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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
お試しの冒険者ギルド
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第9話 自分の武器と防具




異世界の冒険者ギルドで、二人の女性エルフを見て固まっていた悠太たちは、5分ほどでようやく動けるようになった。


日向さんと新城さんは、エルフの女性たちの美しさに見惚れて動けず、悠太は、あこがれのエルフの女性を前に、緊張と美しさに体が動かず固まってしまったようだ。


「2人とも、大丈夫?」


エルフの薄緑の髪の女性が、日向さんと新城さんに声をかける。

心配な顔で、話しかける姿はやはり美しいものだ。


「は、はい、もう、大丈夫、みたいです……」

「私も、大丈夫です……」

「そう、よかったわ」


日向さんと新城さんは、近づくエルフの女性に顔を赤くして緊張しているが、エルフの女性は、二人の大丈夫ということに安心したようだ。


そして、もう1人のエルフの女性は、俺の側で、悠太の心配をしていた。


「あの子、固まっていたけど、大丈夫なの?」

「……もう、大丈夫みたいですから、自己紹介と部屋の説明をお願いします」

「分かったわ」


そう言って、悠太を心配そうな表情で見ると、一回頷き、俺の側でみんなに声をかけた。


「それじゃ、まずは私たちの自己紹介からね?

私の名は、シンシア。この冒険者ギルドナブト支店の職員です。

今日は、この新人冒険者の武器部屋の担当となっています」


「次は私ね。

私の名前は、シャーリー。同じく冒険者ギルドナブト支店の職員です。

私も今日は、この新人冒険者の武器部屋の担当よ」


それぞれがあいさつをし終わるたびに、よろしくね、と笑顔を向けてくれた。

またその笑顔で、悠太たちが顔を赤くしてしまうのだが……。



「さて、この部屋はさっきも言ったけど、新人冒険者の武器と防具を選ぶ部屋になるわ」

「ここで、それぞれが使う武器と防具を選ぶの。

選んだら、防具はそのまま着用して、武器は自分のアイテムボックスへ仕舞うこと」


そう、この部屋には、武器がずらりと並んでいる。

剣をとっても、何本も並んでいるのだ。

……ただ、ここにある武器は初心者専用といってもいいものだけ。


ここにチートの様な高性能の武器はない。

例えば、魔法を付与した魔剣とか、聖なる力を持つ聖剣とか、喋って知能があるインテリジェンスソード、などという武器は並んでいない。


もちろん、これから体験する異世界のどこかにそんなチート武器は、存在しているかもしれないが、新人に持たせるような武器でない事は分かりきったことだろう。


戦闘経験のない新人に、強力な武器など必要ないのだ。


また、防具も同じだ。

ここには、絶対防御ができるような防具はない。

最初はだれでも、この防具からだよね、というものが並んでいる。


革鎧やブーツも、ここで装備していく。

俺たちには、『アイテムボックス』というスキルがあるため、本来なら腰のベルトにいろいろな袋や鞄をつけて、ポーションや薬を入れるのだが、それが無いため身軽に動けるという強みができる。



さっそく、日向さんと新城さんは、シンシアさんと一緒に防具を選んでいる。

いろいろアドバイスとか、してもらうためだろう。


特に、女性特有の防具は数が多く、着け心地ひとつで戦闘での動きの良し悪しに関わるからな……。

後は、女性特有の悩みとかか?


悠太は、シャーリーさんと一緒に武器を選んでいるようだ。

でも、武器を選ぶというより、シャーリーさんと一緒にいることが目的なのかもしれん。

いろいろと話しかけては、シャーリーさんが困った顔をしてる。


……エルフの美人の顔って、表情がすぐに分かるんだな。

て、そんなこと感心している場合じゃない、俺も悠太が何を質問しているのか気になる。



「それで、この端の所に滑車をつけてですね……」

「悠太、お前はどんな弓を求めているんだよ……」


困り顔のシャーリーさんが、助け船がきたと笑顔になる。

そして、俺に気付き振り向く悠太。


「康太~、ここには地球で使っている弓ってないのか?」

「ねぇよっ!弓初心者の悠太が、そんな弓を求めてどうするんだよ……」

「だってよ、ここの弓って、行っちゃ悪いけど頼りなさそうに見えるからな……」


「頼りなくて当たり前だ、ここに並んでいる弓は初心者が使う弓なんだから。

それに、いきなり本番で魔物と戦うなんてないぞ?」

「そうなのか?!」


マジで驚いている悠太。

それを見て、呆れる俺とシャーリーさん。

冒険者ギルドは、ブラックギルドではない。初心者を、それも魔物と戦ったことも会ったこともない、地球の人間に戦わせるなんてしないよ!


「えっと悠太君、地球の冒険者でもこの世界の冒険者でも、新人は町の雑用と訓練から入るのよ?

だから、町の雑用の依頼は報酬をよくしてあるほどなんだけど……」


報酬、冒険者は、依頼を受けて仕事をする。

そして、その仕事ぶりで報酬が上下するのだ。

出来高払いといえばわかりやすいだろう。


だが、冒険者ギルドでは、その初心者への雑用依頼の報酬を高く設定している。

ただし、報酬の支払いは依頼者が半分のギルドが半分出しているのだ。

何故そんなことをするのか、それは、新人を育てるためである。


新人冒険者は、とにかく戦いたがるらしい。

特に、冒険者にあこがれた男の子ほど、それが顕著に表れる。

そして、無謀な戦闘をおこない命を落とすのだ。


もちろん、そこから生き残れば、反省し地道に冒険者をするのだが、それでは新人の死亡率がとんでもないことになってしまう。

そこでギルドは、町中の雑用の報酬をギルドが半分持つことで多くした。


それと同時に、戦闘訓練を新人冒険者は受けることを義務化した。

このことが功を称したのか、新人冒険者の死亡率は激減したそうだ。


ただし、どこでも跳ね返りはいるもので、毎回新人冒険者の何人かは無謀な魔物との戦闘で死んでいるそうだ。



「訓練か……そうだよな、いくらスキルがあるといっても訓練は必要だよな……」


そう考えると、悠太は自分に合った弓を選び始めた。

ん~、反省したというよりも、強くならないとどうにもならないことに気付いた感じかな。



真面目に弓を選んでいる所へ、防具を選んできた日向さんと新城さんが合流する。


「さ、西園寺君、ど、どうかな?似合うかな?」

「私も、私もどう?西園寺君、似合う?」


日向さんと新城さんが、少し照れながら俺に感想を求めてきた。

その後ろで、シンシアさんが、何故か俺を睨んでいるのが気になるが……。


「うん、日向さんも新城さんも似合っているよ。

色使いもかわいいし……」

「か、可愛い……」

「ウフフ~、可愛い~」


シンシアさんの表情が笑顔に変わった、どうやら正解だったみたいだ。

その代わりに、悠太の表情が最悪だ。


「リア充死すべし!」


リア充って、俺のことか?

それは誤解だ悠太、シンシアさんに睨まれて下手なことが言えるか?

俺は、ギルド職員の女性に嫌われたくないぞ?




今日は、ここまで……。

次回は、掲示板に挑戦するかも。







第9話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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