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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
冒険者への依頼

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第43話 初めての戦闘




「さて、どうする?もう少し、薬草採取を続けるか?」


ゴブリンを倒し、みんなに被害が無かったことに安堵し、ゴブリンの死体を森に投げ捨てた後、俺はみんなにこれからどうするかを聞いてみた。


すると、みんな少し考えた後、全員一致で薬草採取を続けると答える。

今度は俺が、みんなになぜ?と聞いてみると。


「だって、三束って少ないじゃない?」

「夕方まで、まだ時間あるじゃない」

「今度は、俺も魔物を倒してみたい」


「疲れてないから続けましょ」

「ウサギと猫以外の動物が見てみたい」


みんな、それぞれの意見があるようだ。

ただ、悠太の魔物を倒してみたいは、大丈夫かな?


……とりあえず、俺たちは再び薬草採取を続けた。




▽    ▽




「……あれ?これ『レンガル草』だね」


今度も新城さんが、新しい種類の草を発見する。

『レンガル草』は、ポーションの材料ではなく毒消し薬の材料になる。


「『レンガル草』ってなんだ?」

「遠藤君、『レンガル草』は毒消し薬の材料になる草よ。

『ポルマリン草』と同じくらい採取できる草なんだけど、岩場に良く生えている草なの」

「それじゃあ、この草原に生えているって……」


「ええ、珍しいわね~」


新城さんが、根っこから採取する後ろで悠太と市原さんが『レンガル草』について会話している。

確かに、草原に生えているのはめずらしいが、可能性がないわけではないからな……。


新城さんが採取し、アイテムボックスへ収納すると、再び薬草を探して草原を歩きだす。




▽    ▽




さらに二時間ほど草原を歩き回って、ようやく薬草が十束になった。

空を見れば、日が傾いていて、もうすぐ夕方になろうとしている。


「そろそろ、町に戻ろうか?」

「そうね、日も傾いてきたし、今日はこれくらいね……」


日向さんと空を見上げて、町へ帰ることにした。

みんな少し歩き疲れているようだが、町までまた歩くことになるのだ。


「しかし、ゴブリン以降、魔物や動物を見かけることはなかったな……」

「そういえば、ウサギも猫も見なかったわね」

「……草原って、生き物が少ないのかな?」


悠太の愚痴を皮切りに、竹原さんに市原さんが生き物がいないと話し出す。

確かに、今日の草原には生き物が少なかったな。

でも……。


「それは、昼間だったからじゃないかな?」

「……西園寺君、それって夜行性ってこと?」

「そう、特にウサギや猫はそうだろ?

そう考えれば、餌の動物がいる夜に動き始める魔物がいても……」


「おかしくないな……」


悠太の一言を聞いて、みんな頷いている。

まあ、夜行性っていうのも一つの答えなんだけど、おそらく今回はたまたまだろうね。


草原は、いつも動物や魔物は少ない。

理由はいくつかあるけど、一番なのは見通しがいいってことかな。

隠れる場所が少ないんだよね。


確かに、草原に生えている草は二十センチぐらいの高さがあるけど、それで動物や魔物の姿を隠すには小さすぎる。

現に、俺たちの後ろから背を低くして近づいてくる『ゴブリン』達も……。


「……ゴブリン?!」

「何?!」

「ど、どこに?!」


ヤバッ!驚いて声に出たため、みんなを焦らせてしまった!

とにかく、落ち着いて行動しないと。


「落ち着いて!後方より『ゴブリン』接近!数は六!それぞれ武器を構えて戦闘準備!」

「りょ、了解!」

「深呼吸して、落ち着いて対処すれば『ゴブリン』なんてザコだよ、ザコ!」


この一言で、みんなその場で深呼吸して、それぞれの武器を構え始める。

日向さんと竹原さんは刀を抜き前衛へ。

俺と新城さんと市原さんは、槍を構えて左右に展開。

悠太は、弓を構えて矢を引いて狙いをつける。


一方『ゴブリン』は、身を低くして走ってこちらに近づいてきている。

すべてのゴブリンが持つのはこん棒だ。


醜悪な顔のゴブリンが一瞬、嗤ったように見えた。

俺はすぐに気配察知を展開、すると、俺の右側からゴブリンが一匹迫ってきていた。


気づいた俺は、ハルバードを構えゴブリンを引きつける。

悠太の矢が放たれ、正面から襲ってくるゴブリンの一匹に命中!


『ギャギャギャ!』


目に命中したらしく、その場で足をばたつかせて苦しんでいる。

他のゴブリンは、苦しむゴブリンに目もくれず俺たちに向かって走り出した。

もう低く構えることなく、全速力で襲いかかってくる!


刀を構え、日向さんと竹原さんが先頭のゴブリンに襲い掛かる。

槍を構えた新城さんと市原さんは、日向さんと竹原さんの横を抜けてこようとするゴブリンに、槍を突き立てようと構える。


悠太は、次の矢を構える。

そして俺は、右から急に襲いかかってきたゴブリンに、槍の石突きでゴブリンの胸を思いっきり突き、ダメージを与える。


胸を押さえ苦しむゴブリンに、俺はハルバードの刃を振り下ろし首を刎ねた。


『ギュギャ!』



刀を構える日向さんと竹原さんは、襲いくるゴブリンを落ちついて袈裟切りにし、一刀のもとに倒した。


さらに日向さんと竹原さんの横をすり抜けようとしたゴブリンは、新城さんと市原さんが構える槍で突かれ、その場に倒される。

そこを再び構えた槍で、突かれて絶命した。


そして、まだ無傷で後ずさりしていたゴブリンは、悠太の放った矢が肩に命中。


『ギギャア!』


と叫び声をあげ、その場に倒れると日向さんの刀で首を刎ねられ絶命。

さらに後ろで目に矢が刺さったゴブリンには、竹原さんが駆け寄り首を刎ねて倒した。


こうして、計七匹のゴブリンの討伐に成功した……。




どさりと崩れ落ち、その場に座り込む女性陣。

悠太は、必死の形相で弓を構えたままだ。


戦果は華々しいものだが、戦ったみんなの心情はこの光景が表している通りだろう。

必死だった。

みんな、必死に戦ったのだ。


よく、いざ戦闘になった時、体が動かないっていう時があるがこの世界ではそんなことはあまりない。

なぜなら、スキルが存在するからだ。


スキルがあれば、それが仕事をする。

どんなに体が強張っていても、スキルが仕事をして動かしてくれるのだ。

刀での戦いを修行したこともない日向さんや竹原さんが、ゴブリンを一刀のもとに切る。普通はありえない。


だが、スキル『刀術』が仕事をして初級の技ではあるがゴブリンを切り殺せた。

ある意味、これこそがチートなのかもしれないな……。




今日は、ここまで。

次回、祝勝会……かな?







第43話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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