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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
高校生の日々を 2

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第97話 レベル上げのお誘い




「そういえば、康太、お金のこと言わなかったな?」

「今の大輔に言っても返せないだろ?

だからこそ、冒険者を続けてほしかったんだよな……」


「……お前、いい性格してるな」

「そうか?」


喫茶店からの帰り、悠太と少し話しながら歩いていた。

いい性格か?よくわからないが、冒険者としてじゃないと返せない額だしな。

大輔の他にも、神田さんがいるし、あと二人いるんだよな……。


……悠太、複雑な表情で俺を見るなよ。


「なあ、お金、困っているなら、俺が貸そうか?」

「悠太、俺は友達から借りるつもりはないぞ?」

「そうか……」


悠太の提案はありがたいが、友達にお金は借りたくないんだよな。

俺の認識だと、友達とお金の貸し借りをすると、将来疎遠になる気がするんだよな……。

……もちろん、勝手な思い込みかもしれないがな。




▽    ▽




次の日、俺と悠太は今日も喫茶店に来ている。

今回は、俺が呼びだしたんだよね、大輔のパーティーメンバーを。


「……昨日の今日で、何の用だ?」


新見 大輔。この冒険者パーティーのリーダー。

ただ、高木さんと一条さんのことがあり、現在は解散している。

短髪で細いメガネが特徴のイケメンだ。

筋肉も体力もあるが、ゲームが三度の飯より大好きな男である。


「……このメンバーで集められても、居心地が悪いだけなんだけど?」


神田 蓮花。高木さんと一条さんを誘った元同級生だ。

クラス委員長でもないのに、率先してまとめ役になる女性だ。

そのため、先生に信頼されている。

長い黒髪でいつも白いリボンで纏めているのが特徴。


「話はもう着いているので……」

「これ以上、揉めるのは……」


高木 岬と一条 奈々美。今回の件の被害者だ。

借金奴隷として、オークションにかけられた被害者。

地球に帰ってから、大輔たちと竹原さん立会いの下話し合い、パーティーを解散。

男子どもには、竹原さんと高木さんに一条さんの左拳が炸裂。

女子には、謝罪と賠償を約束させ、冒険者として返済させることに。


「……ご、ごめんなさい……」


内村 一花。神田さんの友達で、高木さんと一条さんは同級生。

強く出られると、自分の意見を押し殺してしまう性格で、神田さんに誘われ帰ってしまった女性だ。

ただ、高木さんと一条さんのその後の状況を知って心の底から反省している。

長い黒髪を、後ろで三つ編みにしている。おとなしいが印象の女性。


「………」


佐々木 竜也。大輔の幼馴染で、ゲーム仲間でもある。

こちらも大輔と同じ、短髪でシルバーの丸眼鏡をしている。

特徴としては、高校生で無精ひげな所か。

ポッチャリな体を締めようと、大輔に冒険者に誘われ参加した。



さて、この大輔のもとパーティー六人を集めたのは、次の日程を知らせるためだ。

すでに、竹原さんによって制裁は済んでいるが、賠償はまだだ。

しかし、このままではいつお金が返ってくるか、高木さんと一条さんに賠償がいくか分からない。


もしかしたら時間がかかって、うやむやになるかもしれない。

そこで俺は、この連中のレベル上げを提案した。


無論、悠太たちみんな、難色を示したが賠償のこととか、落札金のこととかを話すと、しぶしぶ了承してくれた。


「みんなに集まってもらったのは、冒険者としてもう一度パーティーを組んでもらうためだ」

「「「は?」」」


「まあ、そんな反応になるのは分かっていた。

だけど、みんな冒険者は続けてもらうとしても、賠償が今のままだといつになるか分からないだろ?」

「……まあ、そう、だな……」


大輔が、他のメンバーを横目でチラチラ見ながら、居心地が悪そうに答える。

他のメンバーも同じ反応だ。


「そこでだ、俺たちが手を貸してレベル上げを手伝ってやる。

その代わり、レベル上げ中の獲得金は分配しない」

「な、そ、それは……」


「竜也、話は最後まで聞けって」

「う、うん…」

「レベル上げ中の獲得金は分配しないで、その獲得金を賠償に回して計算する。

まずは、オークションの落札金を返金後、賠償金を計算。

賠償金はいくらになってる?」


俺が高木さんと一条さんに質問すると、一条さんが答えてくれた。


「ハルちゃんが、1人金貨百枚でどうかなって。

日本円で、一千万円になるからって……」

「慰謝料とか考えたら妥当じゃないかって……」


金貨百枚って、またすごい値段の様な気がするけど、四人でってことなら大丈夫かな?払える額、だよな……。

俺の方は、妹の凜に借りているお金の金貨百枚でいいか……。


「……それじゃあ、四人で合わせて金貨三百枚を払うことになるな」

「な、金貨三百枚だと!無理だ!」

「そ、そうだよ。僕たち、まだレベル1だよ?!」


「あ、あなた達、人の弱みに付け込み過ぎじゃない?!」

「れ、蓮花ちゃん……」


「……」

「………」


やっぱり、文句も出るよな……。

レベル1の人間に払えって言われても、払えるわけないよな。

まあ、だからこそ、レベル上げを提案しているんだけどね。


「落ち着けって、今の大輔たちに払えないのは分かっている。

だからこそのレベル上げの提案だったんだ。

レベルが上がれば、冒険者としての収入も増える。

俺たちと一緒にパーティー組んで、レベル上げをしようって言っているんだよ。


そして、そのレベル上げの間に手に入れたお宝や魔物の素材などを売ったお金を、賠償に回すって言っているんだ」


「……てことは、金貨三百枚払えるまで、レベル上げを手伝ってくれると?」

「ああ、どうだ?

これで、冒険者としての依頼も魔物との戦闘も、またこのメンバー以外とパーティーを組んでも、優位に立てるかもな?」


「「「………」」」


さて、この悪魔の提案に了承するか、断るか……。

まあ、普通は断らないよな……。


じっくり考えた大輔たちも、このレベル上げに賛成した。





今日は、ここまで。

次回は、一回休みです。









第97話を読んでくれてありがとう。

次回は、一回お休みです。

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