十話
依頼表の所で次はどうするか考えていると先日話しかけてきた男が声をかけてくる。
「収納魔法を使える奴がDランクの奴に襲われたって聞いて心配してたんだが無事そうだな。数日見かけなかったから心配していたんだ」
「数日、森に採取にでかけていたので」
「ソロで森に連泊か。余程腕に覚えがあるんだな。よかったらそっちで少し話さないか」
ギルドに併設された酒場の方を促してくる。
時間も空いているし何かを得られるかもしれないと快諾し彼の仲間が取っていた席に共に腰を下ろす。
取りあえずエールを頼み自己紹介をする。
「私はウィリアムといいます」
「俺はダッカスだ。ロープを着ているのがロン。ちっこいのがフェンだ」
「ウィリアムさんはこの国にかつて居た大賢者と同じ名前なのですね」
まさか同一人物とは言えず苦笑いする。
「名前負けしていないといいのですが」
「いやいや、収納魔法を使えてDランク冒険者を返り討ちにできるというだけで十分すごいですよ」
絡んできたDランク冒険者は普段から素行が悪く尾ひれがついて話題になっているらしい。
「話題は変わるんだが、俺ら遺跡発掘をする学者先生の護衛を引き受けようと思ってるんだが一緒にどうだ」
この辺りの遺跡は全て調査済みのはずだが新しい遺跡でも見つかったのだろうか。
「えぇ、丁度手隙ですしかまいませんよ」
「なんでもゴーレムが遺跡を守ってるらしくて近づくと襲ってくるらしい」
その話を聞いて冷や汗を流す。
盗掘者避けに何か所かゴーレムを配置していたのを思い出したからだ。
「場所はどの辺りかわかりますか」
「俺達も場所はわからねぇが、行きに二日調査に一日の帰りに二日の日程らしい」
それぐらいの日程で行ける場所と言ったらカルチェラタン遺跡だろうか、あそこは価値としては古代文明の様式を復元させ保全の魔法をかけていたはずだ。
その後もダッカス達との会話を楽しみ最後に依頼の合同受注を申請して別れた。




