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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
冒険者への依頼

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第38話 ギルド地下の訓練場




冒険者ギルドに併設されている喫茶店で、今後の話を終え、日向さんたち女性陣は依頼を受けることなく町にある図書館へ行くことに。


『鑑定』スキルを使えるようにするためと、この異世界のことを知るために午前中いっぱい使うようだ。

そして、昼食をはさんで午後から、みんなで『薬草採取』の依頼を受けることに決まった。


俺と悠太は、午前中にギルドの地下で訓練をすることに。


でも、悠太の選んだスキルを使えるようにするための訓練だから、昨日の日向さんたちと同じように、そう時間はかからないだろう。


日向さんたちとの合流予定の昼食まで時間があるなら、俺たちも図書館へ行くことにした。




▽    ▽




日向さんたちが、冒険者ギルドを出て行って一時間が経過したころ、ようやくギルド内は落ち着き始めた。

依頼掲示板の前も、人が少なくなり、受付前も余裕が出てきている。


「そろそろ、受付に申し込みに行こうぜ悠太」

「人も少なくなったし、頃合いか……」


俺と悠太は、並ぶ人のいなくなったエマさんの受付へ行った。


「おはようございます、エマさん。

ギルドの訓練場の使用と教官の申し込みをお願いします」


俺が、エマさんに声をかけると書類整理をしていたエマさんが手を止め、応対してくれた。


「おはようございます、コータ君。

ギルドの訓練場って、コータ君が使うの?」

「いえ、仲間の悠太が使います。俺はその付き添いで……」


「なるほど、それじゃあ今空いている教官は……。

ラリーがいるわね、彼なら魔法もいけるから大丈夫でしょ?」

「では、そのラリーさんでお願いします」


「分かったわ、こちらで連絡しておくから、このカードを持って地下の訓練場に行ってね?」

「「ありがとうございます」」


俺は、エマさんからカードを受け取ると、悠太と一緒に冒険者ギルドの地下の訓練場へ向かった。



この冒険者ギルドという建物には、地下が二階分ある。

地下一階は、冒険者たちの訓練場となっていて、特殊な空間魔法で四方一キロの空間を訓練場としていた。


また、汗を流すシャワーや風呂も併設されており、訓練の後利用するものが多くいる。

あと、訓練場には、魔法の訓練も行える場所が区切られており、その場所は防御魔法で強度を上げているのだとか。


そして、その訓練場のさらに下の地下二階は、何があるのか俺は知らない。

というか、公表されていないのだ。


ある冒険者によれば、冒険者ギルド専用の宝物庫があるとか、一定の周期で、非公認の奴隷市場が開かれる空間があるとか、様々な噂があるだけで、真実は分からない。


ギルド職員であるエマさんやキャロルさんも知らないのだから、もしかしたら、本当は存在すらしていないのかもしれないな……。



「ところで康太、そのカードは何だ?」


冒険者ギルドの地下へ向かう階段を降りていた時、悠太が受付で渡されたカードが気になっていたようだ。


「これか?これは、地下へ行けば分かるよ」

「……?」


悠太と一緒に地下へと降りると、階段を降りたところに廊下1つを挟んで両開きの扉があった。

そして、その扉の端にセンサーがあり、そこにカードをかざすとピピッという機械音が鳴り、ガチャっという鍵が開く音が聞こえた。


そう、これは訓練場のカードキーなのだ。


「……なぁ、これってファンタジー感、台無しじゃねぇか?」

「訓練場は、許可のないものは立ち入り禁止なんだよ。

だから、こんなカードキーをつけたらしいぞ?」


「でもよ~、何でここだけ、地球の鍵なんだよ……」


悠太が、カードキーのセンサーを睨んでいる。

まあ、分かるけどな……。

俺も、最初見た時は、何か大事なものが砕けた感じだったからな……。


「ここの鍵は、最初は南京錠みたいなカギだったそうだ。

それから、魔法によるカギに変わったんだが、地球と取引するようになって今のカードキーになったんだと。


南京錠の鍵だと、開ける奴がいるし、魔法の鍵でも同じだったそうだ。

でも、カードキーにしてからは、まだ開けられたことが無いそうだから用途としてはありなんじゃないか?」


「でも何で、こんなに厳重に?ただの訓練施設なんだろ?

「それは、入ってみればわかるよ」


俺は、笑顔で悠太を連れて、訓練場の中へと入った。




▽    ▽




「…………」


悠太はその訓練場の景色に言葉もでないほど驚いている。

俺も、初めてここへ来たときは、悠太と同じように驚いたものだ。


冒険者ギルドの地下一階。

ここは、訓練場として使われるだけなのに、外に来たのかと見間違うほどの空が存在する。しかも、その下にある広大な広さの地面。


一辺が一キロある正方形の空間らしいが、町の地下に影響を与えないように、ここは空間魔法の魔道具を使い広げているだけだとか。


また、見える場所にシャワーや風呂の施設があり、教官が待機している控室も存在する。


さらに辺りを見渡せば、魔法を扱う訓練場所も見えるのだ。


「……こんなに広いとは……。

なぁ康太、ここって集団戦闘もできるんじゃないのか?」

「できるよ。

前、エマさんが教えてくれたんだけど、冒険者の集団戦訓練で百対百で使ったことがあるらしいぞ?」


「すごいな……。

でもよ、ここを厳重にする意味が分からないんだけど?」

「……気づかないか?悠太。

この空間を造りだしているのは、空間魔法を利用した魔道具だ……」


「!そうか、その魔道具を守るためにあの厳重さがいるのか」

「当たりだ。空間魔法を利用したその魔道具は、かなりの貴重品でな?

盗まれないように、設置してあるここを厳重にする必要があるそうだぞ?

でも、まあ、どこに設置してあるかはギルドマスターしか知らないらしいが……」


この異世界では、空間魔法はめずらしくない。

『無限鞄』なるものがあるからな。


だが、問題は付与できる規模にある。

『無限鞄』のように、鞄への付与なら空間魔法使いでも使えるのだが、この空間のように大きな部屋となると魔力が持たない。


まして、魔道具としてとなると膨大な魔力が必要らしいのだ。


そういえば昔、大陸一つ分の空間を造りだす空間魔法『箱庭』なるものが存在したらしいが、それを使いこなしていたのは人ではないだろう。


おそらく、この世界に顕現した神の類だろうと、この世の伝説を集めた本に記載されていたのを俺は思い出した……。




今日は、ここまで。

次回こそ、訓練と図書館のことを……。







第38話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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