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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
緊急依頼のすゝめ

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第64話 天空ダンジョンの攻略 1




俺たちは今、天空ダンジョンの十二階層に到達している。

六階層からスタートしたのだが、一番最後に出発したためか魔物になかなか出会うことなく上階への階段を見つけ上へ上へと昇っていく。


この天空のダンジョンは、そのほとんどをレンガなどで造られているのか、すべてが硬い。床も固く、長時間歩いていると足が痛くなってくるほどだ。


また、魔物との戦闘も通路や部屋が広く戦いやすいのだが、如何せん地面や壁、さらに天井が固いため倒されたりするとその衝撃でダメージを負ってしまうみたいだ。


そのため、回復魔法はかなり重宝している。


六階層の主な魔物はゴブリンで、それは十階層まで続いた。

また、九階層からはゴブリンに時折混ざるようにオークが出現。

十一階層からは、ゴブリンが出現しなくなりオークのみとなった。



「せいっ!」


俺のハルバートが、オークの首を落としたことでようやく絶命させることができた。

四体のオークが角から出現し、こちらを認識。

そのまま、戦闘に突入した。


俺たちはこれまで通りの戦いを繰り広げるが、戦っていたオークの一体が変異種だったようだ。


「この一体だけだったな、魔導銃が効果なかったのは……」


悠太が、切り離されて転がっていたオークの頭を踏みつけて俺に確認を求める。

確かに、魔導銃の弾道はこのオークにもあたったはずだが、全く意に介していなかった。他のオークならば、効かないまでも防御するなりしたのだが……。


「となれば、オークの中に魔法が効かない種がいるということね……」


キャロルさんの言葉に、俺たちは反応する。

魔導銃の弾丸は魔法弾だ。

だから、それが効果無いということは、魔法に耐性か無効化があるということ。


「だとすると、この先魔法以外の攻撃も考えないといけませんね」

「それって、私たちはまだいいけど、凜ちゃんたちは……」


そう心配しながら、日向さんは俺の妹の凜を見る。

そして、凜は同じ魔導銃を主力武器としている大篠さんと木下さんを見る。


「……あの、私たちも武器で戦った方がいいかな?」

「ユミカ、私たちは他の武器のスキルはないのよ?

今から他の武器を使ってスキルを獲得しても……」


「分かってる、分かっているけど……」


みんなの足手まといになることを、大篠さんは恐れているようだ。

職業病かな?女優でも、みんなの足手まといにならないように頑張っているらしいし……。


「……それならこれから先、魔法が効かない変異種が出てきたら武器を持ったコータ君たちが、積極的に狩りましょう。

おそらく、魔法無効の魔物はそうはいないはずよ?」


キャロルさんの言葉に、俺たち全員が頷き戦闘時の役割を決めることに。

そして、立ち止まることなく、俺たちはダンジョンを進んでいった。




▽    ▽




十八階層に入っても、出てくる魔物はオークのみだ。

種類は増えているが、出てくる魔物はオークのみ。これはおそらく低層階でも同じだったのだろう。


よそうだが、一階層から十階層までがゴブリンで、十一階層から二十階層までがオークとなるのだろう。

となれば、二十階層からの魔物がそろそろこの階層から混ざって出てくるはずだ……。


そう構えていたのだが、十八階層の通路を進んでいる俺たちに魔物が襲い掛かってくることはなかった。


「魔物、出てこないね……」

「私たちよりも、前に来たパーティーが倒していったのかな?」

「それにしては、戦闘後もないようだけど……」


パーティーの後方にいる大篠さんや凛、それに万が一のために配置した竹原さんが、不安になり会話している。

十七階層から十八階層へ上がった階段から、ずっと真っ直ぐなこの道を進んでいるが、魔物は一切出てこなかった。


不安になりながらも進んでいき、大きな部屋へとたどり着いた。


「大きな部屋だな……」

「何があるか分からないわ、部屋の中をよく確かめて!」

「「「はい!」」」


キャロルさんの忠告を聞き、俺たちは気を引き締めて部屋の中を調査。

大きさは、左右の距離がおおよそ五十メートル。前後もそのくらいだ。


そして、不思議なものが部屋の中心にあった。


「……キャロルさん、これって石像、ですか?」

「オークの石像なんて、趣味が悪いわね……」

「でも、よく作りこまれていますね……」


俺たちは、部屋の中央にある魔物のオークを模った石像の周りに集まって、じっくり観察する。

革だろうか、そんな鎧を着て、右手にこん棒、左手に大きな盾を持っていた。


顔はすでに見慣れたオークの顔、兜は被っておらずオークの耳が見えている。

背後に回ると、石像の足元の地面に石板があった。


「キャロルさん、みんな、ここに石板がある」

「石板?何か書いてあるの?」


オークの石像の後ろに全員が集まり、足元の石板に注目する。

そして、石板を見た全員が何が書いてあるのか理解した。


「『石像の見つめる先が道となる』って、何だこれ?」

「これは、おそらくこの石像を動かせってことでしょう。

……こんなダンジョンは、初めてだわ……」


悠太が首を傾け、キャロルさんがこのダンジョンに驚いている。

そして、凜が俺の側にきて質問してきた。


「ねぇ、お兄ちゃん、これってゲームなんかでよくあるあれだよね?」

「ああ、ゲームでは定番となりつつある仕掛けだな……」


このオークの石像を動かし、この場合は回して、オークの石像が見つめる先に道ができるということだろう。

今は、俺たちが入ってきた場所を見ているから、そこが道となっているわけだ……。


「それじゃあ、動かして…『ちょっと、待って!』」


キャロルさんが、動かすように声をかけたところで新城さんが止める。

何か考えがあるのかな?


「どうしたのリコ、急に」

「コハルちゃん、この石像をどの方向に向けるか分かっているの?」


新城さんは、質問する日向さんに質問で返す。

でも、確かに、どの方向に石像の顔を向けるかは分からない。

だからこそ、回しながら一つ一つ向けていくつもりだった。


「分からないけど、まずは前後左右から向けてみようかと……」

「……コハルちゃん、おそらく間違った場所だと魔物が出てくるんじゃないかな?」


……たぶん、魔物が出てくるだろうな。

こういう謎解きは、たいてい間違えると魔物が出てきたりする。

この仕組みからして、間違った方向に向けると、モンスターハウスの扉が開くってところだろう。


「モンスターハウスか……」


悠太のセリフに、全員が表情を青くする。

オークの大群がいるモンスターハウスの扉が開くのは避けたい。

そこには、二十階層からの魔物も混ざっているのだろう。


「じゃあ、どうするの?」

「私に考えがあるの。

まず、壁を調べて。どこかにたくさんの足跡が付いている床があるはず。

そこは、たくさんの魔物が出てきた壁ってことになるわ」


俺たちは、手分けして新城さんの言う壁を調べた。

すると、左と後ろの壁に大量の魔物の足跡が発見できた。

……なるほど、モンスターハウスの入り口は左と後ろか。


「なるほど、この場合の正解は、石像を右へ向けることなのね?」

「おそらくは……」


俺たちは、全員の顔を見て頷き、オークの石像を右の壁を見るように動かした。

すると、俺たちが入ってきた入り口が閉まっていく。


ゴゴゴゴォーと音をたてて、下から壁がせりあがっていくのだ。

それと同時に、石像の向いた右の壁が、これまたゴゴゴゴォーと音をたててせり下がっていく。


俺たちは、一応身構えるものの、下まで降りた壁の先には、何も無かった。

いや、次の部屋があり、宝箱とその後ろに十九階層への階段があった。




今日は、ここまで。

次回、宝箱の中身と十九階層。








第64話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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