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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
日本で過ごす

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第54話 新年の初詣




「明けましておめでとう~悠太」

「おお、おめでとう康太」


冬休み11日目、今日は元旦。

電話で話した通り、今日は悠太と初詣にこの神社へ来ている。


ここは、駅から少し離れた場所にある由緒正しい神社で、有名どころではないが大きな神社だ。

昔から、初詣はこの神社に来ていた。


「悠太、明けましておめでとう~」

「おお凛ちゃん、明けましておめでとう~

康太、今日は妹も連れてきたのか?」


「ああ、初詣に行くって言ったら、私も行くってついてきたんだ」

「なるほど……」


そう言って、悠太は妹の凜を下から上へ眺める。

何かおかしいか?


「凜ちゃん、着物じゃないんだな……」

「動きにくいからね。それに、お正月だから着物って決まってないでしょ?」

「まあ、そうなんだけど、風物詩というかお正月ならではというか……」


悠太、うちの妹に情緒など関係ないぞ?

父さんは、着物というか晴れ着か?着せたがっていたようだが……。


「……とにかく、お参りに行こうぜ」

「お兄ちゃん、お賽銭ちょうだい?」

「凜、兄のお金で願い事するなよ……」


妹にお賽銭を渡し、俺たちは神社の階段を上っていく。

……神社の階段って、何でこんなに多いんだろうな~。




▽    ▽




「く、く、く……ふぅ、着いた……」

「……この神社、駅前から少ししか離れてないのに……。

……なんで、こんなに高い位置にあるんだ、よっと!」


一段一段、俺と悠太は登ってきた。


「お兄ちゃん、卸して……」

「ああ、もういいのか?」

「うん、おんぶ、ありがとう。

……でも、お兄ちゃん、体力あるね?最近、体鍛えた?」


妹の凜は、途中でバテてしまい俺がおぶってきたのだ。

最初を飛ばし過ぎたようだな。

一段とばしなんかをやっていたから、必然的にバテることになる。


他の参拝客たちは、その辺りを考えて一段ずつ確実に登っている。

インドア派な妹だから、体力がないのかもしれないが……。


「妹をおぶって登れるとは、これも冒険者効果か?」

「スキルとかは使えないが、基礎体力は影響があるらしいぞ?」

「マジで!」


「ああ、体の動かし方とかは直接脳や体が覚えているものだからな。

スキルはその基礎に色を付けて武器や魔法を使えるようにしているってことかな?」

「う~ん、よくわからんな……」


「すまん、俺も説明しにくい……」

「……まあ、とりあえず基礎体力は向上しているってことだな」

「ああ、向こうでさらに鍛えれば、こっちでも動きやすくなると思う」


冒険者として、異世界で鍛えると、こっちでも影響は出る。

ただし、スキルや魔法は使用できないので、いろんな国の言葉が理解できたり書けたり、アイテムボックスを使用したりはできない。


それでも、基礎体力は向上するようで、力が強くなったり足が速くなったりと目に見える向上から、病気に強くなったり、寿命が延びたりなどの目に見えない向上まであるそうだ。


特に、異世界で魔力を高めれば高めるほど、寿命が延びるらしい。

実際、そうなったとは証明できてないが……。



「……お兄ちゃん、悠太、何の話?」

「ん?駅前のギルドの話だよ」


実は、妹には、俺や悠太が冒険者になったことを教えている。

別に、秘密にすることでもないからな……。


「そんなことより、お参りに行こうぜ。

マイナーな神社とはいえ、参拝客は結構いるんだからよ」

「そうだな」

「うん」


俺たちは、大きな鳥居をくぐり拝殿を目指すため、参道を歩いて行く。




▽    ▽




参道を歩いていると、見知った人を見つけた。


「あれ、ワークさん?」

「何?!ワークさんがいるのか?」

「誰?」


参拝客に混ざって、冒険者ギルドにいるワークさんを見つける。

日本人とは違う顔なので、結構目立っている。


しかも、その隣には受付嬢のナンシーさんが一緒にいる。

……あの二人、周りから浮いてるな~。


「ワークさんというのは、冒険者ギルドの職員だよ。

ほら悠太、あそこにいるのワークさんだろ?しかも隣には、受付のナンシーさんだ」

「受付嬢のナンシーさんまでご一緒とは……」


他の受付嬢のローラさんとバーバラさんはいないようだな……。

こっちの風習?にでも興味があったのかな?


「俺、声かけてくる」

「あ、悠太!

……いくらギルド職員とはいえ、俺たちのことを覚えてないだろう?

特に受付譲なら、なおさらだろうに……」


俺が止める前に、悠太はワークさんとナンシーさんのもとに走って行ってしまった。

俺がこの後どうするか考えていると、凜が袖を引っ張ってきた。


「ん?どうした?」

「お兄ちゃん、私も冒険者になりたい」

「……えっと?」


妹の目は真剣だが、どういう理由で冒険者になりたいんだ?


「私も、あんな美人の知り合いがほしい!」

「……今度、冒険者ギルドに連れて行ってやるな?」

「ほんと?!ありがとう!お兄ちゃん、大好き!」


理由はくだらないが、妹が真剣なのは分かった。

とにかく、冒険者になれば、インドア派がアウトドア派になるかもしれん。


横で、妹が喜んでいると、悠太がワークさんたちを連れて帰って来た。


「コータ君も、初詣に来ていたんだね。

さっきユータ君に声をかけられて、驚いたよ~」

「コータ君、明けましておめでとう」


ワークさんが嬉しそうに、声をかけてくれたうえに、ナンシーさんが新年のあいさつをしてくれる。

それを聞いて、ワークさんも挨拶をしてくれた。


「おっと、まずは明けましておめでとうだったね」

「明けましておめでとうございます、ワークさん、ナンシーさん」

「……明けましておめでとうございます…」


妹の凜も、俺の後ろに隠れながら挨拶をする。

……人見知りな妹である。




今日は、ここまで。

次回は、お参りからお年玉へ。







第54話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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