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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
冒険者への依頼

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第35話 異世界のギルド事情




悠太が妄想に耽っているうちに、俺は依頼達成の手続きをとることにした。

受付にいるシャーリーさんに、依頼カードと俺と悠太のギルドカードを提出し、完了判を押してもらう。


「……はい、依頼完了です。

そして、こちらが報酬となります。お疲れさまでした」

「ありがとうございます」


俺が報酬を受け取ると、ギルドの地下から日向さんたちが上がってきた。

そして、俺と悠太を見つけ、こちらに近づいてきた。


「西園寺君、遠藤君、依頼は終わったの?」

「ああ、今手続きをしてもらって、報酬を受け取ったところだよ」


ようやく妄想から戻ってきた悠太は、ギルド地下にある訓練場から戻ってきた日向さんたちに、声をかける。


「みんな、訓練はどうだったんだ?」


悠太の質問に、女性陣がお互いに顔を見合わせ、笑顔で答えてくれた。


「私たち、魔法が使えるようになったわよ」

「まだ、初心者レベルだけど、魔法が使えるって面白いわよね」

「ほんと、魔法って面白いわね~」


日向さんと新城さん、そして竹原さんが嬉しそうに魔法について語ってくれる。

身振り手振りで、本当に面白かったのだろう。


市原さんは、魔法ではなく武器を使いこなせたことを喜んでいるみたいだ。


「私は、短槍術の使い方が面白かったわね」

「市原さん、武器に短槍を選んだの?」

「ええ、攻撃の武器が何種類か欲しかったからね……」


……なるほど、一つの武器を極めるのではなく、状況や敵に応じて武器を変えていくっていうスタイルか。

いろんな依頼に応じれるってところは、冒険者らしいスタイルだよな。


そこで、気になったので俺はそっと、竹原さんと市原さんのスキルを見せてもらった。

二人の選んだスキルは…。


竹原さんが、『刀術』『魔力制御』『火魔法』『水魔法』『風魔法』

『精神耐性』『鑑定』『気配察知』『抜刀』『身体能力向上』


市原さんは、『剣術』『短槍術』『槍術』『護身術』『回復魔法』

『魔力制御』『精神耐性』『鑑定』『気配察知』『身体能力向上』


竹原さんは、日向さんと同じように刀を使いたがっているようだな。

でも、全体的には、魔法が主体となるのかな?


市原さんは、武器による攻撃が主体となるようだ。

魔法は回復魔法だけみたいだし……。



「そういえば、皆さんは、どなたに訓練を受けましたか?」


竹原さんと市原さんのスキルを見せてもらい、今後のパーティー戦闘のことを考えていると、受付嬢のシャーリーさんに質問された。


「確か、私たちのスキルにある武器や魔法を一通り教えてくれたのは……」

「ウィリアムさんでした」


「えっ、男性の教官でしたの?!」

「あ、はい、そうでしたよ?」

「今日は、女性の教官は午後からになるって言ってましたね……」


シャーリーさんが驚き、日向さんたちは、シャーリーさんの態度に困惑している。

何かあるのだろうか?


「あのシャーリーさん、教官が男性だとまずいんですか?」

「あ~、コハルさんたちは、ウィリアムに教わっていたんですよね?」


俺の質問を受けて、さらに日向さんたちに質問するシャーリーさん。

本当に、何かあるみたいだな……。


「教わったというより、私たちのスキルを知ってやり方を見せてもらった、てところかな?」

「そうね、手とり足取り教えてもらってはないわね……」

「うん、見せてくれた、が正しいわ」


すると、シャーリーさんはホッと胸をなでおろしたように安堵している。

どういうことなんだろう?


「あの……」

「ああ、ごめんねコータ君。

実は、冒険者ギルドで武器の使い方や魔法を教わる場合、異性に教わることは禁止されているのよ」


「え、そうなんですか?!」

「何故、そんなことが……」


異性ってことは、今回の男性教官に日向さんたちが教わることが、禁止事項に当たるかどうかで質問していたのか……。

でも、この禁止事項って、何かあったからなんだろうな……。


「もう何年も前のことなんだけど、昔、ギルドの教官とその教官に教わっていた女性冒険者がくっついちゃったのね?

その教官も、女性冒険者に対して一生懸命教えるものだから、何と言うかお互い惹かれあったって言うかね……」


恋愛のきっかけとしては、あるあるな話だよな……。

教師と生徒でもある事だし……。


「ただ、その女性冒険者には、将来を約束した相手がいたのよ……」


あれあれ、雲行きが怪しくなっていったぞ?

この話の流れだと、教官が女性を奪ったのか、浮気が本気になったのか、それとも……。


「それで、教官とその将来を約束した男との間で揉めてね?

最終的に、女性冒険者が教官を選んだことで、将来を約束した男の人が身を引いたというか、引かざるを得なかったというかね……」


う~ん、結婚を約束して、第三者の男に取られたって話だな……。

でも、このままで終わるなら禁止事項にはならないよな……。


「ただ、その約束した男の人の親が黙ってなかったのよね?

その親っていうのが貴族だったから、この話の最後も分かるでしょ?」


うわ、それはダメだ。


「結果、教官の男は暗殺され、女性冒険者は、暗殺された教官がしていたとされる借金を、背負わされて奴隷落ち。

借金奴隷になった後は、娼館で働いて借金を全額返済。

奴隷から解放された後は、最後まで独り身だったらしいわ。


でも、この話で一番救われないのは、将来を約束していた男も自殺していたことね。

女性と別れてしばらくは、引きこもっていたんだけど、ある日自宅で首を吊って自殺していたそうよ。


そんな実話があってね?

冒険者ギルドも、異性の教官に教わることを禁止したのよ。

ただ、この話、あまり浸透してないのか破る人が多いのよね……」


……救われない話だ。

女性が悪いのか、教官が悪いのか、将来を約束した男が悪いのか……。


「あの、異性の教官に教わった場合の罰則とは?」

「教官には、半年の職務停止、教わった方には、罰金ということになっているわよ」


微妙な罰則だな……。

でも、今回の日向さんたちは、教わったというより見せてもらっただけだからセーフということか?

見せてもらった後は、自主練習をしていたってことだな。




今日は、ここまで。







第35話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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