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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
緊急依頼のすゝめ

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第67話 天空ダンジョンの攻略 4




天空ダンジョンに潜り始めて十日が経過し、現在第三十六階層を攻略中だ。


二十階層からの魔物であるコボルドにはスピードで振り回されたものの、レベルも上がり何とか対処し、三十階層からのオーガに今は苦戦中である。


オーガという魔物は力が強いだけの戦士タイプだけでなく、細身の魔法使いタイプも存在している。

言うなれば、今までのゲーム知識を見直す良い機会ではあった。


そして、三十七階層へ上がった俺たちのパーティーを待ち構えていたのが、ダンジョンの構造だったのは驚きだろう。



今、俺の目の前にあるのは幅二メートルの道。

そして、そこの見えない大穴だ。


三十七階層へ上がると六畳ほどの部屋があり、その先への道は一本道。なれど、幅は二メートルしかなく、後は存在しなかった。

簡単に言えば、その道以外の床が無かったのだ。


俺たちは全員で、その光景にあ然としダンジョンとは何でもありなんだと、認識を改めたところだ。


「おいおい、マジで床がないぞ?」

「たぶんこれ、下の階へ続いていると思うんだけど、最下層まで落ちるイメージだな……」

「……」


怖い光景だけど、進むしか道は無いし、俺たちは意を決して進んでいく。

一人づつ進もうかと思ったんだが、幅二メートルの道はまっすぐこの三十七階層の端に通じているみたいで、魔物も見えないし、みんなで進むことにした。


一歩一歩、恐る恐る進んでいくと、道の両端の空洞から風が下から吹いてくる。

風の音がうるさいぐらいだ……。


「なあ、マジでこの空洞、下の階へ落すだけなのか?」

「悠太、どうしたんだ?」

「だってよぉ、この風、上昇気流だろ?かなりの距離が無いとふいてこないだろ?普通」


悠太の疑問ももっともだ。

この下から吹く風が冷たく、手すりもない道を歩く俺たちに恐怖を与えるのだが、はたして本当に下の階へ落すだけなのか……。


今は、とにかく渡りきることだ……。




▽    ▽




時間にして三十分ほどだったらしいが、体感としては二時間かかった感じだ。

俺たちは、ようやくあの道を渡り切った。


魔物が出なかったのがよかったのだろう、もし魔物と戦うとなっていたらどうなっていたのか……。

おそらく、誰かがあの空洞に落ちていただろう、魔物と一緒に……。


「……とにかく、渡り終えたし上の階へ行くか」

「……そうね、二度とこんな階層はごめんだけど……」


悠太と新城さんが、こんな階層はごめんだと愚痴を言っている。

……それがフラグにならないといいけど。


精神的に疲れはしたが、体力は大丈夫だったので、俺たちは三十八階層へ上がる。




▽    ▽




三十八階層は、今までと同じ迷路が続いている。

ただし、魔物がオーガ以外にも出てくるようになった。


その魔物が、スライムである。


しかし、スライムと侮るなかれ。このスライム、天井から落ちてくるタイプのスライムなのだ。

油断すれば、俺たちの頭の上に落ち、スライムで溺死もありうるのだ。


このことに気付いたのは、俺たちの目の前で俺たちを襲おうとしたオーガの頭にスライムが落ちてきて、そのまま窒息死したからだ。

いや、溺死といったらいいのか……。


とにかく、このスライム、見境がない。


魔物のオーガだろうが、冒険者の俺たちだろうが、見境なく天井から落ちてくる。

ただ、地面に落ちたスライムは、オーガに踏みつぶされて床の染みになって消えていった。


なんだかな……。

三十九階層もそんな感じで進んでいき、いよいよ四十階層だ。


俺たちは、四十階層の魔物となるであろうスライムに注意しながら階段を上る。




▽    ▽




四十階層に上がると、そこには、他の冒険者たちがいた。


「コータ君」


冒険者ギルドの職員であるエマさんが、俺の名前を呼んで近づいてくる。

エマさんの声に反応して、俺たちを見る冒険者もいたが……。


「エマさん、どうしてここに?」

「どうしてって、ここがこの天空ダンジョンの最上階よ」


どうやら、ここでこの天空ダンジョンは終わりのようだ。

……なるほど、ランク四のダンジョンとはこういうことか。


「でも、何故ここにとどまっているんですか?」

「あ~、それなんだけどね?」


そういうとエマさんは、後ろを振り向いた。

その後ろにあった光景は、いろんな冒険者たちの先にトンネルが口を開けている。

その大きさは、横三メートルぐらい、縦三メートルぐらいの小さなトンネルだ。


しかも、トンネルの先が見えないように少し進んだところに扉が作られていた。


「あの扉のおかげでね?誰から行くか揉めているのよ……」

「聞いてきたわ、職員も困っているみたいよ」


見れば、トンネルの前で四人ほどの冒険者が言い争いをしている。

それを聞いていると、どうやら誰が先に行くかでもめているようだ。


自分たちのパーティーが先に行くとか、俺たちのパーティーがふさわしいとか、一番乗りは私たちだとか、俺たちこそが一番乗りだったとか……。


「……醜いわね……」

「あ~、君たちもすまないな。俺たちのリーダーが強情で譲らないんだよ……」

「こちらこそ、称号にこだわる子がいて申し訳ないわね……」


周りでも、違うパーティー同士で謝ったり、見守ったり、我関せずって人達ばかりだ。どうでもいいが、いい加減みんなで行こうとはならないのかね?



この揉め事に決着がついたのは、俺たちが到着してから十分後のこと、最後のパーティーがこの階層に到着してしまった時だ。


ここに全員がそろってしまったことで、もうみんなで行かないか?と誰かが行ったことがきっかけで全員で進むことに。


職員の男性が、トンネルにあった扉を開け、全員で一列になって進んでいく。

そして、その先にあったのが……。




今日は、ここまで。

次回は、天空ダンジョンのクライマックス……。








第67話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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