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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
高校生の日々を

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第74話 心配する友達




「もうすぐ、卒業式か~」


二月下旬の昼休み、教室でまったりと本を読んで過ごしていると俺の前の席にいる悠太が、たそがれ始めた。

誰か、親しい先輩がいるか?


「どうした急に。別れを惜しむ先輩でもいるのか?」

「ああ、木原っていう先輩がな……」


木原先輩……木原……どこかで聞いたことあるな……。

名前を聞いて、思い出そうとしていると隣の席の竹原さんが話に参加してきた。


「遠藤、木原先輩って陸上部の木原先輩か?」

「ああ、竹原さんは知っているのか?」

「知ってるも何も、陸上部のエースだろ?

確か、大学もスポーツ推薦をけって実力で合格したっていう……」


「そう、その木原先輩で間違いない」


スポーツ推薦をけったって、文武両道な先輩なんだな……。

これでカッコよかったら、呪われるところだぞ?


「悠太、その木原先輩って、カッコいいのか?」

「……康太、木原先輩は女だ」


俺は、本当かどうか竹原さんを見る。


「木原先輩は女性で間違いない」


どうやら、悠太の言ったことは真実だったようだ。

でも、そんな木原先輩は、未来の日本陸上界の星ということになるな。


「なるほど、そんな先輩がいるなら日本女子陸上界は安泰だな」

「……ところがそうもいかないんだよな」


何だ?悠太の奴。

本に目がいってて気づかなかったが、よく見れば、何か不機嫌な顔をしているな……。


「遠藤、もしかしてあの噂か?」

「……あの噂?」


どんな噂が、木原先輩にあるんだ?

気になる。


「ああ、木原先輩が裏口入学をしたって噂だ。

それと、陸上界からも引退するっていう噂もある……」

「引退って、陸上をやめるってことだろ?

………どうも、裏口入学と陸上引退が結びつかないんだけど……」


裏口入学するくらいなら、スポーツ推薦をける必要ないだろ?

陸上引退するから、スポーツ推薦をけって裏口入学かな?


……おお、結び付いた。


「……木原先輩が、陸上を引退するのは本当だ。

本人に直接確かめたからな。

でも、裏口入学はデマだ。木原先輩は裏口入学なんてする必要がない!」


ということは、木原先輩は頭がいいということになるな。

……でも、悠太は何でここまで木原先輩のことを知っているんだ?


「なあ、悠太と木原先輩の関係、教えてくれるか?」

「ん?そういえば、教えてなかったな。

俺と木原先輩は幼馴染だよ。幼稚園の頃からのな」


幼馴染か~、何か羨ましいな。

俺の幼馴染といえば……いない。

小さい頃から付き合いのある友達っていないな……。


「それで、木原先輩に遠藤は直接聞くことができるのか……。

遠藤は聞いたのか?引退の理由を」

「ああ、そうしたら『コレ』を見せてきたんだ……」


そう言って、悠太は自分のポケットから冒険者ギルドのカードを出した。

冒険者……。


「ギルドカード……?」

「そうか!基礎体力が上昇してしまったから引退したのか!

……でも、公式戦に出なければいいだけの話じゃないか?

好きなら、続けていても……」


「大学の陸上部がほおっておくと思うか?

百メートルを九秒で走れるんだぞ?」

「……マジかよ、世界新じゃねぇか。

……でも、異世界でレベル上げて身体能力が上がればわけないか……」


でも、地球に帰ってきてまで身体能力に影響があるってことは、どれだけレベルがあるっていうんだ?


「ちなみに、木原先輩は今レベルいくつだ?」

「ギルドカードを見せてくれた時に驚いたけど、確かレベル304だった……」

「さっ……」


レベル304か……。

竹原さんが絶句しているが、俺と同じころ冒険者になっている連中の中には、300台後半の奴もいるらしいし、別に不思議ではないな。


でも、いつ木原先輩は冒険者になったんだろうか?


「木原先輩って、いつ冒険者になったんだ?」

「えっと、高二の夏休みからとか言ってたな。

異世界でいろんな魔法を使うことが面白かったって言ってたぜ?

後、俺も冒険者になったって言ったら、今度一緒に冒険しようねって約束させられたよ」


……リア充め!

一つ年上の女性の幼馴染、羨ましい~。


……しかし、高二の夏からということは、討伐ばかりしていれば300台はいくか……。

でも、それだとよく陸上でエースにまで……登りつめれるか。

身体能力が上がっているんだ、エースは間違いないよな……。


「でも、木原先輩が冒険者でレベル300台ということになると、裏口入学の話はデマということになるな……」

「え?裏口入学はないのか?」


竹原さんが、不思議に思っているな。

悠太も、どうして?って顔をしている。


「不思議に思うか?」


俺がそう聞くと、悠太も竹原さんも頷いた。


「異世界でレベルを上げると、こっちの地球でも少なからず影響が出る。

それは主に、自身の身体能力に影響が出るんだが、それと同時に頭もよくなるんだよ。


悠太、こっちに帰ってきて記憶力が良くなったとか思わなかったか?

竹原さん、前よりも授業が分かりやすくなったと思わなかった?」


「……確かに、漢字とか英単語とかすぐ覚えれるようになったな……」

「そうね、授業内容がすんなり頭に入ってくるようになったわ……」


「それもレベル上げによる影響の一つなんだよ。

異世界で、魔法を使いレベルを上げれば、知識力や知恵力が上がるそうだ。

その影響で、頭の回転が上がり頭が良くなるそうだ」


ただ、この頭が良くなるには、誤解がある。

天才になったりIQが上がったりするわけではない。

元々の思考能力が上がるそうなんだけど、その辺は俺も詳しく分かってない。


というか、向こうの研究者たちにも、まだ解明できてないのだ。

何でレベルが上がると、頭が良くなるのか……。

でも、実際そうなるのだからそうなのだ。今後の研究に期待だな。


「まあ、詳しくは知らないが、レベルが上がればある程度頭が良くなる。

ということは、レベル300台の木原先輩が裏口入学はありえないだろうな」


「……誰かが、デマを流しているってことか……」

「何のために?」

「う~ん……」


木原先輩のデマを流して、得する奴なんているのか?

……この件、どうなるんだろうな………。




今日は、ここまで。

次回は、悠太が活躍か?







第74話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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