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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
冒険者への依頼

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第39話 羨ましがられること




「君たちが、連絡のあったコータ君とユータ君かな?」


俺たちが、冒険者ギルド地下一階の広さに驚いていると、後ろから声をかけてきた人がいた。

その人は、ギルド職員の制服を着た男性だった。


鍛えた体は、職員の制服の上からも分かり、この人が教官の一人であろうことはすぐにわかった。


「あ、はい、俺がコータです。

こっちが、ユータです」

「よろしくお願いします!」


「俺が君たちを教える教官のラリーだ。

これからよろしくな?」


「「はい!」」


イケメンな教官ではあるが、物腰も柔らかそうだし体育会系のような脳筋でもなさそうで安心した……。


「それじゃあ、早速だが、俺は何を教えればいいんだ?」

「あ、教えるのは、こっちのユータだけです。

俺は付き添いなので……。

それと、教えるのは、ユータがまだ使えないスキルを教えてもらえれば……」


「使えないスキル?もしかして、君たちは地球の冒険者か?」

「はい、そうですが……」


ラリー教官に、悠太の使えないスキルを教えてもらおうとしたら、地球の冒険者かと確認された。

何だろう、地球の冒険者だと、教え方が変わるのかな?


「それじゃあ、使えないスキルとは、選んだスキルのことか?」

「はい、そうです。どう使っていいのか、わからなくて……」


すると、ラリー教官は、俺と悠太をどうしたものかと困ってしまった……。


「ん~、これは忠告として聞いておいてほしいのだが……」

「忠告ですか?」


「そうだ、このギルドにいる間は、力をつけるまで地球出身の冒険者であることを、なるべくばれないようにすることだ」

「……何か、まずいことがあるんですか?」


「ああ、ここ三年の間に見かけるようになった地球から来た冒険者。

実は、この町の新人冒険者からは、かなり羨ましがられているようだ」

「………」


この町の新人冒険者から羨ましがられる……。

まあ、その理由も大体想像がつく。


「選べるスキル、ですか……」

「ああ、そうだ。

こっちの世界の新人冒険者も、学べばスキルは選べるが、身につけるまでが大変だからな……。

君たちのように、選んで身に着くなんてズルいと思われているらしい」


ズルい、チートですか?

でも、地球には魔物はいないし、魔法はない。

こっちの世界に転移してくるには、ある程度力が必要なんですよね……。


「まあ、地球の状況を俺たちギルド職員は知っているから、羨ましがったりはしないが、この世界の冒険者、特に新人には気をつけることだ」


まあ、自分からばらす必要なんてないから、なるべく仲間といるようにするぐらいかな。

そして、ラリー教官からの子の忠告は、日向さんたちにも知らせておこう。




▽    ▽




「さて、ユータ君の知りたいスキルは何か、教えてくれるか?」


気持ちを切り替えて、ラリー教官が悠太の使えないスキルを聞いてきた。

ここはしっかり教えてもらおうか。


「悠太、今使えないスキルって何がある?」

「えっと、『弓術』『狙撃』『回復魔法』『風魔法』『気配察知』『格闘術』の六つだな」


「ん~それなら、『狙撃』は『弓術』の時に教えればいいか……。

『格闘術』は組手をすれば自然と使えるようになるし、『気配察知』は目を閉じて辺りの気配を探れば、すぐに身に着くぞ?」


「『気配察知』って、簡単そうだな……」


そう言って、悠太は目を閉じ、何やら唸りだした……。

そして、すぐに目を開ける。


「……周りの気配が、すぐにわかった……」

「やはり、スキルを持っているとすぐに身に着くな~」


ラリー教官は、悠太の『気配察知』を少し試して習得の速さに苦笑いだ。

そして、次に『格闘術』を身につけるために……。


「俺と悠太で、組手、ですか?」

「ああ、コータ君は『格闘術』は身につけて?」


そうラリー教官に聞かれたので、俺は顔を横に振る。


「そうか、でも、組手くらいはできるだろう?

剣術、槍術、棒術、盾術と装備武器術を身につけているものは、組手ぐらいはできるようだしな……」


そう教官に言われたので、俺と悠太は向かい合って組み手をする。

最初はぎこちなかったが、しばらく組み手を繰り返していると、悠太に余裕が生まれ俺が追い込まれるようになり、組手終了となった。


「おお、これが『格闘術』か……。

なんだか世紀末覇者にでもなった気分だぞ!」

「悠太……調子に、のりすぎ……だ……」


自分の手のひらを、握ったり開いたりを笑顔でしている悠太に対し、俺は、息も絶え絶えでやっと立っていた……。

く、何故俺が、こんな苦労をしなければ……。


「さて、次は魔法を教えておこうか」

「はい、よろしくお願いします!」


元気いいな、悠太の奴。

ここは、俺は休息をとらせてもらおうか……。


ラリー教官と悠太は、魔法を撃つためのスペースへ移動していく。

俺は、なれない『格闘術』の組手をしたため、休憩することに……。


訓練場の邪魔にならない端により、その場にしゃがみこんで休憩する。

自分の持っていないスキルを使おうとすると、今の俺のように疲労するのだ。


そして、この疲労を繰り返して、初めてスキルが身に着くそうだ。

……なるほど、新人冒険者が羨ましがるのも納得だな。




▽    ▽




俺が休憩して、三十分が経過したころ、ラリー教官と悠太が戻ってきた。

悠太の笑顔を見る限り、魔法を無事身につけることだできたようだ。

後は、最後の『弓術』と『狙撃』だな。


弓を使い、狙った的に集中していれば、『弓術』も『狙撃』も身に着くことだろう。

遠距離攻撃で、狙った獲物を外さなければかなりの戦力になるな、悠太は。




今日は、ここまで。

次回は、いよいよ薬草採取か?







第39話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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