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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
お試しの冒険者ギルド

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第21話 アイテムボックス




商業ギルドの奥に、今回の依頼の倉庫が並んでいる。

左から第一倉庫、第二倉庫と並んで最後に第六倉庫が建っていた。


表の馬車が出入りしている搬入口から、馬車でそのまま入り倉庫の前で止まる。

そして、扉が開いている倉庫に品物の入った木箱を納め、Uターンして再び搬入口から出て行く。


そうして、商業ギルドでは、いったん倉庫に取引のある品物の入った木箱を倉庫に納めることをしている。

そして、倉庫内で木箱から品物を取り出し、取引相手に納めているようだ。


無論、木箱のまま納めることもあるそうだが。



俺たちは、第六倉庫の前まで案内されると、ここで担当の者が来るまで待つことに。


俺は、他の倉庫を頭目に眺めると、今扉を開けて搬入をおこなっているのは、第四倉庫のようだ。

第四倉庫の前に馬車を止めて、筋肉モリモリの男たちが馬車から大きな木箱を慎重に、倉庫内へ運び込んでいる。


「悠太、あの人たち、すごい筋肉だな……」

「……見ろよ、腕だけじゃないぜ?あの足の筋肉、すげぇな~」


俺と悠太は、荷物運びの男たちの筋肉に驚いていたが、日向さんと新城さんは別のことに驚いていた。


「小春ちゃん、気づいてる?この倉庫の大きさと広さに……」

「ええ、これから私たち、この倉庫の荷物整理よね?」


日向さんと新城さんが不安になるのも頷ける。

倉庫入口から見ても、商業ギルドの倉庫がいかに大きいかが分かるのだ。

そして、そこに納められる木箱の数も、大体予想がつく。


となれば、今日、この第六倉庫の荷物整理がどんなに大変なことか。

そして、報酬がその労力に見合っているか……。


そんなことを考えていると、商業ギルドの建物から、一人の職員らしき人が近づいてきた。

その人は男性で、見た目小柄な人だ。


「冒険者の皆様、依頼をお受けになってもらってありがとうございます。

私が、担当のマークと申します。

では、さっそく皆様に荷物整理を行っていただく、第六倉庫を開けますね」


そう言うと、マークさんはズボンのポケットから二つの鍵を取り出す。

そして、倉庫にある二つの鍵穴に差し込んだ。


すると、ガチャガチャと音をたてて、ひとりでにいくつもの鍵が開き扉が開いていく。

俺たちは、自動でゆっくりと開いていく扉に驚き、倉庫内の木箱の数にさらに驚いた。


「……なんですか?この木箱の数は……」

「ものすごい量でしょう?

実は昨日、飛び込みの取引がありまして、この木箱の数なんですよ。

商業ギルドとしては、飛び込みの取引なんて珍しくないのですが、飛び込みでこの数は初めてです。

それで、搬入はしたものの倉庫整理が追いつかず、急遽ギルドに依頼を出したというわけです」


確かに、この数は異常だな。

この第六倉庫いっぱいまで、木箱が埋め尽くしている……。

整理しながらの積み込みをする、余裕がなかったんだろうな。


とりあえず、大きな木箱を下に、小さな木箱を上に置いてはいるが量が多すぎて把握できていないんだろう。


「あの、木箱の中身は分かっているんですか?」

「それなら、この横面に紙が貼ってあるでしょ?

この紙に、木箱の中の品物が記載されているので、それを確認して整理してください。


食料品は倉庫入口付近へ、鉱石などは倉庫奥へ、本や書類などの紙製品は倉庫手前へ、金属製品などは倉庫奥へ、後は、確認がとれるように積み上げてください」


「……分かりました。頑張らせていただきます……」

「はい。あ、後、お昼はどうされますか?」

「昼食が付いているんですか?」


俺たちは一瞬、昼食つきかと喜んだのだが…。


「いえ、休憩を入れるのかどうかを聞いておきたかったので……」

「あ、えっと、休憩は取ります……」

「では、その時に飲み物でも差し入れしますね」


「あ、ありがとうございます……」


この返事の時、俺の顔は赤かっただろうな……。

その後、マークさんがいなくなると、俺たちは分担を話し合った。


「ねぇ、この倉庫整理、今日中に終わるかな?」

「う~ん……」


日向さんと新城さんが、第六倉庫の入り口から内部を見て唸っている。


「日向さん、新城さん、俺たちには『アイテムボックス』という強い味方があるでしょ?」

「え、使えるの?この荷物、他人のだよ?」


「使えるよ、というか『アイテムボックス』について教えるけど、このスキルは他人の荷物でも入れることはできるんだよ。

ただし、条件が付く。


まず、今回のように依頼として受けた場合、他人の荷物でも入れることができる。

その代わり、持ち逃げはできない。

何故かは知らないけど、他人の荷物を本人から1キロ離すと自動的に『アイテムボックス』からはじき出されるんだ」


「……それじゃあ、今回は誰の荷物ということになるの?」

「今回は、商業ギルドの荷物ということになるから、商業ギルドから1キロ離れると、はじき出されることになる」


日向さんと俺との会話に、悠太が入ってきた。


「それじゃあ、地球に帰った場合はどうなるんだ?」

「こっちの、冒険者ギルドの転送陣の所にはじき出されることになる」


日向さんと悠太、そして新城さんもうまくできていると感心している。


「ほら、感心してないで、さっさと始めるぞ~。

まず、日向さんは食料品の木箱を。悠太は鉱石など倉庫奥へ運ぶ木箱を。

新城さんは、俺と一緒にそれ以外を『アイテムボックス』に入れていきます。


倉庫内の木箱を全部収納したら、まず掃除、倉庫の前に積まれているパレットを引いて、その上に種類別で木箱を並べていきましょう」


「「「ラジャー」」」




今日はここまで。

整理整頓、大事ですよね?








第21話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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