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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
日本で過ごす

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第52話 電話で会話




冬休み9日目、あと二日で今年も終わりというこの日の朝、自分の部屋の大掃除も終わり、まったりと自分の部屋で本を読みながら過ごしていると、悠太から俺の携帯に電話がかかってきた。


――――ジリリリリリ~ン、ジリリッ。


「はい、もしもし?」

『見たか?康太……』


悠太、主語が抜けている。

いくら友達でも、その会話でわかるほど俺は神ではない。


ところで、俺の携帯の受信音は昔懐かしの電話音にしてある。

家族からは不評なのだが、祖父母からは好評だ。


前、実家に行った時、俺の携帯が鳴って祖母が『はいはい』と電話に出ようとしたときは、みんなで笑ったものだ。

その後、祖母に笑いながら注意されたけど、そんな着信音もあるんだなと祖父に興味を持たれたな……。


……まあ、それはいいとして。


「見たって、何のことか分からんぞ?悠太……」

『そうか?康太なら見ていると思って電話したんだがな~』


「……それで、何かあったのか?」

『ああ、昨日のテレビで例の『駅前の冒険者ギルド』が紹介されてたんだよ』

「おいおいマジかよ……。昨日の何時の番組だ?」


駅前のあのビルの中にあるギルドを紹介って、どんな番組だよ。

異世界へ行けるって紹介するのか?


……めちゃくちゃ胡散クセ~。

信じる奴がいるとは思えないな……。


『『えーこの怪しい駅ビル商会』って番組だ。

紹介と商会をかけたんだな、結構可愛い子だったぞ、リポーターの娘』

「お前、どんな番組見てんだよ……」


でも、そんな番組あったか?

おそらく深夜枠か年末枠のお試し番組じゃないのかな?


『時間は、え~と、夜の11時50分からだったな。

たまたま起きてて、テレビでやってたんだよ』

「……それはラッキーだったな…」


『おう。でもえーこちゃん、可愛かったな~。

地方で活躍しているアイドルらしくてよ、今回、全国放送で緊張しているとか言っていたな』


ということは、やっぱりお試し番組だったんだな。

しかも、時間も深夜に近いし……。


「それで、どんな紹介のされ方をしていたんだ?」

『ああ、まずは駅前にある怪しいビルの紹介からだったな。

ギルドがある駅ビルって、かなり怪しいだろ?

だから、外観を映して、ゲストと一緒に怖がっていたな~』


ゲストまで一緒だったのか……。

ゲストって誰だ?


「その、ゲストって誰だ?」

『大篠だよ、女優の大篠ユミカ。

リポーターのえーこちゃんとは、高校の同級生だったらしくて、今でも友達なんだと』


女優の大篠ユミカって、今一番注目されている女優だったな……。

……なるほど、友情出演とかで全国区か……。


「ところで、そのえーこって、フルネームは分かるか?」

『ん?確か、宮園えーこだったはず。

もちろん本名じゃないだろうけど、『えーこちゃん』で通っているな……』


「それで、外観からビルを紹介していたのか?」

『そうそう、でそのうちビルの中に入り、一番上の階から紹介していくんだよ』


確か、あの駅ビルの中には食事を提供している店もあったな。

かなり怪しいらしいが、美味いって噂がある。


他にも、オフィスにしている所とか、倉庫にしているところもあったな。

あとは、ネット通販しているところもあったような……。


『一番上の階から、怪しい看板が出まくりで、えーこちゃんと大篠ユミカが恐る恐る訪ねていくんだよな。

で、美味しいお店だったとか、取材できないところだったとか感想を言い合ってだんだん階層を降りて行くんだよ。


そのやり取りが、面白いうえに可愛いんだよな~』


悠太、なんだかんだでハマってるじゃねぇか。

これはもう、そのえーこちゃんのファンになりそうだな……。



「で、ついに冒険者ギルドにたどり着いたわけだ……」

『ああ、最初は二人とも、看板って言うか表札の『冒険者ギルド』を見ても何のことか分からなかったんだよ。

で、スタッフの人で分かる人がいてな?

その人が、丁寧に二人に説明。もちろん、そこは早送りになっていたよ……』


だろうな、スタッフ説明って出演者用だからな。

でも、それで分かったんだろうか?


「早送りあけに、二人は理解していたか?」

『ああ、どうやら二人もファンタジー小説とか読むらしくて、理解していたな。

だから、余計に怪しくなったのか、扉を開けるのに躊躇していたぞ』


まあ、そうだろうな……。

『冒険者ギルド』の看板しか出てないし……。


『そして、勇気を振り絞って二人で扉を開けると、えっと、ほら、スキルを決める部屋にいた……』

「ワークさんか?」

『そう、そのワークさんが笑顔で、挨拶したんだよ。

ところが、扉を開けてすぐだろ?えーこちゃんたち驚いちゃってな……』


……それはしょうがないな。

ワークさん、気合入りすぎだな……。


「驚いた後は、どうなったんだ?」

『CMにいったから分からん。

CM明けには、驚いちゃいました~とかワークさんと会話していたから、いろんなことがあったんだろうな……』


「その番組って、生放送か?」

『いや、違うぞ。番組の初めに何日収録って出てたし……』

「……なんで?」


『おいおい、康太はワイドショーとか見ないのか?

ゲストの大篠ユミカが、クリスマスに事故っただろ?

それで、今、検査入院とかでドラマやバラエティーを休んでいるからだよ』


「事故った?」

『ああ、ドラマの撮影の移動中に、大篠ユミカを乗せたロケバスが事故ってな、それで目に見えるケガだけじゃなくて、骨とかに異常はないか三日前から入院しているってやってるぞ?』


「事故ったのはいつだよ」

『三日前』

「じゃあ、その日に入院したってことか……」


『どうやら、俺たちが登録する前に収録したみたいでさ、惜しかったよな~。

俺たちが登録するところをテレビの取材が……』


……映りたかったのか?

しかし、あの時の、悠太たちがスキル選択の時のワークさんがおとなしかったのは、このことがあって多分誰かに怒られたんだろうな。


そうじゃなきゃ、あの人懐っこいワークさんが遠慮するわけないからな。

まして、俺に任せるなんてな……。




今日は、ここまで。

次回は、初もうでで何かが起きる……と、いいな。







第52話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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