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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
強者の責任

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第79話 滞在するための場所




新規参加者の武器や防具を選び終え、支給されるお金を受け取るための部屋にやってきた。ここで、お金を受け取り本格的に異世界へ行くことになる。


しかし、三人とも初心者冒険者の恰好になったけど、よくよく考えれば普通はこんな姿になることはないんだろうな。


こっちで生まれて冒険者になった人たちは、着の身着のままで冒険者になり、町中の依頼を熟してお金を貯めて武器や防具を買いそろえる。

武器防具をそろえて、ようやく討伐依頼ができるわけだ。


ところが、地球からくる冒険者は、すべて用意されているから訓練場で少し訓練して、スキルを使える状態にすれば、討伐依頼もできるというわけだ。


……違うよな、待遇が。


こんなことを、武器や防具を選びながら真之介さんが呟いていた。

俺もそれを聞いて、地球の冒険者がどれだけ良い待遇で迎えられているのかが分かったよ。


真之介さん曰く、何か期待されているのかな?地球の冒険者は、て言ってた。

それが本当なら、地球の冒険者は、何を期待されているのだろうか?



それはともかく、真之介さんとさやかさんの選んだ武器が同じものなのに、違うんだよね。

二人とも杖を選んだんだけど、真之介さんの選んだ杖は短い杖だ。


これは、盾を装備するためだろう。

それも、体の半分はある大きな盾だ。

敵の攻撃を防ぐときに、足で踏みつけて盾を固定するものだ。


さやかさんの選んだ杖は、長いこれぞ魔法使いっていう杖だ。

先の所に魔石が組み込まれていて、触媒として利用するのだろう。


ただ、防具は二人とも革鎧を選択していた。

ローブではなく革鎧にしたのは、動きやすいからだとか。

身体能力向上のスキルを取ったのは、動けて逃げやすくするためかな?


忍ちゃんの武器と装備は、妹の凜と似たようなものだ。

だが、格闘術スキルのためか、手と足にはそれぞれ殴ったり蹴ったりしてもいいような装備にしてある。


魔導銃を使って、遠距離攻撃。

近距離では、格闘術で殴ったり蹴ったり。

傷などを負えば、回復魔法で治癒。


忍ちゃんは、ソロでも戦えるようにしているのかな?



「お兄ちゃん、支給金を受け取ってきたよ」

「それじゃあ、本物の冒険者ギルドへ行きますか」


そう言って、俺たちは支給部屋から異世界の冒険者ギルド内へ通じる扉を開けて移動する。

次は、今夜からの宿であるが、実は宿に関しては俺に任せてもらった。




▽    ▽




扉を開け、異世界のギルドに驚いている真之介さんたちを連れて、俺は受付へ移動する。


「おはようございます、キャロルさん」

「おはよう、コータ君」


笑顔で朝の挨拶をしてくれる、受付嬢のキャロルさん。

俺がキャロルさんのところに並んだのには訳がある。


「キャロルさん、お願いしていた件はどうなりました?」


すると、キャロルさんは受付の下に備え付けてある引き出しから、一つの鍵と地図を俺の目の前に出した。


「確保しておいたわよ。

でも賃料は前払いになるけど、大丈夫?」

「いくらですか?」


「商業ギルドとの交渉で、金貨2枚になったわ」


俺が、ギルドカードを提示して、キャロルさんにお願いしていると後ろから説明を求められた。


「西園寺君、何がどうして金貨二枚を払っているのか分からないんだけど?」

「実はですね、今回七泊八日という期間、こっちで過ごすにあたり、宿に宿泊というのも味気ないと思いまして、家を借りることにしたんですよ」


「「「家?!」」」


女性陣が驚いているな、悠太と新規参加組の三人は、驚いてなかった。

でも、そうなのだ。

今回の異世界の冒険には、この異世界の家で過ごしてみようと思ったわけだ。


そのために、地球側の冒険者ギルドへ行って相談すると、こっちでの滞在の家を用意できると言われ、お願いしていたのだ。


ただ、滞在中の家賃がいくらになるか、何人で滞在するのか、その辺りが分からなかったから、家賃を金貨二、三枚程度で、パーティー上限の十二人で滞在するとしてお願いしたのだ。


「そうしたら二日ほどで連絡が来てね、滞在中の家賃を前払いでなら貸してくれる家があったって」

「その家を借りたってわけか……」


「でも、何故家なの?宿の方が便利でしょ?」

「宿だと、時間が決まっているからですよ。

食事をはじめ、起床にお風呂に他のお客様とね」


そう、せっかくの異世界なのだ。

もっとのんびりと依頼や訓練に図書館での勉強と、この異世界を満喫したかったのだ。


そんな話をしていると、キャロルさんが戻ってきた。

どうやら、支払いが終わったようだ。

俺のギルドカードの所持金欄から、金貨二枚が引かれていた……。


「それじゃあ、私が案内するわね。エマ、少しの間お願いね?」


そう隣の受付のエマさんに声をかけ、俺たちと合流してきた。

声をかけられたエマさんは、これから忙しくなる受付業務なのに、と少しムッとしているようだ。


後で、怒られるんだろうな……。




▽    ▽




キャロルさんと合流し、冒険者ギルドを出て、まずは西へ向かう。

滞在先の家まで、乗合馬車の方が早いが、人数が人数なので今回は歩きだ。


新しく入ったパーティーメンバーとキャロルさんが自己紹介をし、いろいろと雑談をしていると大きな路地にさしかかった。


「この路地を北に向かって行きます。

今回、みんなに用意した家は、昔さる豪商の別荘だったお屋敷よ。

部屋数も二十ほどあって、お風呂やトイレ、キッチンもついているわ。


さらに、みんなで食事のできる食堂まであるのよ。

あれで金貨二枚は安いわね」


安いのか……?

部屋数二十もあるってことは、かなりのお屋敷だな。

広さも相当なはず。


「何か、いわくつきのお屋敷とか?」

「いわく?そんなものないわよ。

それに、そんないわくつきの危ない物件を冒険者ギルドは貸さないわよ」


それもそうか、なら俺たちの運がよかったんだな。


「ただ、条件が一つだけ、あるのよね……」


キャロルさんは、俺たちの方を向かずにボソッと、聞こえるか聞こえないかぐらいの小声で呟いた……。





今日は、ここまで。

次回は、お屋敷を借りる条件紹介。








第79話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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