみせる。
「サイズはぴったりのようですね」
「カタリーナちゃんよく似合ってますよ」
セバスチャンが給仕してくれた紅茶を飲みながら今後の予定を話し合う。
「明日からはしばらく天ちゃんとカタリーナの狩りを中心に行おうと思うのですが」
「私は構いませんよ」
「私もいいですよ」
「私は少し天界に戻ろうかと思います」
ラファエルは天界に用事があるようだがミリアーヌとミーシャは賛成してくれる。
「ミリアーヌとミーシャは薬草採取をお願いしますね」
「薬草採取かぁ。久しぶりだなぁ」
「調合で使うことはありましたが採取ははじめてです」
「それではゆっくり休んでください」
お茶会はお開きとなりそれぞれ部屋に戻っていく。
居間に残りワインを楽しんでいるとセバスチャンが話しかけてきた。
「ウィリアム様この屋敷もずいぶん賑やかになりましたね」
「そうですね。一人で好き勝手するのもいいですが弟子を育てるというのもいいものですね」
「楽しそうですね。私も配下を育てていた時に似たように感じたことがございます」
「配下といえばフランチェスカをはじめ変わった子が多いですがどうやって出会ったのですか」
「孤児であったりとか困っているところを助けた子ばかりですね。甘やかしすぎたのか個性的な子ばかりになってしまいましたが」
「私も過保護にしすぎてるとは思うのですが中々難しいものですね」
その後も夜は静かに過ぎていった。




