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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
冒険者への依頼

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第37話 鑑定スキルの利点




冒険者ギルドにある依頼掲示板前の混雑を避けるために、一時間ほどギルド併設の喫茶店でお茶することに。


ここは午前四時から午前十時までの期間のみ、喫茶店として営業している。


もちろん、時間帯によってはお酒も出して食事もできるが、ここはあくまでも、冒険者が待ち合わせや移動の合間にちょっと食事でも、ちょっとお茶でもという時のために利用する食事処でしかない。


ガッツリお酒を飲みたければ、外の酒場に行けってことだ。

よく小説などの物語であるような、酔っぱらった先輩冒険者とかはいないのだ。


「俺、コーヒーね」

「俺も~」

「私は、カフェオレがいいかな……」


「あ、私は、ミルクティー」

「私も、ミルクティーで」

「私は、コーヒーをお願い」


「畏まりました、少々お待ちください」


俺たちの注文を聞いて、ウェイトレスさんが厨房へ知らせに行く。

冒険者でごった返しているとはいえ、ここにくるお客の数はまばらだ。

そのため、すぐに席に座ることができた。


俺と悠太と市原さんが、コーヒー。

日向さんが、カフェオレで。

新城さんと竹原さんが、ミルクティー。


ここは朝食も出してくれるが、宿で食べて来たばかりだ。

この場で注文する者はいないだろう……。


「それにしても、朝の冒険者ギルドをなめてたな……」

「遠藤君の言うとおり、こんなに人が多いとは思わなかった……」


「新城さんは、ラノベとかは読んだことない?

朝の冒険者ギルドの混雑ぶりは、よく書かれているんだけどね?」

「私は読んでるから、知っているぞ?

でも、現実でこんなに混みあうとは思わないだろう?西園寺」


「確かに、俺もラノベとかで知っている口だけど現実は違うよな……」

「とりあえず、掲示板の前が落ち着くまで、ここでお茶してればいいよ」


市原さんの提案に、みんなで賛成してこの喫茶店で時間をつぶすことに。




「お待たせしました~」


それぞれが注文した飲み物が、ウェイトレスによって運ばれて来て、それに口をつけ落ちつくとみんなの話題は、今日の受ける依頼の内容に……。


「それで、今日受ける依頼ってどんなものにするの?」


まずは、日向さんから皆への質問が出される。

皆の顔を伺う日向さん。


「こういう時は、薬草採取とかが定番でしょ?」

「そうだな、ラノベとかで一番簡単な依頼として有名だよな」


ラノベを読んだことある竹原さんと悠太が、薬草採取を薦める。


「薬草採取って、ラノベと違って現実はそんなに簡単な依頼じゃないぞ?」

「西園寺君は、やったことがあるの?」

「ああ、だからこそその大変さも知っているんだ」


「康太、薬草採取の大変さ、教えてくれよ」


悠太が、興味津々で聞いてくる。

他のみんなも、気になっているようで俺に顔を向けていた。


「えっと、まず薬草採取は、ポーションという回復薬を作るために行われるわけだ。素材として使うためだな。

ということは、薬草の取り方を知らないといけない」


「あ、そうよね。

薬草のどこ部分が薬として使われるのか知っておかないと、無意味な部位を取ってきてしまうってこともあるのよね……」


新城さんが、頷きながら理解を示す。


「そう、そして、もっと大事なことは、採取する薬草がどんなものか知っていないといけないってこと」


「……そういえば、俺、薬草ってどんな草なのか知らないな……」

「これは盲点ね、私も知らなかったわ……」


そう、悠太たちは、この異世界に来てまだ五日と過ごしていないのだ。

竹原さんと市原さんにいたっては、今日で二日目である。


薬草採取は、異世界モノのラノベのど定番だが、薬草本体の姿は千差万別だったのだ。

ということは、この異世界でも薬草の姿は地球にあるものとは異なるということで、まずは、調べなければならないのだ。


「でも、私たちには『鑑定』スキルがあるわよ?

これで、一つ一つ生えている草を調べればどれが薬草か分かるんじゃないの?」


竹原さんが、『鑑定』スキルのことに触れる。

そこに、俺が訂正を教えた。



「あ~、竹原さん。その『鑑定』スキルなんだが、この町の外の草原で使ったとしても、薬草のことは分からないぞ?」

「え、鑑定できないの?」


「実はこの『鑑定』スキルは、分からないことを教えてくれるスキルじゃないだよ。

鑑定した物のことを思い出すスキルって言った方がいいかな……」

「どういうこと……?」


竹原さんをはじめ、全員が困惑するのも無理はない。

俺もこの『鑑定』スキルのことを知った時は困惑したのだから。


そもそも、この『鑑定』スキルは『鑑定』するスキルであって知らないものを調べるスキルではないのだ。


言うなれば、古美術鑑定人が古いツボを鑑定するようなもの。

玄人の知識で、素人に物の価値を教えることなのだ。


そう、知識あっての鑑定でしかないのだ。

だから、知識にないものは鑑定すらできないのである。



「……というわけだ」

「それじゃあ、一から勉強して知識を得なければいけないの?」


日向さんたちが、一様にめんどくさそうな顔をしている。

特に悠太は、あからさまだな……。


「そこは心配には及ばない。

この『鑑定』スキルには利点があるんだよ」

「利点?」


「そうだよ日向さん、実はこの『鑑定』スキルは一度読んだ本は知識として記憶してくれるんだ。

しかも、よく読む必要はない、パラパラと流し読みで知識は記憶してくれる。

だから、薬草関連の本を流し読みするだけで、薬草採取の時役に立つようになるんだ」


「読みこむ必要は、ないのね?」

「ああ、流し読みで十分みたいだよ」


おお、全員の沈んでいた雰囲気が明るくなった。

そして、これからの方針が決まった瞬間だった……。




今日は、ここまで。

次回、町の外へ薬草採取か?







第37話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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