第57話 表示変更したスキル
【名前】 西園寺 康太
【年齢】 17歳
【種族】 人族
【職業】 地球の冒険者 / 高校二年生
【レベル】 28
【スキル】 異世界言語 アイテムボックス 鑑定
槍術Lv4 棒術Lv1 投擲Lv2
魔力制御 回復魔法 解体魔法
精神耐性 気配察知 薬草知識
錬金術Lv2
【称号】 -
【所持金】 金貨12枚/銀貨65枚/銅貨45枚
ギルド預金 0
俺の情報が、冒険者ギルドカードに記載されている。
スキルのレベルも表示され、かなりわかりやすくなっているが、所持金まで表示されているのはどういうことなんだ?!
俺は、すぐに受付嬢のナンシーさんに助けを求めた。
「ナ、ナンシーさん、見られたくない項目を隠すにはどうすれば?」
「隠したいところを、指でなぞれば隠れるはずよ?」
俺はすぐに、所持金の項目を指でなぞる。
すると、所持金の項目が消えた。
俺がホッとしていると、悠太が俺の肩を叩いた。
「康太、結構お金持っているんだな……」
「……」
どうやら、ここにいる人たちには、思いっきりばれてしまったようだ。
それが分かったのか、ナンシーさんは苦笑いをしながら、みんなにもギルドカードの変更を求めてきた。
悠太隊が、どうしようかと悩んでいると、大篠ユミカがナンシーさんに質問する。
「あの、私のギルドカードも変更しないといけませんか?」
「大篠さんは、まだスキルを選んでいませんから正確には仮の冒険者という状態なんですよ。
正式に冒険者になるには、スキルを選んで登録する必要があります」
「……受付で登録しただけでは、仮の冒険者ということなんだ……」
大篠さんは、自分のギルドカードを見ながら頷いていた。
そして、さらに質問する。
「それじゃ、スキルはどこで登録すればいいの?」
「この先に更衣室があります。そこで、異世界の服に着替えて出た先の部屋が、スキル登録部屋になります。
スキルは、そこで選んで登録するんですよ」
「自分で選べるの?」
「はい」
大篠さんは、スキルという自分の能力が選べることに驚いている。
ここで驚くということは、大篠さん、スキルは今の自分を調べるなりスキャンするなりして表示されると考えていたようだな……。
だが、実際は自分で選ぶことができる。
ただし、チートスキルはないので、結構難しかったりするんだよな……。
「それでは、西園寺 凜さん、木下 成美さん。
こちらが、冒険者ギルドのギルドカードになります、どうぞ」
大篠さんとのやり取りの間に、悠太たちはギルドカードの変更を済ませてしまう。
しかも、俺のは見たくせに自分達のは見せてくれないのだから、何か納得がいかない……。
そして、妹の凜と大篠さんのマネージャーの木下さんのギルドカードができたようだ。カードを受け取り、凜は大喜びだ。
また、木下さんもどこか嬉しそうにしている。
「さて、更衣室へ移動しましょうか。
日向さんたちは、凜と大篠さんと木下さんに更衣室の使い方を教えてあげて」
「分かったわ」
そして、俺たちは全員で更衣室へ移動する。
勿論、更衣室は男女別々だから、男性更衣室には、俺と悠太の二人だけということになる。
▽ ▽
更衣室で服を着替え、所持金などをロッカーに仕舞い、ギルドカードでロックすると、今度はスキル登録部屋へ移動する。
日向さんたち女性陣は、まだ出てきてなかったので俺は、スキル登録部屋にいるワークさんと世間話をする。
「おはようございます、ワークさん」
「おはようございま~す」
「コータ君、ユータ君、おはようございます。初詣以来ですね。
そういえば、ギルドカードは変更しましたか?」
俺たちに知らせた手前、気になっていたようだ。
「はい、ここの受付でナンシーさんに変更してもらいましたよ」
「俺も、表示変更してもらいました」
「それはよかった。
で、どうです?ギルドカードのステータス、見やすくなったでしょ?」
確かに、ワークさんの言うとおり、前の表示より見やすくなっている。
前の表示では、スキルレベルは分からなかったし、所持金も……いや、これはどうなんだろう。
「確かにわかりやすくなりましたけど、そもそも、ギルドカードへの表示ってどうして変更することに?」
「クレームなんですよ、地球の冒険者からの」
「クレーム……」
「実はですね?ギルドカードのステータス表示は、向こうの冒険者カードとこちらの冒険者カードで違っていたんです」
え、向こうの異世界の冒険者カードと表示の仕方が違うの?
「ギルドカードを最初に作成したのは向こうの世界の神様なんですが、今回地球のギルドカードを作成したのは、地球の神様なんです。
そのため、同じギルドカードでも表示の違いが出てしまいました。
そして、向こうの世界で向こうのギルドカードを見たんでしょう。
自分のギルドカードと、表示の仕方が違うことに気付き、同じ表示にするようにクレームがあったというわけです」
それで、表示を統一にしたってわけか……。
これから冒険者になる人は問題ないにしても、すでに冒険者になっている人は表示を訂正する必要があるわけね。
「何だか、発売後にバグが見つかって修正するゲームみたいだな」
「確かに、いい例えだな悠太」
そんな話をワークさんとしていると、日向さん女性陣の着替えが終わったようだ。
ぞろぞろと、更衣室から出てきた。
▽ ▽
「それでは、先ほど説明したように自分のスキルを決めてください。
あと、相談はいいですが強制はしないように、ね?」
そう俺たちにクギを刺してくるワークさん。
俺たちだって分かっていますよ。
でも、こんなことを言うということは、強制するような奴がいたってことなのか?
……いろんな人が登録していったようだ。
今日は、ここまで。
次回は、スキルを決めて異世界へ。
第57話を読んでくれてありがとう。
次回もよろしくお願いします。




