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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
高校生の日々を 2

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第96話 お仕置きを受けた人




真之介さんとさやかさんは、祈りながら転送陣で地球に帰還した。

そして、帰還してすぐに立ち鏡で確認すると、真之介さんは少しだけ痩せていた。

しかも、不摂生で抜けたりかけたりしていた歯は、すべて生えそろっている。


さやかさんは、少し若返っていたようだ。

小じわが消えているって、喜んでいた姿を思い出す。

二人とも、冒険者になり異世界に行って良かったって心から喜んでいた。


今度は、向こうで冒険者らしい生活を経験してみると言っていたな。


後、妹の凜と友達の忍ちゃんは、次は同年代の友達を誘ってパーティーを組んで冒険者をする予定だそうだ。


レベルは上がったものの、冒険者としての経験がない事に不満を漏らしていた。

だから、冒険者として依頼を受けて、過ごしてみたいらしい。


まあ真之介さんたちは、今後自分たちで動いていくだろう。

そのうち、向こうで一緒に依頼をすることもあるかもしれない。


問題は、俺たちの方だ。

正確には、日向さんたちが動いたらしい。


こっちに帰ってきてすぐの、三月下旬。

もうすぐ新しい学年とクラスを発表というこの時期に、俺と悠太は呼びだされた。


場所は、高校近くの喫茶店。

店に入って、すぐに呼びだした奴が俺たちを見つけ手招きする。



「……どうした大輔、いきなり呼びだ……した理由は分かった」

「……分かって、くれひゃか」


友達の手招きを見つけ、俺と悠太はその席に近づき後ろを向いたままの友達の前に回り席に座ると、左頬をはらした大輔を確認した。


「さっきまで、竹原と一緒に、高木と一条がいてな。

思いっきりぶん殴られたんだよ……」

「まあ、それだけのことをしたんだからしょうがないだろ。

俺たちには庇うことはできん」


悠太にそう言われ、少し落ち込む大輔。

多分、散々怒られたんだろう。

そのうえで殴られたんだから、自業自得というものだ。


「それで、これからどうするんだ?」

「これからか?」

「ああ、冒険者を続けるのか、それとも向こうの世界行くことをあきらめるのか……」


俯いて、考える大輔。

俺としては、冒険者として一からやり直してほしいんだけどね。

大輔たちは、スキルの使い方や習得の仕方を間違えただけなんだよな。


ちゃんと、習得できていれば冒険者として生活できていただろう。


「そのことなんだけどな、康太と悠太には力になってほしいんだよ。

高木と一条にも冒険者に誘った責任を取れって言われたからな……」


「……俺は、構わないぞ。

スキル使い方さえちゃんとしていれば、高木さんと一条さんの出来事は起こってなかったことだからな……」


「……俺は、反対だ。

高木と一条のことに関して俺は怒っているんだ。

今さら、冒険者で何する気だよ。逃げ出したんだろ?面白くなくて」

「……」


ゆ、悠太が厳しい。

こんなに怒っているってめずらしいな。


「まあそんなに攻めるなよ、悠太。

その辺りは、大輔の左頬が表しているじゃねぇか?」

「けどよ……高木も一条も奴隷落ちしてたんだぞ?

しかも、康太が落札してなけりゃ今頃どうなっていたか……」


「俺は、その辺りも含めて冒険者としてやり直してほしいんだよ。

本来、俺たちにとって向こうの世界ってのは言わばあこがれの世界だろ?

魔法があって魔物がいて、冒険者にエルフに獣人。

そんな世界を、ちょっとしたミスで嫌いになってほしくないんだよな」


「康太、それは違うぞ?

俺は、高木と一条に対してしたことを怒っているんだ。

どう落とし前をつけるのかってな」


「それこそ、高木さんと一条さんがつける話だろ?

悠太が怒ってどうするんだよ。

大輔の左頬を殴って、お終いじゃないのか?

後は、これからどうするかをしていくしかないだろ?

すぐのすぐ許してもらえるとは思えないけど、こういうのって時間が必要だろ」


「う~ん……」

「悠太が怒っても、解決にはならないよ。

大輔も、高木さんや一条さんに誠意を見せるなら、俺は冒険者を続けてほしいんだよな」


大輔は、真剣に考えこんでいる。

犯してしまった罪は消えないのだ。だが、それを償うには謝罪と誠意が必要だ。

でも、その謝罪と誠意を受けた本人ではなく周りが求めることは間違っている。


こういうことは時間が解決することもあるのだ。

周りが煽っていては、いつまでも解決にならないと思う。

本人同士で、解決したなら周りはそれを受け入れないとな……。


「高木さんも一条さんも、冒険者として責任を取れって言ったんだろ?」

「……ああ、誘った責任を取れってな……」

「なら、冒険者として続けていくしかないよな」


俺のセリフに、大輔は分かったとだけ言った。

悠太は終始、機嫌悪かったけど最後は渋々頷いてくれたよ。


次の異世界へ行くときは、大輔たちも一緒に行ってパーティーを組むことに……。




▽    ▽




「……それで、次はいつ向こうに行く予定なんだ?」


喫茶店からの帰り、悠太に次の予定を聞かれた。

そういえば、言ってなかったな……。


「次は、ゴールデンウィークの十連休に向こうへ行く予定だ」

「十連休か……」

「後で、日向さんたちにも連絡する予定だけど、悠太がやるか?」


「いや、康太に任せる。

俺たちのパーティーのリーダーだしな。

で、その十連休に大輔たちも誘うのか?」

「まあな、大輔たちに冒険者とはこうだってところを見せて、本物を分かってもらわないとな」


「本物の冒険者か……」


本物の冒険者がどういうものか、漠然としか分からないけど、大輔たちのゲーム感覚は捨ててもらわないとな。




今日は、ここまで。

次回は、他にお仕置きを受けた人たち……かな?








第96話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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