表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
冒険者への依頼

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/120

第30話 清掃依頼




「えっと、この先にある古着屋を左に曲がった先だな……」

「……結構入り組んでいるな……」


俺と悠太は、冒険者ギルドの受付でもらった地図に従って、目的の奴隷商の店を目指している。

ギルド公認と聞いて、大通りに面した店と思いきや、何度も通りを曲がり奥へ奥へと進んでいる。


「ギルド公認とはいえ、扱っているものが奴隷だからな……」

「購入者を限定するわけか……」


そして、ついにそのお店に到着した。

看板は出てないが、大きな建物に小さな扉が一つ。

その扉に、『冒険者ギルド公認 アルバード商会』とだけ書かれた板が掛けられていた。


俺と悠太は、その看板を見て眉を寄せる。


「……これが看板か?」

「……とにかく、ノックするぞ」


悠太が扉にノックする。すると、すぐに扉が開き男の人が出てきた。


「いらっしゃい、冒険者ですか?」

「はい、清掃の依頼を受けてきました」

「ああ、清掃依頼の冒険者ですか。

では、中へどうぞ。仕事の説明をしますので……」


男性に促され、俺と悠太は店の中へ入っていく。

そして、俺たちが店に入ると、その男は扉を閉めて鍵をかける。


「さあ、こちらへ」


男に促されるまま、店の奥へと進んでいく。


奴隷商館の中は、俺が考えているような場所ではなかった。

そこかしこに奴隷の入っている檻などはなく、また、どこかの牢屋のような感じでもなかった。


あまりにも俺たちがキョロキョロするものだから、案内してくれた男の人がいろいろ教えてくれた。

まず、奴隷にはちゃんと食事が一日に二回あたえられる。


まあ、商品なんだから当然だ。

扱いも丁寧かつ清潔にしているそうだ。

……そうしないと、売れないよな。


客が来た時だけ、対面できる部屋に行き、並ぶそうだ。

それ以外は、大部屋に入って待機しているとか。

夜はちゃんと睡眠をとらせるし、週に五回は風呂にも入れているとか。


……ちゃんと、している。

さすが、冒険者ギルド公認の奴隷商だ。



「それで、君たちの仕事は、奴隷たちが大部屋にいる間に、奴隷たちが睡眠をとる部屋の掃除をお願いしたい。

出来るなら、ベッドメイキングもお願いしたいのですが……」


期待するような目で、俺たちを見てくる案内の男の人だが、俺たちはベッドメイキングはやったことないな……。


そんなやり取りをしている間に、奴隷たちの寝室に案内される。

そこは、二階から上の部屋。

どうやら、そこが奴隷たちの寝室として使われているようだ。


戸を開け、部屋の中に入ると、ベッドが三つ並んでいる。

ここは、本当に寝るためだけの部屋として使われているようだ。


「では、掃除をお願いしますね。

道具は階段を上がったところにあったロッカーの中だから。


それと、部屋の掃除が終わったら、扉を開けておいてくれ。

俺が後でチェックするから」


「分かりました!」

「それじゃ、よろしくね」


そう言って、案内をしてくれた男の人は、階段を降りて行った。

……不用心……ではないか、盗む物はないということだろう。


「それじゃ、始めようぜ~」

「そうだな……」


どういうわけか、悠太が元気ない。


「悠太、何かあったのか?」

「……康太、何もないから落ち込んでいるんだよ」

「何もないからって、何故落ち込むことがある」


「……俺たち、奴隷に会ってないだろ?」

「会う必要はないだろう?」

「………でも、会ってみたいじゃねえか~」


……奴隷に会いたいって、会ってどうする気なんだ?


「悠太、会いたいなら、お金貯めて客として会いに来ようぜ……」

「……うん」


階段そばのロッカーから、掃除道具を出し部屋を一部屋ずつ掃除していく。

掃いて、拭いて、ベッドメイキングらしきことをして、部屋のドアを開けて次の部屋へ。

こうして、すべての部屋が終わったのは、閉店の少し前だった。




▽    ▽




掃除道具をロッカーに戻している所に、案内をしてくれた男の人が階段を上がってきた。


「どうやら、終わったようですね?」

「はい、この階の部屋、すべて終わりました」

「では、チェックしますから、ちょっと待っていてください」


そう言うと、手前の開いてるドアから部屋に入り、チェックしていく。

そして、十分ほどで、この階のすべての部屋を回りきった。


「確かに、清掃が終わっています」


俺は、依頼終了のサインをもらうため、受付で渡されたカードを出すと、男の人は、サラサラとサインをしてくれた。


「はい、二人とも、お疲れさまでした」

「「ありがとうございます」」



こうして、奴隷商の清掃依頼は、奴隷に会うことなく終わった……。

悠太は帰りの道で、今度は客として尋ねるぞと、決意していたけど……。




「さて、康太君。ちょうどいいから、受付嬢のあの態度の秘密をきかせてもらおうか?」


冒険者ギルドへの帰り道、悠太が知りたいといっていた、受付嬢たちの態度について聞いてきた。

まあ、確かに、受付嬢のキャロルさんとか、エマさんとか、あからさまな態度をしているかな。

悠太は、気になってしょうがないのだろう。


「いいけど、日向さんたちには内緒にしてくれよ?」

「だいじょうぶ、絶対に話したりしないから……」


……心配だけど、まあいいか。


「あれは、俺が夏休みにこっちに来た時の話だ。

時期は、もうすぐ夏休みが終わるかって頃だから、二十六日ぐらいか。

俺は、冒険者としていろんな依頼をこなして頑張っていたんだよ。


そんな時、掲示板にある依頼書が貼られた………」




今日は、ここまで。

続きは明日になると思います……。







第30話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ