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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
異世界で過ごす連休
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第119話 鉱石ダンジョン脱出




鉱石ダンジョンの第十一階層で、俺たちは大型の岩石ゴーレムに勝利した。

今、そのゴーレムが砂になり崩れているところだ……。


「アンジェラさん、ルースさん、今回復しますね」


ゆっくり崩れていくゴーレムの頭から降りてきたアンジェラさんとルースさんの側により、治癒魔法をかけようとするサラさん。


「ありがとう、サラちゃん」

「アンジェラが終わったら、私も頼むよ……」

「はい」



俺たち全員が、崩れていく岩石ゴーレムの周りに集まる。

そして、砂と化したゴーレムの中から魔石や鉱石を探し出すのだ。



崩れていく砂は、ダンジョンが吸収していくようで、ザーという音とともに崩れ広がっていく端からダンジョンの床に消えていく。

その光景は、何度見ても不思議な光景である。


この鉱石ダンジョンに入り、倒していくたびに砂になり崩れていくゴーレム。

そして、崩れた砂はダンジョンの床が吸収していく。


後に残るはゴーレムの魔石と、おまけ的な鉱石類の岩石や原石。


「ほんと、このダンジョン、ちょっと変わった鉱山だよな……」

「だな。俺もこの光景を見るたびに、そう思えるよ」


いつの間にか、俺の側にいた悠太が、同意してくれる。

ジッと、砂になり崩れていく、さっきまで戦っていた岩石ゴーレムを見ていると、拳大の岩が砂の中から出てきた。


それも、一つではなく五つの岩石が出てきた。


さらに、岩石ゴーレムの胸の所からは、サッカーボール大の魔石が出てきたのだ。

その大きさに、発見した大輔の第一声でみんなが注目した。


「でけぇ!」

「さすがにこの大きさの岩石ゴーレムとなれば、あの大きさになるのか……」

「アンジェラさん!あれなら……」

「ええ、そうね……」


俺が、大きな魔石を見て感想をつぶやくと、治癒魔法をかけていたサラさんとアンジェラさんが、何か確信していた。


「悠太、その鉱石の鑑定結果はどうだ?」

「ん?え~と……」


ゴーレムから出てきた岩石一つ一つを手に取り、鑑定をする悠太。

詳しい知識がなくとも、それが何なのかは一応わかるからな、鑑定して何の鉱石か分かれば、アンジェラさんたちの依頼の採取品かもしれないし……。


……そういえば、アンジェラさんたちが受けた依頼って鉱石採取だよな。


「アンジェラさん、そういえば受けた依頼ってどんな内容なんです?」

「あれ?教えていません……でしたね」

「はい」


「すみません、私たちが受けた依頼はミスリル鉱石の採取です」

「ミスリル鉱石って、岩石ゴーレムからたまに出るらしいあの?」

「はい、そのたまに出る鉱石です」


それはまた、無謀な依頼を受けた……のかな?


「どれくらいのミスリル鉱石を集めるんですか?」

「一つです。いくら何でも複数採取は受けませんよ」


ならば、アリなのかな?

さっき相手にした大型の岩石ゴーレムではなく、小型の岩石ゴーレムだけを相手に戦えば……。


アンジェラさんから、依頼の内容を聞いて考え事をしていると悠太の鑑定が終わった。


「康太、ミスリル鉱石があったぞ」

「もしかして、五つ全部か?」

「そんなわけないだろ?

……この二つがミスリル鉱石だ。こっちの三つは銀鉱石だった」


悠太の鑑定結果を聞いて、アンジェラさんたちの顔が明るくなる。

これで、依頼達成だ。



「……これで、お役御免ですわね」

「ちょうど矢も無くなってたから、助かりました……」


そう安堵するのは、神田さんと内村さんだ。

そういえば、補給無しでアンジェラさんたちの依頼の手助けを引き受けたんだったな……。今考えると、なんて無謀なことだったのか……。


「この魔石はどうする?換金してみんなで分けるか?」


大輔が、サッカーボール大の魔石を抱えて相談してくる。

辺りを見れば、いつの間にかもう岩石ゴーレムは砂となりダンジョンに吸収され終わっていた。


「そうだな、倒した岩石ゴーレムはこのメンバーで倒したものだからな。

ギルドで買い取ってもらって山分けが普通だろ」

「やった、臨時収入だ」


俺の提案に全員が頷き賛同すると、エヴァさんが一際喜んでいた。


「それじゃあ、いったん外に出るか」

「そうだな……」


みんなでダンジョンの外へ出るため移動していく……前に、俺は悠太からミスリル鉱石を一つ受け取ると、アンジェラさんにそれを渡した。


「これは?」

「アンジェラさんが受けた依頼の採取品のミスリル鉱石です。

後の鉱石は、魔石と一緒にギルドに買い取ってもらって山分けということにしますので」


「……ありがとうございます!」


お礼とともに頭を下げるアンジェラさんに続き、ルースさんもエヴァさんもサラさんもお礼を言ってくれた。




▽    ▽




一応、ダンジョンを出るまでは油断できないのだが、この第十一階層には、たくさんの冒険者パーティーがいるため滅多に岩石ゴーレムに出会うことなく、十一階層に設置されていた転送陣で外へ出ることができた。


次に来るときは、レベル上げも終わったし転送陣で十一階層へ直接だな……。


「なあ康太、ダンジョンの探索期間って、ダンジョンに潜っている期間のことだよな?」

「ん?いや、違うぞ。ダンジョンを利用する期間のことだ。

この間、ダンジョンを自由にもぐったり出たりができる期間のことだよ」


ふむ、捜索隊の説明を聞いていたのかな?

ダンジョン探索期間をギルドに届けるのは、ダンジョンの出入りをスムーズにするのと、行方不明時の捜索を依頼として素早く出せるようにするためだ。


基本、ダンジョンにずっと潜って戦うことなんてできない。

どこかで外に出て、補給なり素材なりの売却をしないといけないのだ。

そのためのいわば、ダンジョン探索許可書、とでも言い直した方がいいかな。


それの期限付きの奴ということだ。

そのことを悠太に説明すると、何故か他のみんなも頷いて納得してる。


おいおいおいおい、みんな知らなかったのか?

ギルド職員に聞けよ。

聞けば、ちゃんと教えてくれるぞ?


まったく、分からないことは聞けば教えてくれるというのに……。

冒険者ギルドとは、冒険者の手助けをしてくれるところ。

ただ、依頼を斡旋してくれるところではないのだ……。





今日は、ここまで。

次回、依頼の達成と買取金額。








第119話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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