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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
冒険者への依頼

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第27話 冒険者ギルドの歴史




私の名前は、竹原 葵。

友達で幼馴染の日向 小春に無理を言って『冒険者ギルド』なる所へ連れて行ってもらったのだけど、はっきり言ってうさん臭かった。


今年、好きな人と同じクラスになれたと、嬉しそうに話す小春は、可愛かった。

それからも何かあるたびに、嬉しそうに報告してくれるんだけど、段々鬱陶しくなるのよね……。


いくら幼馴染といえど、小春の好きな人の話ばかりを聞かされてもね~。

いい加減うんざりしてしまう……。


でも、その話が少し変わったのは夏休み明けから。


小春が言うには、その好きな人の雰囲気が変わったとか。

まあでも、何日かしてすぐに夏休み前の雰囲気に戻ったらしいんだけど、ちょっと気になって調べたらしいのよ。


で、その秘密は、その好きな人とその友達との会話に隠されていた。

そのキーワードが『冒険者ギルド』という言葉。


冒険者ギルド、普通の人は何のことか分からない人もいるけど、ゲームやアニメ、漫画やラノベを読む人なら、何度となく聞いたり見たりした言葉よね。


もちろん、私もゲームは好きだし漫画も読む。

だから、冒険者ギルドの意味は知っているけど、それが会話の中で出てきて実在しているとなったら、話は別だ。


クリスマスイブの日、小春に連絡すると、冒険者になったとか異世界に行ったとか、かなり興奮していた。

何とか落ち着かせて話を聞けば、駅前に『冒険者ギルド』ができていて、そこで冒険者になれて、しかも異世界に行けたとか……。


私はその話を聞いて、最初に思ったのが騙されているのか?ってこと。

次に思ったのが、洗脳かVRなるもので見せられた映像か?だ。


実際、よく考えれば異世界に行くなんて、ありえないし行けるわけない。

それに、冒険者になるのだって、冒険者カードなる記念品で誤魔化しているだけでは?って疑ったのだ。


だからこそ、クリスマス明けにまた、異世界へ行くと聞けば確かめたくて無理を言って付いてきたのだ。

琴音はついでだ。


ちょうど、小春に異世界へ行くという話を聞いた時、側にいたので誘ってみた。

そして、いよいよ待ち合わせ場所に行くと、西園寺と遠藤の二人がいる。

小春とリコもいっしょにいたので、今回の急なお願いを一応謝っておいた。




▽    ▽




西園寺たちに案内され、駅前にある雑居ビルの二階。

ここに例の『冒険者ギルド』は存在した。


ドアを開け、中に入ると小春に聞いていたとおり、美人な受付嬢が……。

……ここまで来て、私は小春の話が本当のことではないかと信じ始めていた。


なぜなら、今、説明をしてくれている受付嬢はテレビで見る美人タレントや女優以上の美人だったから……。

こんな美人、地球上に存在したのか?


「……以上ですが、何か質問はありますか?」


はっ!受付嬢の美人さんに見惚れていてほとんど聞いてなかった。

質問……質問……そうだ、前々から聞いてみたかったことを聞いてみるか。


「あの、冒険者ギルドの歴史を教えてもらえませんか?」

「え?ギルドの歴史、ですか?」

「は、はい!」


美人の受付嬢が、少し困っている。

……困った顔も絵になるわね。


「葵、おかしな質問するのね?冒険者ギルドの歴史なんて」

「そう?ちょっと本とか読んでて気になったから、聞いてみたんだけど……」

「本のギルドと現実のギルドは違うでしょ?」


小春のツッコミにぐうの音も出ない、確かに違うけど……。

気になるじゃない、冒険しない冒険者たちの集まりなんて……。


「まあまあ、では、ご説明しますね?

冒険者ギルドの歴史は、護衛戦士までさかのぼります。


当時、商人たちの護衛として町から町へと渡っていた護衛の戦士たち。

その護衛戦たちと商人の間では、よく護衛の報酬で揉め事があったそうです。


護衛戦士たちは、脳筋が多かったですからね。

報酬をごまかしたりされたそうですよ?

そこで、立ち上がったのが引退した護衛戦士たち。


自分たちの経験や数字に強い奴を仲間に入れて、護衛戦士たちを悪徳商人から守るために『護衛戦士の互助会』ができたそうです。

報酬の交渉やケガなどによる補償など、その辺りを一手に引き受けたそうで、すぐに加入者が増えたそうです。


そうなると、今度は商人たちもそんな互助会の良い様にされないため、商人のための互助会を作ろうと動いたのが個人でやっている商人たちです。

大店といわれる大きな所は専属の護衛戦士がいますからね。


そして、その小さな商人たちが集まって作ったのが『商業ギルド』なんです。

『商業ギルド』は、小さな個人商人たちが集まって作ったんですよ?

その後、値段交渉やお金の管理、さらには仕入れまで行うようになり、大店の商人たちがその便利さに目をつけ加入していくと、一気に大きくなっていきました。


で、その護衛戦士の互助会も、便利だといって加入者が増え、名を『傭兵ギルド』へ変えて動いていきます。

護衛戦士も傭兵と呼ばれるようになり、多数の傭兵の加入を果たすと、ある問題が出てきました。


それが、護衛以外の時間をどう過ごすかです。

護衛依頼は、いつでもあるわけではありません。

そのため、暇な傭兵たちによる事件が問題になっていったのです。


対応に苦慮したギルド側が見つけた解決策が、護衛以外の仕事だったんです。

以前から、傭兵ギルドへ問い合わせがあった護衛以外の仕事。

それを暇な傭兵たちに与えて、報酬を受け取る。


まさに『冒険者ギルド』の前身が、ここに誕生した瞬間でした。

しかも、この護衛以外の仕事の請負が、町の発展や国への貢献につながり、信用をかちえていき、全町へと波及していったのです。


そして、傭兵ギルドはその仕事の多様さから名を変え『冒険者ギルド』となりました。


ですから、冒険者の冒険とは、何かの目的のために危険な状況に身を置くこと、ではなくやったこともない多種多様な仕事をすることなのです。

冒険者ギルドとは、何でも屋のようで何でも屋ではないんですよ?」


受付嬢の説明に、西園寺と遠藤が拍手を送る。


「へぇ~、そんな風にできたんですね~」

「ローラさんの説明聞いて、初めて知ったぜ……」


受付嬢の名前は、ローラさんというのか。

しかし、なるほど……需要にそって名を変え仕事を変え今に至るか……。


「多種多様な仕事を体験する冒険、か……」

「どう?葵、冒険者、やっていけそう?」


小春たちが、私を見ている。

私は、ギルドカードを持って、笑顔で答えた。


「面白そうね!」


その言葉と表情に、安心したようだ。

私は、もう疑っていない。

これから、冒険者としての私がスタートするのだ……。




今日は、ここまで。

次回は、葵と琴音のスキル選び。







第27話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

冒険者ギルドに関する歴史は、分かりやすかったでしょうか?

私に文才があれば、もう少し何とかなったのかな……。

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