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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
冒険者への依頼

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第33話 あの日の思い出 その3




「コータ君、もっと前に出てっ!」

「はいっ!」


『ポック村』への道中、森の側を通ると木々の間からオークが三匹、俺たちの馬車に向かって襲いかかってきた。

そこで、まずエマさんが魔法でオークを足止め。


エマさんの魔法に驚いたオークに、今度はキャロルさんの放った矢がオークに傷をつけていく。

オークの外皮は、結構硬いためいくらエルフのキャロルさんの弓でも、致命傷を与えることは難しいらしい。


そこで、俺の出番というわけだ。

アイテムボックスから俺は自分の槍を出し、オークの足を中心に叩き切っていく。

この時の俺の槍は、造ってもらったばかりのハルバートという槍だ。


だが、オークの上半身や腰回りには脂肪と筋肉がついていて、俺の槍でも一刀のもとに切ることができないんだ。

特に今の俺のレベルや力では、なおさらそんな真似はできない。


そこで、オークの足を傷つけ、立ち上がれないようにし止めを刺していく戦法にした。


「エマ、私の矢に魔法を!」

「分かったわ!…………【ウィングボム】」


エマさんの魔法が、キャロルさんの構えている矢の鏃にある魔石に集まり、風属性の特徴の緑の光を灯した。

そして、狙いをつけてオークの頭めがけて矢を射る!


『ブボンッ!』


オークの頭がはじける音とともに、はじけた最後のオークの鳴き声が辺りに響く!

その音と声に驚き、他の二体のオークがキャロルさんとエマさんの方を驚いた表情で見た。


そこへ、俺が槍を振るい、オーク二体の足を傷つけ地面に倒した。

地面に倒され、俺を睨むオークたち。


しかし、無情にもキャロルさんとエマさんの協力した矢が、片方のオークの頭吹き飛ばした!


今度ははじけた音のみで、最後の一体となったオークは、隣のオークの惨状を見て怯え始める。

だが、無情にもそこへ俺の槍の斧の刃が振り下ろされ、絶命するのだった。


「フンッ!」

『ブギュウ!』




▽    ▽




……オーク三体、ようやく倒し終えた。

いきなり森の中から出て来たようだが、それに気づいたエマさんの魔法によって足止め、キャロルさんの攻撃や俺の攻撃で、何とか撃退した。


「お疲れ様コータ君、なかなかの槍捌きだったよ~」

「うんうん、新人冒険者とは思えない戦いぶりだったね」


エマさんとキャロルさんが、俺の戦い方を褒めてくれる。

エマさんの魔法や、キャロルさんの弓の方がすごかったのにもかかわらずだ。


「とんでもない、俺は無我夢中で……」

「謙遜しない、しない。ちゃんと戦えていたよ?」

「そうね、さすがは地球の冒険者といったところね」


エマさんもキャロルさんも、笑顔で褒めてくれる。

が、すぐに倒したオークを、俺のアイテムボックスに収納させ馬車に乗り込むと出発した。

それほど、村への物資輸送を優先したいのだろう。




「それにしても、コータ君は地球の冒険者だったんだね?」


馬車で出発して、すぐに質問してくるエマさん。


「そうよ、コータ君は地球の冒険者。

だから、あんなに槍捌きが上手いのよ~。

ねぇコータ君、『槍術』のスキル、持っているでしょ?」


「あ、はい、スキルを選ぶとき取りましたから……」

「そうか、地球出身はスキルを自由に選べるんだったわね……」

「地球に冒険者ギルドの支店ができて三年、今年に入ってから爆発的に増えたのよね~」


へぇ~、あの駅前の冒険者ギルドは三年前にできたのか。

それと、今年に入って増えたのは、例の掲示板が原因だろうな……。


俺もあの掲示板を見て、興味が引かれたし…。



「それにしても、キャロルさんの矢って、特別製なんですか?」

「ん?もしかして、オークの頭を飛ばした奴?」

「ええ、それです」


すると、キャロルさんが矢筒から徐に、一本の矢を取り出す。

そして、その矢を俺に見せてくれた。


「これね?」

「あ、はい、これです……」

「これはね、鏃の所に魔石が組み込んであるのよ。

それで、その魔石にエマの魔法を吸収させて、敵に打ち込むと敵に当たった衝撃で魔石の中に吸収した魔法が暴走して爆発するの。


その爆発力で敵を倒すんだけど、威力は吸収する魔法で変わるわね。

ちなみに、これ一本金貨1枚するのよ……」


「き、金貨1枚?!」


矢一本に、金貨1枚は…と思ったが、あの威力を見ると納得だろう。

それにしても、オークに一本金貨1枚の矢を二本も使うとは……。


「フフフ、今オークに二本も使って、もったいないって思ったでしょ?」

「は、はい……」


見透かされている、恥ずかしい……。

顔が熱い、おそらく俺は今かを真っ赤にしているのだろう。

キャロルさんが、俺を見て笑顔になっていた。


「普通はね、もったいないって思うけど、いくら高いといっても使わないと意味がないのよ?

これは、魔物を倒すための武器ですもの。

もったいぶっていたら、いざって時に躊躇して使えなくなるのよ」


「そうね~。コータ君、キャロルの言う通り、武器はどんな立派なものでも使わなきゃ意味ないのよ?

大切な人が襲われている時に、もったいないから使わないってことはないでしょ?」


「勿論です!エマさんが襲われそうなときでも、夢中になって助けると思います!」

「ほんと?ありがとう~」

「あらコータ君、私は助けてくれないの?」


「とんでもない、キャロルさんが襲われそうなときも体を張って助けますよ!」

「フフフ、ありがとうね~」


この会話の後、5分ほどで俺たちは『ポック村』にたどり着いた。




▽    ▽



「たぶんその時の会話が、仲良くなるきっかけだったんだろうな……。

あの後、村でもいろいろとあったし……ん?どうした悠太」


「……リア充死すべしっ!」


悠太は、俺を置いて冒険者ギルドに駆け込んでいった。

……死なねぇよ?!




今日は、ここまで。

次回は、日向さんたちの訓練の様子かな?







第33話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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