表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
お試しの冒険者ギルド
5/120

第5話 スキル選択




冒険者ギルドの更衣室で着替え終わった俺とは違い、異世界の服を持ったまま何かを考えている悠太。

俺が声をかけようかと思っていたら、悠太が俺に質問してきた。


「なあ康太、この服は異世界の、向こうの世界の服だよな?」

「ああ、そうだよ」


「この全部のロッカーには、同じような服が入っているんだよな?」

「ああ、入っているぞ」


「服のサイズってどうなってんだ?」

「……ああ、なるほど。悠太が言いたいのは、ここに来て、いろんな人が服を着るのにサイズ別に分かれてなくていいのか?ってことか?」


「そうそう、そこが気になっていたんだよ」


「この服は、ある条件が付与されている。

それは、【サイズフリー】ってものが付与されているんだ。

これが付与された服は、どんな奴が着ても、小柄な奴や筋肉モリモリの大きな奴、お腹の出た太った奴がきても、ちゃんとその人専用の服になるってわけだ」


俺が説明している間に、悠太は着替え終わったようだ。


「へぇ~、すごい服だな、これ」

「悠太、気づいているか?

俺たちはすでに、異世界の技術の1つ『付与』という俺たちの知っている言葉で言うなら『エンチャント』という技術に触れているんだぞ?」


「!! そうだよ!何気に俺、もう異世界の技術に触れていたのか!」

「気づけよ……。ほれ悠太、とっとと行くぞ?日向さんと新城さんを待たせるなよ」

「おお、そうだな。で、次は何だ?」


「次は、お待ちかねの『スキル』だ」

「おお、楽しみだな!」


こうして、着替え終わった俺たちは入ってきた扉からではなく、部屋の奥にあるもう一つの扉から出て行く。




▽    ▽




俺たちが扉から出ると、すでに日向さんと新城さんは着替え終えて待っていた。

でも、機嫌が悪そうにないからそう時間がかかったわけではなさそうだ。


「日向さん、新庄さん、お待たせ」

「西園寺君、大丈夫よ、私たちも出てきたばかりだから」

「それより、ここってなんの部屋なの?」


「ここは、登録したての新人さんが『スキル』という自分の能力を決めるところです」


新城さんが俺にした質問に答えたのは、この冒険者ギルドの職員の一人で、この部屋担当の『ワークさん』だ。


「ワークさん、今日はよろしくお願いします」

「はい、君は前、ここを利用しましたね?」

「今日は、友達の付き添いなんです」


「では、私に代わって君が説明してあげてください。

もしそれでも分からないことがあれば、僕が説明しますので」

「その時は、よろしくお願いします」


俺は、頭を下げてお願いしておく。


この冒険者ギルド〇〇支部にも、結構な人が働いている。

外からでは分からないが、いろんな人がいるらしい。

ワークさんは、その中の一人で、人族の30歳のおじさんだ。


見た目は俺たちの世界にいる、その辺のおじさんと変わりない。

受付嬢のナンシーさんたちの印象が強くて、目立たないがギルド職員はこんな普通の人が多いそうだ。



俺たちは、部屋の中のさらに間仕切りされている部屋に入っていく。

会議室みたいなその部屋には、タブレットが机の上に置いてあった。


「おお、パソコンからタブレットに変わっている……」

「康太、これで俺たちの『スキル』を決めるのか?」

「『スキル』?」


日向さんが疑問に思っていることを口にしたが、今は悠太の質問に答えた。


「ああ、このタブレットに表示されている『スキル』の中から10個選ぶんだ。

でも、その前に、このスキャナーみたいな箱に、ギルドカードを入れて」


机の上のタブレットの横に、黒い箱が置いてある。


この部屋は、6人が使える長い机に6つの椅子が用意されていて、それぞれ小さな間仕切りが用意されていた。

まるでどこかのラーメン屋だ。


机の上には、それぞれにタブレットと黒い箱が置いてある。

そこに、悠太たちはそれぞれで座っていた。



「日向さん、『スキル』っていうのは、向こうの世界で発揮する自分の能力のことだよ。向こうは魔物がいる世界だ、今の俺たちが向こうの世界へ行っても魔物一体を倒すことさえ困難だろう?」

「ええ、多分そうね……」


「剣を握ったこともなければ、殺しをしたこともない。

そんな俺たちが、向こうの世界で人に近い魔物を殺せるかといったら、まず無理だ」


悠太たちは、頷きながら聞いているな。


そう、俺たちは平和な日本で生きていた平和ボケな人間でしかない。

向こうの異世界で、ゴブリンに出会ってすぐに倒せるかといったら無理だろう。

俺たちがまずとる行動といったら、全力で逃げることぐらいだろうな。


「この『スキル』は言わば力だ。

その力を使って、俺たちは向こうの世界でも生きていけるようになるんだよ」

「へぇ~、違う世界に行くって大変なのね~」


「新城さん、感心しているけどこれを宇宙に置き換えて、違う星に行くって考えたらどう?」

「……確かに、大変なことだわ」


日向さんも納得したようで、何度か頷いていた。


「康太、このタブレットの上部分に表示されている四角の空欄に、下部分に並んでいるスキルから選べばいいのか?」

「ああ、上の空欄の四角部分の上に二つだけ、あるだろ?」


「この【異世界言語】と【アイテムボックス】って表示されている?」

「そう、その二つは冒険者登録とともにもらえる『スキル』だから。

向こうの世界の言葉が理解できて書くこともできる『異世界言語』。

たくさんの物を入れておける『アイテムボックス』、便利な『スキル』だよ」


「この二つに加えて10個の『スキル』が選べるわけか……。

ど、れ、に、す、る、か、な~」

「んん~~」


三人とも、集中して選んでいるな……。

悠太は、何か探しているのか、しきりにスキル欄を動かしている……。

日向さんは、悩みながら選んでいるな……。

新城さんは、まず見て気になるものがあったら詳細を見て決めているようだ。


三者三様だな。



今日はここまで、次回は、スキル第二弾だ。







第5話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ