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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
お試しの冒険者ギルド

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第20話 初依頼は簡単なものを




「ねぇ、気になっていたんだけど、このランクって何?」


日向さんは、依頼書に書かれているランクが気になったようだ。

このランクは、依頼を受けれる冒険者ランクではなく、冒険者になってどれだけ経つかという、経験のことだ。


最初は『新人』からスタートし、『駆け出し』『ベテラン』『プロ』と続く。


これは、冒険者としての経験が依頼に関係するためで、ギルド側の配慮で記されているのだ。だが、必ずしも守る必要はないが、苦労するのはやむを得ないだろう。


「依頼書のランクは、冒険者としての経験のことだよ。

本来は、F・E・D・C・B・A・Sとランクが付くんだけど、経験は考慮されていない。

このランク分けは、ギルドへの貢献度によって分けられているからね。


そこで、経験を考慮したランクが『新人』や『ベテラン』といったランク分けになるんだよ」


「なるほど、貢献度と経験でランク分けなのね……」


依頼書のランクは主に、ギルドへの貢献度で別れるのだが、討伐依頼だけは、経験で分けられている。

それは、死亡率を減らすためであり、素材の質向上のためでもあるのだ。



「今日は家に帰るんだから、安全面をとって町中の依頼にしようぜ」

「そうね、遠藤君の言うとおり町中の依頼を探しましょう」


悠太と新城さんの意見が一致し、俺たちは町中の依頼書を探すことに。


「……ねぇ、今日中ならこれ、いいと思うんだけど?」

「どれどれ……」


日向さんが探し出した依頼書、それは商業ギルドの倉庫整理。

商業ギルドにある、第一から第六までの倉庫の中で、現在使っていない第六倉庫の整理をするというもの。


実際は掃除しろってことだろう。

報酬は、銀貨十五枚。日本円にして、一万五千円。

これはおいしい仕事になる。


「ん~、報酬も高いしパーティーで募集しているしいいと思うぞ」

「よし、この依頼を受けようぜ~」


悠太が依頼書を剥がし、受付へと持っていく。

その後ろを、俺たちもついて行こうとしたのだが、朝のギルドは、依頼を受ける人が多く受付には列ができていた。


そのため、受付には俺が行くことになり、みんなのギルドカードを預かって列に並んだ。

並ぶ列は、キャロルさんが担当している列だ。

なぜか、キャロルさんの列が一番少なかったからなのだが……。



列に並んで、20分ほどすると、俺の番となる。


「おはようございます、キャロルさん。

依頼書の受理、お願いします」


そう言って、掲示板から剥がした依頼書と四人分のギルドカードを出す。

キャロルさんは、依頼書とギルドカードを受け取ると、まず依頼書の隅に書かれている依頼番号を小箱サイズの魔道具で、ピッと読み取り、さらに四枚のギルドカードも読み取る。


すると、小さなモニターサイズの水晶が光り、一枚のカードが出てきた。

カードのサイズは免許書ぐらいのものだ。


「はい、受理しました。

それでは、依頼終了の際は、依頼者のサインをこのカードにもらってきてくださいね」

「分かりました」


そう言って、ギルドカードと依頼カードを渡される。

そして、俺が受け取ると最後にいい笑顔で挨拶してくれるのだ。


「今日も頑張ってね、コウタ君」

「はい!」


……うん、キャロルさんのあの笑顔での見送りに返事をしない奴はいない。

といっても、受付嬢のみんな、こうやって送り出してくれるわけなんだが……。


悠太たちと合流し、ギルドカードを返却。

そして、いよいよ初依頼に出発だ。




▽    ▽




商業ギルドの倉庫は、例の馬車が行き交っていた場所の奥にある。

だが、倉庫に行くのに馬車が出入りしていた場所から行くのは危険なので、商業ギルドの正面へとまわり、倉庫へ案内してもらおう。


冒険者ギルドから、右へ進み、馬車の出入りを確認すると、南方面へ進み、商業ギルドの正面へと出る。


この商業ギルドも大きな建物で、冒険者ギルドと大して変わらないほど大きい。

しかも、商業ギルドは幅も広いのだ。


それは、敷地が広く倉庫一棟の大きさが大きいというのもある。



俺たちは、商業ギルドの正面玄関から中に入ると、冒険者ギルド同様いろんな人の声が飛び交っていた。

その飛び交う声も、大半が行商をしている人と受付との会話で、何やら買い付けで揉めているようだ。


「……これが商業ギルドか」

「こんなに朝早くでも、いろんな商人が来ているんですね……」

「……西園寺君、あそこに並んでいる扉は何?」


新城さんが気が付いたものは、入り口から見て右側に並ぶ扉だ。

今は人の出入りはないから、気になったのだろう。


「あれは個室だよ。取り引きなんかに使う部屋があるんだ。

特に商業ギルドに、鑑定なんかを依頼する時はあそこでおこなわれるんだ」

「へぇ~」


「それじゃあ、あれは?あれは何?」


今度は日向さんが質問してくる。

日向さんの指さす先には、左右に引く扉があった。


「あそこはお店だよ。商業ギルドが営業しているお店なんだ。

まとめ売りとかにも、応じてくれるから便利なんだよ。

ただ、商人は利用しないけどね……」


「え?何で?」

「言ったろ?店売りだって、だからまとめ買いの割引とかが無いんだよ。

あの店で、購入する人は大半が旅をしている人だな。

後は、遠征とか護衛依頼の冒険者とかかな……」


「なるほどね~」



俺たちが、ギルド内の店の話をしていると、商業ギルドの職員の女性が近づいて声をかけてくれた。


「いらっしゃいませ、商業ギルドへようこそ。

本日はどのような用件でこちらに?」


短い金髪の髪を手で払いながら、笑顔で俺たちに話しかけてくる。

が、その目は笑っていなかったな……。

まるで、品定めされている気分だ。


「はい、冒険者ギルドの依頼で、第六倉庫の整理を……」

「それなら、ご案内しますね。

それと、後で担当の者が説明してくれますので、倉庫の前でお待ちください」


「分かりました」


そう言って、俺たちを第六倉庫まで案内してくれるようで、歩いて行く。

俺たちは、その女性の後をついて行った。




今日は、ここまで。

意外な依頼って、思いつかないものだな……。







第20話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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