第86話 報酬と売却金
注)売却額と報酬額が間違っていたので、訂正しました。
計算間違いに気付けず、申し訳ありません!
「オークションに参加しましょう!」
オークダンジョンで手に入れた素材や魔石などの売却金額が、一人頭金貨二百枚になるらしかったので、そのことをパーティー仲間に話すと、さやかさんがいきなり提案する。
冒険者ギルドから泊まっている宿に戻ってみれば、俺と真之介さん以外全員いたので、相談したんだ。
「さやかさん、オークションって何ですか?」
「こっちに来る前、ギルドの掲示板に貼ってあったでしょ?」
……もしかして、地球の掲示板に貼ってあったあのポスターを見ていたのか?
確か、オークションに参加してみようとか何とか。
「さやかさん、オークションに参加するのはいいとして、いつあるのとか開催場所とか分かるんですか?」
「それは………冒険者ギルドで聞いてみましょう」
分からないのかよ!
……これじゃあ、ただ、参加してみたいだけのようだな。
「……明日、お金を受け取りに行った時、聞いてみましょう」
「ですね」
それで、みんな納得したところに、シスターの二人から提案を受けた。
「あの、私たちの依頼の報酬も、その時にお支払いします」
「ソフィアさん、シャーロットさん、もうレベル上げはいいのですか?」
「はい、私たちの予想以上にレベルが上がりましたので……」
「これ以上は、過剰戦力になるわよ。
本来の私たちの仕事である孤児たちの世話とかが、出来なくなりそうじゃないの」
「まあ、そうでしょうね……」
シスターの二人の意見ももっともだ。
ソフィアさんがレベル九十二、シャーロットさんがレベル九十五。
町の治安を守る兵士たちで、レベル三十。
王国の騎士団の騎士でレベル六十ぐらいだから、確かに過剰戦力かも。
明日、冒険者ギルドで依頼完了の手続きをしてもらい、報酬が俺たちに払われるそうだ。ただ、シスターからはそんなに多く払われるわけではないと、申し訳なさそうに言われた。
後、素材や魔石などの売却金はいらないそうだ。
俺たちは孤児院村のために使っては?と提案したが、孤児院村のために必要なお金は、さる豪商の人からもらえるそうで、使い道がないのだとか。
というわけで、オークダンジョンで手に入れた素材や魔石の売却金は、俺たち九人で山分けすることに。
……オークション資金ができたってことなのか?
▽ ▽
次の日、冒険者ギルドでオークションのことを受付のジュリアさんに聞くと…。
「今回のオークションは、ナブトの町が開催地になります」
「ね、ナブトの町ってどこ?」
「……俺たちが、最初にいた町ですよ。地球から転送されて……」
「ああ、あそこがナブトの町なのね……」
ジュリアさんがオークションが開催される町を教えてくれると、さやかさんがどこの町か、俺に小声で聞いてくる。
最初にいた町の名前も知らなかったのね、さやかさん。
「開催日は、二日後。
場所は、冒険者ギルド地下一階の訓練場でおこなわれるようです。
主に、冒険者を対象にしたオークションのようですね」
へぇ~、冒険者を対象にしたオークションか……。
てことは、出品されるのは、武器や防具、後はポーション類かな。
「あの、奴隷も出品されるんですか?!」
悠太、興奮するな!
ジュリアさん、少し引いているぞ?
「……ええ、出品されるようですよ?」
「そうか……お金足りるかな?」
考え出したな……。
でも、その奴隷を購入して、どうするつもりなんだろうか?
地球に連れていくわけには、いかないだろうに……。
▽ ▽
悠太のことは一先ずおいて、まずは、シスターたちの依頼終了の手続きをする。
十分すぎるレベルを上げれたため、少し色を付けて報酬が出されることになった。
元々、この依頼は家を借りるための依頼だったが、ナブトの町にある借りた家に住んでいなかったことを思い出した。
そのため、ナブトの町に戻ったら、オークション参加後、少しゆっくりしようということになった。
「では、こちら、レベル上げ依頼の報酬の金貨二百枚です」
「……多すぎませんか?」
「いえ、もともと上げたレベル分の金貨を払うようになっていましたからね。
シスターのお二人の上がったレベルに少し色を付けて、金貨二百枚となります」
……もしかして、この依頼、かなり美味しい依頼だったのでは?
俺は、金貨の入った革袋を受け取る。
……金貨百枚って、重いんだな……。
「次に、オークダンジョンでの素材や魔石の売却額ですが、金貨二千枚になることが分かりました。
そして……これが!金貨二千枚です……」
ジュリアさんは、大きな革袋二つを、カウンターの上に乗せる。
この革袋の中に、金貨が千枚づつ入っているようだ……。
「ダンジョンのオーク、千六百八十六体分のお肉がいい値段で売れました。
後、魔石の大きさにばらつきがありましたが、純度がいいものばかりで、さらに、解体魔法を使われたのがトドメですね。
すべてが高額買取で、この値段になったんです。お受け取り下さい」
俺は、驚きながらも金貨の入った革袋を、アイテムボックスに収納する。
▽ ▽
シスターたちは、この村で別れることになった。
どうやら、同じようにレベル上げを頼んだシスターたちが、この村にいるそうなので合流するようだ。
「みなさん、短い間でしたが、ありがとうございました」
「ありがとうね、みんな。またどこかで会えることを楽しみにしているわ」
そう言って、ギルド前で別れた。
いつかまた、どこかで会えるといいね……。
みんな別れ際、少しさびしそうに手を振っていた。
今日は、ここまで。
次回は、オークション準備。
第86話を読んでくれてありがとう。
次回もよろしくお願いします。




