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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
強者の責任

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第76話 春休みの予定




三月に入りすぐに卒業式が、行われた。

知り合いの先輩はいなかったから、俺は何とも思わなかったが、悠太は寂しそうだったな。幼馴染の木原先輩が卒業してしまうからだろう。


後で、泣いたかからかってやろう。


お昼前に卒業式が終わり、残った生徒で片づけが始まる。

ただ、これは自分が座っていた椅子を片付けるだけなのですぐに終わり、自分の教室へ戻っていく。


これで後は、修了式を待つだけとなった。


二月中旬に行われた期末テストの成績が、俺たち冒険者組はよかったみたいだから、三年にすんなり上がれるのは間違いない。

ただ、いろいろと疑われたりはしたな……。


特に、悠太は去年までのテストの点数が、赤点ギリギリだったしな。

そんな悠太が、いきなり良い点数とれば疑われるだろう。


まあ、すぐに疑いは晴れたわけだが。



そうそう、修了式が終わって春休みに入ったら、俺たちは再び向こうの世界へ行くことになっている。

ラインやメールは便利だよ。予定などを話し合う時に大活躍してくれた。


春休みでは、七泊八日間を異世界で過ごすことになった。


みんな、親がよく許したと思う。

特に、女子の親は。

……内心では心配しているんだろうか?………心配しているだろうな。




▽    ▽




三月中旬の終了式が終わった次の日の朝、午前六時。

〇〇駅前にある、俺たちのいつもの待ち合わせ場所に、俺と妹の凜が大きな旅行鞄を足元に置いて立って待っていた。


俺は、駅に備え付けられている時計で時間を確認すると、早い時間に待ち合わせしてしまったと後悔していた。

俺の横にいる凜は、異世界へ行くのが楽しみなのか、起きた時から機嫌がいい。


「お兄ちゃん、今回の一週間はレベル上げに専念しよう」

「そういうわけにもいかないだろ?

レベル上げに専念すると、冒険者としての質がな……」


凜は両手で自分の耳をふさぐと、聞こえませーんとそっぽを向いた。

……レベル上げか。


今の俺が、パーティー最高のレベル42。

悠太、日向さん、新城さん、竹原さん、市原さんがレベル38。

そして、妹の凜が、レベル31。


天空のダンジョンで一緒だった、大篠さんと木下さんは、俺たちが地球へ帰った後も冒険者としての仕事を続けていたらしい。


町の中の依頼も、町の外の依頼も。

おかげで、二人とも、レベル37だそうだ。


ゴブリンの巣やオークの巣をつぶす依頼を受けて、レベルが上がったらしいから、どれだけのゴブリンとオークを討伐したのやら……。


でもまあ、今回は不参加だけどな。

一月下旬にいったん日本に帰ったら、ちょうど女優の仕事が入ったとかで、今は忙しくしているそうだ。


今度休みがいつとれるか分からないが、スケジュールが合えば、みんなで行きたいね、というメールがマネージャーの木下さん経由で来ていた。


……いつになるのかな~。



「おはよう西園寺君、お待たせ~」

「よう西園寺~、それに凜ちゃんも、おはよう!」

「おうおはよう、日向さん、竹原さん」

「おはようございます、小春お姉ちゃん、葵お姉ちゃん」


欠伸を噛み殺しながら待っていると、日向さんと竹原さんがそろって現れた。

お互い、大きな旅行鞄を持ってきたな……。


「……まだ、全員そろっていないんだな」


竹原さんが、キョロキョロと辺りを見て確認している。

待ち合わせ時間は、午前六時半だから、まだ来てなくてもしょうがない。


「それにしても、日向さんたち、大きなキャリーバッグだね?」

「今回は七泊八日でしょ?

しかも『無限鞄』があるから、こっちのものを持っていけると知って、この大きさになったの」


「西園寺、女には必要なものが多いんだよ。

そのぐらい察しないと、モテないぞ?」

「そうだよ、お兄ちゃん。私だって、この鞄に入るだけにするの、大変だったんだから……」


そう言って、凜は足元にある大きなカバンを手でたたく。

……その鞄、母さんが大事にしているブランド物の旅行鞄なんだが……。

まあ、怒られるのは凜だから、いいか~。



「おはようございまーす」

「おはよう~、みんな早いね~」


改札を抜けて、俺たちに挨拶をしたのは新城さんと市原さんだ。

始発……じゃないよな?


「リコちゃん、コトネちゃん、おはよう~」

「おはよ~、琴音、璃子」

「おはようございます、璃子お姉ちゃん、琴音お姉ちゃん」


「おはよー、これであとは悠太だけだな……」


時刻は、午前六時二十三分。

もうすぐ来る頃だろう。


「あ、そうだ、遠藤君が連れてくるツレって誰かな?」

「……実は、俺も聞かされていないんだよな。

電話でも、一人だけだからって、お願いされたし……」


「同じクラスの男子?」

「いや、遠藤には幼馴染の木原先輩がいたし、その木原先輩か?」


日向さんたちで、誰が来るのか話し合っていると、悠太が近づいてきた。

その両手には、大きなスーツケースを一つずつ持っている。

そして、悠太の少し後ろから女性が歩いている。


「……荷物持ち?」

「てことは、木原先輩じゃないな。

木原先輩なら、自分の荷物は自分で持つだろうし……」

「じゃあ、後ろの女性は誰だろ……」


女性陣の推測を聞きながら、悠太が近づいてくるのを目で追っていた。



「おはよ~、待たせたな。

後、最初に紹介しておくが、今回同行することになった……」

「初めまして、悠太の姉のさやかって言います。

ひらがなでさやか、です。一週間よろしくお願いしますね?」


悠太のお姉さんか~……。

あれ?悠太に姉がいたなんて、初耳だぞ?

案の定、悠太が抗議している。


「姉じゃないだろ?俺のおばさんだろ!」

「並んでいたら、姉弟に間違えられるんだからいいじゃない、悠ちゃんの姉で!」

「間違えられるって、俺といくつ違うと思っているんだよ……」


その時、悠太の周りの空気が凍りつく。

まさに、そこだけ南極である。


「悠ちゃん?私たちは、姉弟、よね?」

「ハイ、俺の美しいお姉さまですっ!」

「よろしい~」



おいおいおいおい、マジかよ。

さやかさん、冒険者としての素質がありそうだな……。


どうしてこうなったか、後で悠太を問いただしておこう。




今日は、ここまで。

次回は、異世界への準備になるか?








第76話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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