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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
お試しの冒険者ギルド

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第22話 倉庫の整理整頓




冒険者ギルドで請け負った依頼、商業ギルド倉庫の整理だが、現場に来てみればとてつもない木箱の量だ。


俺は、第六倉庫の入り口側に積み上げられているパレットを、アイテムボックスに入れながら、みんなに指示を出した。


「まずは、指示したとおりの木箱をそれぞれのアイテムボックスに仕舞ってくれ」

「「「ラジャー」」」


そう返事をして、木箱の横面にはられた紙を見ながら、それぞれの担当の物を仕舞っていく。

これは、木箱の中身を確認してしまう作業なので、たいして時間はかからず小一時間で終わった。

が、問題が発生した。


「この二つの木箱が、アイテムボックスに入らなかったぞ?」

「中身は何が入っているんだ?」


「えっと……コーヒー豆、紅茶の茶葉、が入っているようです」


だとすると、アイテムボックスに入らないことはない。

考えられる原因は……。



「……生物?」

「「えっ?!」」「生き物なのか?」


二つの木箱の側で、驚く日向さんと新城さん、そして悠太。


「アイテムボックスは、生きている物を仕舞うことはできない。

これって常識だったと思うけど、知らなかった?」

「ゴメン、知らなかった…」「私も……」


日向さんと新城さんは、この手の小説とか漫画とか読んでいないからか?


「ああ、俺知ってた」


悠太、知ってるならなぜ驚いた?

……でも、生き物が入っているとなると、確かめないといけないんだけど。


「この木箱、しっかり蓋が閉まっているんだよな……」

「西園寺君、中身を確かめるの?」


日向さんが、心配そうに聞いてきた。

木箱の中身の生物が、苦手、もしくは嫌いな生き物だったらどうしようか。

そんな感じだろうか?


う~ん、時間も無いしな。


「とりあえず、この木箱はここへ置いておこう。

それよりも、他の木箱を整理しておかないと、今日中に終わらないぞ?」

「……そうね、ここは入り口近くだし、邪魔にならないでしょう」


みんな、倉庫整理をまずは終わらせることにした。




▽    ▽




第六倉庫の一番奥の左端。

俺たちは、ここから木箱を整理して置くようにしていく。


「それで、どう置いて行けばいいんだ?」

「まずは、倉庫の壁際にパレットを置いて……」


木箱の置き方の説明に入ったところで、日向さんから質問の手が上がる。


「西園寺君、パレットって何?」

「えっと、日向さんも倉庫入口にあった木で組んだ板状のものがあっただろ?

地球だと、フォークリストなんかで運ぶ時に使う物なんだけど、こっちにそんなものないから湿気予防のための木の板状のものを、パレットって言うんだよ」


そう、湿気予防だ。

この第六倉庫だけを見て他の倉庫がどうなっているか分からないが、同じように通気性がいいとは思えなかった。


だから、木箱自体が湿気を予防してくれるとはいえ、地面に直接置くことは避けるためパレットが用意されていたのだろう。



「じゃあ、パレットのことが分かったところで、まず、壁から少し離して壁際にパレットを置きます」


壁から20センチほど離して、アイテムボックスからパレットを取り出し、地面に置く。

ここは、倉庫の奥にある角だから、通気性はますます悪くなる。


なので、壁から離す必要があるわけだな。


「パレットを置いたら、その上に鉱物入った木箱を置く。

悠太、悠太のアイテムボックスに仕舞った木箱を置いてくれ」

「おう」


悠太は、アイテムボックスから木箱をパレットの上に出した。

鉱物の入った木箱は重いから、そのまま置くように出した方が便利だな。


「次に、木箱一つとちょっと開けて、パレットを引く。

その上に、悠太、木箱を置いてくれ」

「はいよ」


再び、悠太のアイテムボックスから鉱物の入った木箱をパレットの上に出す。


「次は通気性のためにちょっと開けて、次の木箱を置き、次の木箱との間は、再び一個とちょっと開けて置いていく。

これの繰り返しで、置いて行けば整理できるってわけだ」


「この木箱一つとちょっと開けるのは、何故?」

「それは通路にするためだよ。

いくら倉庫いっぱいに木箱を積めても、通れる道があれば奥に置てある木箱も取り出し易いだろ?」


新城さんの質問に、答えるとみんなで感心している。

通路を作るのは、当たり前だと思うのだが……。


「とにかく、これで木箱を置いて行こう。今日中に終わらせるぞ!」

「「「おーっ」」」


こうして、第六倉庫の木箱を整理して置いていく。




▽    ▽




お昼を一時間ほど過ぎたころ、倉庫入口に、今回の依頼担当のマークさんが現れた。

どうやら、昼食を持ってきてくれたようだ。


「マークさん、ありがとうございます」

「いえ、それにしても、もうここまで終わったんですね。

あんなに乱雑に置かれた木箱が、こんなに整理整頓されているなんて……」


そう、俺たちはマークさんに呼ばれるまで、夢中で整理整頓していたのだ。

おかげで、全体の9割の木箱を倉庫に仕舞えたのだ。


後は、食料品の入った木箱を並べて、問題の二つの木箱だけである。

……ちょうどいい、マークさんに問題の木箱を確認してもらおう。



「マークさん、ちょっといいですか?

報告したいことがあるんですが……」


俺は、食後の紅茶を飲み終わると、カップを机に置きマークさんに相談することに。

悠太たちも、俺の行動を察したのか、黙って俺とマークさんを見ている。


「はい、何でしょうか?」

「実は、あそこにある木箱なんですが、どうやら生物が入っているようなんですよ」

「……生物?」


俺が頷くと、席を立ち二つの木箱に近づく。

そして、横に貼ってある紙を確認する……。


「コーヒー豆、紅茶の茶葉と書かれてありますね……。

それで、どうしてこの二つの木箱に、生き物が入っていると?」


「この二つ、アイテムボックスに入れられなかったんです」

「……なるほど……」


商業ギルドの職員のマークさんは、二つの木箱を凝視する。

……もしかして、『鑑定スキル』を使っているのか?




今日は、ここまで。

木箱の中身は、明日のお楽しみ。







第22話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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