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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
お試しの冒険者ギルド

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第17話 異世界の道事情




ナブトの町を歩き、ようやく俺たちは中央広場までたどり着いた。


「ここが、この町の中心にある中央広場だ」


「ほぉ~」

「ここ、馬車が円形に通れるようになっているのね……」

「これ、確かフランスの凱旋門辺りと同じみたい……」


この町の中心にある中央広場は、フランスの凱旋門のような場所になっていた。

凱旋門の周りを円形の道路にして、信号が無くても回れるようになっている。


この世界に信号機はないし、交通整理の警察官もいないから、このような似た作りになるのは必然だったのではないだろうか?

直角に曲がるのではなく、中心に建っている時計塔の周りをまわっていきたい道へ行けるようになっている。


この町ができた頃から、こんな道になっていたそうだ。




▽    ▽




俺たちは、高い時計塔を下から眺めながら、観光を楽しんでいた。

この広場の周りにある屋台、店を散策し、気になった店に入っていく。

そんなことを繰り返していると、夕方となり、時計塔の鐘が鳴る。


「もう夕方の6時だな、宿に戻って夕食にしようか」

「そうだな、腹も減ってきたし……」


「遠藤君、あれだけ屋台のものを食べてたのに……」

「……ねぇ西園寺君、教会ってどこにあるの?」

「お、そういえば、異世界ファンタジーの定番の教会の建物を見てないな……」



このナブトの町は、この中央広場の時計塔を中心に、東西南北に大きな道が通っている。

そして、主に東側に冒険者ギルド、南側に商業ギルドや商店があるため、西と北側にこの町の住民が主に暮らしている。


また、この町の特徴として、貴族が暮らしていないということがあげられる。

それは、地球との小さいながらの交易を始めたことが原因だ。


想像力があり、貴族という者たちの本質を知っていれば、自ずとどんな問題が起きたのかが分かるだろう。

そのため、王都に住む国王に陛下に頼んで、この町から貴族や貴族の手足となって働く者たちを追い出したのだ。


無論、すべてを追い出すことに成功したわけではない。


そのため、警備兵を増やし日夜見回りをおこない、危険な場所への立ち入りを禁止したことで地球の冒険者へのちょっかいは減った。


だが、毎年何軒かは、被害届があるので要注意は必要だ。


それと、教会施設は、孤児院と併設しているので建てれる場所が決まっている。

そのため、東西南北の門が見えるところまで行かないと無かったりする。


「へぇ~、じゃあ東門の側に教会があったのか?」

「ああ、明日冒険者ギルドの依頼掲示板に行けば、教会からの依頼書も貼ってあるから、それを受ければ行くこともあるだろうな」


「なるほど、なるほど……」


悠太の奴、教会の依頼を受ける気でいるのか?

……教会からの依頼は、大変な苦労があるんだがな……。


まあ、今回はパーティーで受けるから大丈夫かな……。


「とりあえず、今日はもう帰るか」

「……そうね」


町の散策を終えて、俺たちは夕方の町を宿に向かって歩いて行く。


町のあちこちで、住民たちの喧騒が聞こえ、何かを焼く匂いが漂ってきた。

人が生活している匂いだ。


「クンクン……これは魚を焼く匂いね……」

「腹減ってきたな~」


「ねぇ西園寺君、こんな夕方からでも、町の外へ馬車や人が出て行くのね……」


日向さんは、遠くに見える東門を見ながら、疑問を俺に言ってきた。

確かに、日向さんが見たとおり、東門へ荷物を載せた馬車や冒険者らしき人たち、そして、大きな荷物を背負った人が歩いて行った。


あの人は、買い出しかな?

そして、その横を同じ速度で行く馬車の荷台には木箱がいくつも積み込まれていた。

その木箱が落ちないように、布をかぶせてロープでグルグル巻きにしている。


……異世界の生活を眺めるのも、いいものだな。




▽    ▽




一時間ほどかけて、宿の『吉宗亭』に戻るころには、辺りは暗くなり始めていた。

日はすでに沈んでおり、星がいくつか見えていたほどだ。


「こっちの夜は、星空がきれいだな……」

「そうね……」

「うんうん……」


空を見上げて、この世界の空気がきれいで星空の星の数が、地球とは段違いだ。

奇麗な星空に感心し、宿に入ると、受付の女性があいさつしてくれる。


「おかえりなさい。

夕食の準備はできてますから、鍵を受け取ってから食堂へどうぞ」

「ありがとうございます」


俺と日向さんが、それぞれ泊まっている部屋の鍵を受け取り、受付から右手にある食堂へ足を運ぶ。

実は、この宿では一人で食事したい人のために、食事を部屋へ運んでくれるサービスもあるのだが、今回は、みんなで食事したかったので、食堂でとることにした。


「今日の夕食は何かな~」


食堂に入り、みんなで席に着くと、悠太が周りを見て今日の夕食を確認する。

が、食堂には、俺たち以外いなかった。


「……俺たち以外いないな、康太」

「たぶん、一人で泊まっている人は部屋で食べているんだろ?」


悠太の質問を聞いて、日向さんも新城さんも周りをキョロキョロと見た。

そこへ、トレイに乗って夕食が運ばれてきた。



「お待たせしました、今日の夕食ですよ」


黄色いエプロンをした女性二人が、食事を運んできてくれた。

受付の女性とは違う女性達だから、食事専門なのかな?


それはともかく、今日の夕食のメニューは、『煮込みハンバーグ』だ。

これにサラダとパン、後はドリンクが付く。

パンをご飯にすることもできるが、ご飯は日本産、パンは異世界産になるから俺としては、パンをお勧めしたい。




今日は、ここまで。

いよいよ次回、冬休み2日目で異世界2日目。







第17話を読んでくれてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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