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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
緊急依頼のすゝめ

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第60話 緊急依頼




冒険者ギルドの三階の奥にあるギルドマスター室。

今この部屋は、緊張に支配されていた……。


「もう一度言うぞ?

ルイスギルドマスター、領都の南にある『天空ダンジョン』の攻略を緊急依頼としたい。報酬はダンジョン内で手に入れたものすべて。……どうだ?」


「クリフォード子爵様、その緊急依頼は到底お受けできません」

「何故だ?!この領地の中心にある領都の近くにダンジョンができたのだ。

一刻も早く攻略してほしいのだ!」


「ですから、先ほども代案を出しましたでしょう?

領都にいる冒険者や、高ランク冒険者への指名依頼を出してください、と」


「それでは、ダンジョン内で手に入れたものだけで報酬とできないではないか!

特に、高ランク冒険者は、どいつもこいつも気に入らない依頼は受けないときた!こんな田舎のダンジョンになぞ、来るわけなかろうが……」


クリフォード子爵とギルドマスターは、ずっとこんな調子で話し合っている。


そもそも、領都の南に出現した天空ダンジョン。

これがどれほどの難易度なのかというと、ダンジョンランクでいえば10段階評価の4程度なのだ。


そう、ダンジョンとしては奇抜なダンジョンなのだが、中身はたいしたことないのである。

塔型ダンジョンで、攻略は階層ごとにある迷路を攻略して登っていき、十階層ごとにいるボスを倒す。


そうして、最上階のダンジョンボスを倒して終了なのだ。

この世界に出現しているダンジョンの中でも、たいしたことないのだが、如何せん、形状が悪かった。


塔型ダンジョンでありながら、一階層から五階層までが消失。

辛うじて、塔の壁のほんの一部が残っており、ここに階層があったことを証明していた。


そして、五階層から六階層へつながる階段がむき出しになっており、その階段から六階層の魔物が下へ降ってくるというわけだ。

六階層の魔物は、ゴブリン、オーク、オーガ、など。


そして、もっとも厄介なのが、レッド・タイガーである。

赤い毛並みをしており、頭もよく魔法も使える厄介な魔物だ。

天空ダンジョンの二十階層より上にいるはずのこいつが、六階層まで下りてきて地上へ出てしまっていた。


こいつ以外にも、頭のいい魔物が、上の階層から降りてきて地上へと放たれ続けている。

こうなると、近隣の村や町が被害にあうのは予想できることだろう。


しかもまずいことに、領都から南へ向かうとハルバラン公爵領があるのだ。

公爵領の町や村に、天空ダンジョンが原因で被害を出したとなれば……。


そのため、クリフォード子爵はすぐに天空ダンジョンを何とかしたいのだが、領都の領兵や騎士、冒険者では手が足りない。

特に、領兵や騎士には他にやらなければならないこともある。


そこで、地球の冒険者の出番というわけだ。


異世界の、何かしらこちらの人とは違う力を発揮してこのダンジョン災害を乗り越えたいというのに、このギルドマスターは、と、子爵は睨みつけた。



だが、ギルドマスターもまた一歩も引かず、子爵を睨む。


空中ダンジョンの詳細を調べたのは、領都にいる冒険者だ。

確かに、外から見て調べただけではあるものの、階層の窓から見える魔物や落ちてくる魔物の詳細、数、そして近隣への注意喚起。


すべて領都の冒険者ギルドがおこなったこと。

このうえ、地球からくる冒険者に空中ダンジョンの攻略を依頼するなど、しかも緊急依頼で出すなど正気の沙汰とは思えなかった。


「クリフォード子爵様、地球の冒険者はまだ経験が浅く、地球の冒険者のみでの攻略など、許可できません」

「……ならば、ベテランの冒険者を同じ条件で何とかならんか?」


この子爵は、冒険者のことを何も知らんのか?とギルドマスターは思う。

報酬無しに近い依頼を受ける冒険者が、どこにいるんだよ、と。



睨み合いの続く中、ギルドマスターの秘書のハーパーが、解決策を提示する。


「マスター、ギルドから人を出してはいかがですか?

その空中ダンジョンに関しては、攻略が必要なのはわかっていることなんですから、ここは大人の対応ということでギルドから人を出しましょう」


その意見にまず賛同したのは、子爵の連れてきた執事だった。


「旦那様、秘書殿の提案でよろしいかと思います。

ギルドから出す人であれば、こちらが出すお金も安くすむかと……」


そう子爵の耳元でささやいた。

双方意見を聞き入れ、ここに空中ダンジョン攻略の緊急依頼が実現する。




▽    ▽




『緊急募集 領都の南にある空中ダンジョン攻略のメンバー』


日本の冒険者ギルドの掲示板と、異世界の冒険者ギルドの掲示板に張り出された依頼書だ。募集人数は明日の朝、ナブトの西門の外に集合できる冒険者のみ。

レベル制限なしや初心者歓迎とまで書いてあった。


「……エマさん、この依頼を薦めてくるってことは……」

「そうよ、ギルドから人を出すことになったの。

参加するのは私とキャロル、後ワークも参加するそうよ」


「え、ワークさんが?こっちに来ているんですか?」


これは驚きだ、ワークさんがこっちで、しかも戦闘の姿を見ることができるかもしれないとは……。

これは、みんなと相談が必要だが、俺は参加したいな……。


何とか説き伏せて、ダンジョンに入ることはできないかもしれないが何かできることがあるはず……。

く、冬休みがあと一週間あれば……。




今日は、ここまで。

次回、空中ダンジョンへ出発か?







第60話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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