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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
冒険者への依頼

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第40話 町の外へ向かう




冒険者ギルドから西へ向かって、2分ほどの場所にある食事処『ニート』。

ここは何と、地球から来た日本人が経営しているレストランだ。


洋食を中心にやっていて、このナブトの町でも評判のお店である。


材料などはこの世界の物と地球の物を使用し、調味料はさすがにこの世界では手に入り難いため、地球の物を使用している。


これも、冒険者ギルドが地球と小さいながらも交易をし始めたおかげだ。


お昼まであと少しという時間に、俺たちはこの店に集まり昼食とした。

さすがに、お昼時にここへ集まることはできない。


午前10時からこのお店は開店しているが、行列ができるほどになるのはお昼過ぎてかららしい。

つまり、今の時間帯なら、並ばずにお店に入ることができるのだ。




「それで、遠藤君の弓はどうなったの?」


オムライスを食べながら、竹原さんが聞いてくる。

みんな、この店のことは信じていなかったが、百聞は一見に如かずとばかりに連れてきて正解だったようだ。


「ああ、ラリー教官に真剣に指導を受けていたよ。

ラリー教官も弓が得意なのか、一生懸命だったな……」

「おう、弓術での一撃必殺とか教えてくれたぜ!」


一撃必殺って、ラリー教官も、なんてものを教えたのか……。


俺はハヤシライス、悠太はミートスパゲッティを食べながら、訓練場でのことを話していた。


「日向さんたちは、図書館で薬草のことは調べられたの?」

「そうそう、午後からは町を出て薬草採取に行くんだろ?」


日向さんたちは、お互い顔を見合わせて図書館でのことを話してくれた。

だが、とくに何かイベントみたいなことがあったわけでもなく、薬草に関する本の数が尋常じゃなく多かったとか、魔法関連の本を読んで変わった魔法があったなど、普通の報告だった。


「とりあえず、薬草に関しては調べてきたから、任せて」


日向さんは、そう言ってオムライスをパクつく。

日向さんをはじめ、女子陣全員がオムライスを頼むとは……。


まあ、美味しいのは分かるんだけどねぇ……。




▽    ▽




俺たちは、行列ができ始めた『ニート』を出て、冒険者ギルドへ薬草採取の依頼を受けに行く。

薬草採取の依頼は、常時受け付けている依頼だが、受付きちんと受理しておかないと薬草の買取価格が違ってくるのだ。


俺もやってしまったうっかりなのだが、依頼を受けて薬草を買い取ってもらうと薬草10個の一束が、銅貨30枚で、依頼を受けずに薬草を買い取ってもらうと薬草10個の一束が、銅貨15枚となる。


そう、半分の値になってしまうのだ。


何故こんなに違うのか、それは薬草を買い取ってから薬師へ売るまでの工程にある。

依頼として受けての買取だと、冒険者ギルドお抱えの薬師へ渡り、依頼を受けずの買取は、一般の市場へ回されてしまうからだとか。


お抱えの薬師へ一束銅貨30枚で売り、一般へも一束銅貨30枚で売る。


お気づきだろうか?

売値が同じ銅貨30枚であることに。

そう、依頼を受ける受けないだけで買い取り価格が違うのに、売値は同じなのだ。


これは、冒険者に対する依頼を受ける大切さを教えているそうだが、本当のところはどうなのか……。




「ねぇ、この薬草採取の依頼書を剥がして受付に持っていくの?」

「常時受け付けの依頼は、受付での口頭でいいんだよ。

後は、ギルドカードを提示して受領処理してくれる」


「それじゃあ、受付に行きましょう~」


新城さんの質問に、俺が答えるとその答えを聞いて日向さんが受付へ促した。

さて、この依頼はどの受付で受領してもらうかな……。



しかし、俺たちが冒険者ギルドに入ってきたときから目をつけられていたのか、エマさんが受付スペースから手招きしていた。


笑顔で手招きされるその光景は、まるで招き猫である。


俺たちは、仕方なしにエマさんの受付に行き、薬草採取の依頼を受領してもらった。


「薬草採取は、周りに気をつけてね?

必ず誰かが見張りに立っていること、いいわね?」


そう注意されると、行ってらっしゃいと、笑顔で見送られた。




▽    ▽




「なあ、何でエマさんが手招きで俺たちを呼んだんだ?」


俺たち一行が東門へ歩いていると、悠太が質問してきた。

悠太には、エマさんの行動が不思議に思えたんだろうな……。


「たぶん、知り合いの冒険者だから面倒を見てくれた、てところじゃないのか?」

「そんなものなのか?」

「そうねぇ、私たちは新人だし、心配してくれたのかもねぇ」


不思議そうにしている悠太とは反対に、日向さんたち女性陣は理解しているようだ。

何か通じるところがあるのかもね、同じ女性だし……。



「ところで、これからみんなは初めて町の外へ出るわけだけど、準備はいい?」

「そういえば、町の外に出るのは初めてね」

「西園寺君、準備って?」


竹原さんが、町の外へ出ることに意識を向け、日向さんが質問する。


「防具はもう身に着けているみたいだからいいけど、ギルドカードは用意した方がいいよ?」


そう言って、みんなに俺のギルドカードを見せる。

町を出る際、門のところにある兵士詰め所で提示する必要があるためだ。


門のところにいる兵士は、町へ入ってくる人や馬車を調べるためにいる。

反対に、町を出るときは、兵士詰め所で手続きをすることで町を出ることができるのだが、商人や旅人は、次の目的地を知らせる必要があるが、冒険者はギルドカードを見せるだけで町を出ることができる。


これは、もし何かの用事で出て行ったものを追いかけなくてはいけない場合、目的地が分かっているとどこの街道を通って行けばいいかが分かり、追いかけやすいのだ。


そして、冒険者の場合は、ギルドに問い合わせればなぜ町から出たのかが分かるので、ギルドカードの提示だけで済ませている。




今日は、ここまで。

次回こそ、薬草採取で町の外へ……。







第40話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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