第65話 天空ダンジョンの攻略 2
天空ダンジョン十八階層を、俺たちは攻略できた。
そして今、俺たちの前にあるのは一つの宝箱と、十九階層への階段だ。
「これ、宝箱で間違いないよね?」
「ええ、ダンジョンでよく出現する宝箱で間違いないわよ」
俺の妹の凜の問いに、冒険者ギルド職員のキャロルさんが答えてくれた。
冒険者としてダンジョンに潜ったことのあるキャロルさんだ、見たことあるのだろう。大きさは、引っ越しの時に使う段ボール一箱分。
鍵穴は無く、すぐに開けれそうだが罠はないのかな?
「罠は、鑑定で調べるのよ?」
なるほど、キャロルさんの教えてくれた通りに俺は鑑定を使う。
すると、『宝箱Lv6』と表示された。
「宝箱、レベル六?」
「あら、レベル表示があったのね?
だとしたら、中身のレベルが表示されたんだと思うわよ」
中身、宝箱の中身か……。
罠などの表示は無かったから、その辺りの心配はないだろう。
ということで、俺が代表して宝箱を開けることに……。
「……開けるぞ?」
「「「………」」」
俺の言葉に全員が頷く。
そして、ゆっくり宝箱を開けると中に入っているものが現れた……。
「……鞄?」
俺は宝箱の中に入っていたカバンを取り出す。
材質は、おそらく布製だ。作りもしっかりとしていて壊れるというより破れにくいみたいだ。
色は白一色。
タイプはリックタイプだろう。背負うことができるように作られているし……。
物を入れる入口は……。
「暗いな?……明かりに当てても、中の底が見えない」
「どうやらその鞄、『無限鞄』みたいね」
「『無限鞄』ですか?」
「みんなは『アイテムボックス』を持っているから必要ないように思えるけど、実はその『無限鞄』があれば地球の品物をこっちの世界へ持ってこれるんだよ」
「ええっ!マジで!」
キャロルさんの重大説明で、みんなが一斉に俺の持っている『無限鞄』に集中する。
これがあれば、地球の品物をこっちの世界へ持ってこれる。
……でも、何を持って来るんだ?
「ちょっと待って!」
みんなが何を持ってこようか考える中、木下さんがある事に気が付いたようにストップをかけた。
「……どうしたの?木下さん」
「こちらの世界に持ってこれるということは、地球にも持っていけるってことですか?」
木下マネージャーの質問に、一斉に俺たちはハッとしキャロルさんを見る。
すると、キャロルさんは笑顔になり一度頷いてくれた。
「正解、こちらの世界の物を持っていけるわね」
「……何か持っていきたいものでもあるの?マネージャー」
大篠さんが木下さんの質問に対しての疑問をなげかける。
すると、木下さんは答えてくれた。
「ポーションです。こちらの世界のポーションなら、病院の患者を助けられると思いませんか?」
「……確かに助けられるかもしれないわね……」
木下さんの意見に、もろ手を挙げて賛同することができない大篠さん。
おそらく、何か落とし穴がないか考えているんだろう。
だが、こういう時は専門のキャロルさんに質問するのがベストだ。
「キャロルさん、この世界のポーションを俺たちの世界へ持っていくことは可能ですか?」
「ええ、可能よ」
「この『無限鞄』を使って?」
「ええ………ただし」
キャロルさんは可能だと教えてくれたが、何かあるみたいだ……。
「ものすごく苦くなるわよ?」
「へ?」
……味だけ?効能が無くなるとかないのか?
俺がアワアワして、質問を考えているとキャロルさんがそれを察して答えてくれる。
「実はね、地球とこっちの世界が繋がって、私たちは地球にポーションを持ち込んだことがあったの。
もし地球でポーションの有用性が分かれば、異世界へ行く人が増えるかな?と思ってね。
確かに、ポーションの効能はあったわ。
ケガ人を募集して集まった人に、ポーションを飲んでもらったの。
そしたら、飲んだ全員が一口ふくんで吐き出し、そのまま嘔吐した人もいたわね。
原因は、ポーションの味の不味さ。
私たちも飲んでみたけど、こっちの世界の味とは比較にならないぐらいのひどさだったわ……」
そう言ってキャロルさんは、体を震わせる。
今も、その味を思い出すと体が震えるのだとか……。
「でも、効能はあったんですよね?」
「ええ、ポーションをケガをしたところにかけたり塗ったりすると、ケガをした箇所が治ったわ。でも、飲むことはできないほど不味かったのよ……」
また震えてる。それほど不味かったんだ……。
「こうなると、ポーションの味の改良が必要になるな……。
しかも、何故地球では不味くなるのかもわからないといけないし……」
「ということは、すぐのすぐってことは無理なんですね……。
いいアイディアだと思ったんだけどね……」
悠太の意見に木下さんが落ち込んでいる。
確かに、いいアイディアだとは思うけど、ポーション作りを手伝ったことのある俺からすれば、納得の結果だと思う。ここでは言わないけど……。
何せ、ポーションの材料は、薬草だ。
それも、草原や森に生えている薬草だ。その薬草を葉から根っこまで丸ごと使う。
そして、完成するのがポーションなのだが、こっちの味はまともなのだ。
ポーション一本を一気飲みしても、不味くはない。
それどころか、少し美味しく感じることがあるのだ。
……何が原因なんだろうな………。
「とりあえず、このカバンの利用方法は、ダンジョンを出てから考えましょう。
今は、この天空ダンジョンの攻略を目指して行きましょう!」
大篠さんの意見に、俺たちは頷き、この『無限鞄』は俺のアイテムボックスの中へ納まった。
そして、再び装備を点検し終えると、十九階層への階段を上っていく。
▽ ▽
天空ダンジョンの十九階層は、階段を上がった場所が部屋になっていた。
周りに出入り口はなく、四方を壁で囲まれている。
この部屋も一辺が五十メートルはある大きさの部屋になっていて、出入り口の無い行き止まりのようだ……。
「……道を間違えたか?」
キョロキョロと部屋を見渡し、悠太が不安そうに一言もらす。
だが、新城さんはあきらめてなかった。
「遠藤君、まずはこの部屋を調べることからだよ。
下の部屋も、仕掛けがあったでしょ?」
そう言って、部屋の壁を調べ始めた。
そんな新城さんについて行くように、みんなが各々分けれて部屋の中を調べ始める。
俺は、悠太に笑顔で近づく。
「俺たちも調べようぜ。諦めたり、来た道を戻るのはそれからだ」
「……だな。こういう頭を使うダンジョンは苦手で、不安になっていたのかな?」
「かもな。俺も苦手だし……」
俺の言葉に悠太も笑顔になり、部屋の壁に向かって調べ始める。
何かあれば……。
今日は、ここまで。
次回は、ピンチも必要なのかな?
第65話を読んでくれてありがとう。
次回もよろしくお願いします。




