第4話 ようこそ、冒険者ギルドへ
『冒険者ギルド〇〇駅支部』と看板がかけられている扉を開けて中に入ると、いい匂いが香る。
それは優しい匂いで、俺たちの心を癒してくれる。
そんな中、悠太は冒険者ギルドの中をキョロキョロ見渡している。
「……悠太、左が登録のカウンターだ。
右側は掲示板になっていて「金髪碧眼!」……」
ダメだ、悠太の奴、受付嬢の三人にくぎ付けになってやがる……。
後ろの日向さんと新城さんを見ると、二人も受付嬢に見とれていた。
女性から見ても、見惚れるほどなのか……。
冒険者ギルドの中は、朝10時ごろということもあって、受付嬢の三人以外人はいない。
悠太にも言ったが、部屋の左側すべてがカウンターになっていて登録の受付をしている。
正面の奥には、扉が二つあり、あれが更衣室へとつながる男女に分けられた扉だ。
異世界はあの先にあるのだ。
天上は普通の高さで、駅ビルのオフィス部屋ならこのくらいだろう。
右側は全面掲示板になっている。
ここには、リアル冒険者ギルドに関するネットの掲示板のアドレスや、リアルマネーでの取引の依頼などが貼られている。
中には、攻略情報を募集している者や、パーティー募集の貼り紙もあるのだ。
また、向こうの世界で商売を始めた者の宣伝も、最近では貼られている。
どうやら、俺が二学期に来ていなかった間に、店までもった人が現れたようだ。
……とりあえず、掲示板のアドレスは登録しておこう。
「悠太、悠太!」
「……んん、何だ友よ。俺に何か用か?」
「カッコつけてないで、冒険者登録するんだろ?」
悠太に登録のことを促していると、日向さんと新城さんが正気を取り戻したようだ。
俺の後ろから「すごい美人……あれが異世界レベルなのね……」という日向さんの声や、「……三人とも、胸大きいな~」という新城さんの嘆きが聞こえた。
……ここは、あえて聞こえなかったことにしておこう。
「おい康太、三人の受付嬢のプロフィールを教えてくれ」
「小声で、耳元で言うな!くすぐったいだろ!」
こいつ、早く早くと急かしてきやがる。
「まず手前から、ナンシーさん。次が、ローラさん。最後が、バーバラさん。
何れもこの冒険者ギルドの美人受付譲だ」
「それは、疑いようがない事実だな」
ナンシーさんたちが、こちらに気が付いて手を振っている。
彼女たちの笑顔が、すごい威力だな……。
ナンシーさんは、胸の辺りまである長い金髪の女性だ。
見た目の年齢は20歳といったところか?お姉さんって感じだ。
スタイルも良くて、受付嬢の制服って胸の大きさが分かるんだよな。
姿勢もいいし、何より笑顔がまぶしい。
ローラさんは、長い金髪の髪をポニーテールにしている女性だ。
髪質が他の二人と違い、艶がある感じだ。
見た目はこれまた20歳ぐらいかな?
ローラさんもスタイルがよく、胸の大きさは他の二人と比べると少し控えめ。
でも、それでも日向さんや新庄さんより大きい。
……日向さんと新城さんに睨まれた。
ローラさんと比べたのが、ばれたらしい。後で、謝っておこう。
バーバラさんは、長い金髪をうなじの所で折り返して髪留めで留めている。
見た目は20代後半、大人の女性って感じだ。
バーバラさんもスタイルがよく、胸が大きい。
……おっと、俺の視線に気づかれたようで、意味深な笑顔を向けられた。
どの受付嬢も制服を着て、書類仕事をしていたが、今はこちらに注目していた。
どうやら、登録を促しているようだ……。
「悠太、冒険者登録、冒険者登録」
「ああ、そうだな。ところで、どの受付嬢がお勧めなんだ?」
「……全員おススメだ!」
で、結果、ナンシーさんに日向さん。
ローラさんに新城さんが行き、登録の手続きをしている。
悠太は、バーバラさんに見惚れて登録の手が止まっている。
俺は、悠太の後ろから肘打ちをして、登録を促しようやく手続きを済ませた。
その後は、ナンシーさんが悠太たちにこれからの登録手続きのことや諸注意などを言われる。
冒険者のランクや、冒険者としてのルールなどだ。
「あなたは、登録しなくていいの?」
バーバラさんが、離れたところにいた俺に話しかけてきた。
俺は、懐から冒険者カードを取り出し見せると、笑顔で「いらっしゃいませ、康太さん」とあいさつしてくれた。
「彼らは友達?」
「はい、みんなでクエストを頑張ろうと思います」
「気をつけてね?向こうは本物の世界だから、まずは死なないことよ?」
「分かってますって」
「それならいいのよ。皆も、先輩のあなたが導いてあげてね?」
「はい!」
バーバラさんは、俺の返事に笑顔で頭を撫でてくれた。
……なんだろう、すごくうれしい。
▽ ▽
受付カウンターで、冒険者になるにあたっての大まかな諸注意やルールを説明された後、俺たちは男女別々の更衣室へと入る。
更衣室に入ると、両側にロッカーが並び縦型の上下が別々のロッカーだ。
鍵はついておらず、センサーのような黒い板がついている。
「なあ康太、このロッカー、鍵が見当たらないんだけど?」
「ここの黒い板に、ギルドカードを当てると鍵がかかる仕組みだ。
どのロッカーを使っても問題ないから、早く着替えようぜ」
俺は、悠太の隣のロッカーを開けて、中にある服に着替え始める。
悠太も、興味津々にロッカーを開けて、服を取り出す。
「これって、向こうの異世界の服なのか?」
「そうだよ、この服を着ないと、向こうに着いた途端マッパになるぞ」
「マジかよ……なあ、下着も着替えるのか?」
「下着はそのままでいいらしい。
俺もその辺り不思議に思って、受付嬢に聞いたことあるんだけど、「ファンタジー仕様です」って、誤魔化された」
「誰に聞いたんだ?」
「ナンシーさん」
「くっ、今度俺も聞きに行こう」
……そして、可愛く言ってもらうつもりか?
『ファンタジー仕様です』って……。
……いいかもしれないが、早く着替えろよ悠太。
日向さんと新城さんが、次の部屋で待っているんだからな?
今日は、ここまで。
次回は、スキル選びの話だ。
第4話を読んでくれてありがとうございます。
次回もよろしくお願いします。