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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
異世界で過ごす連休
117/120

第117話 偶然の出会い




鉱石ダンジョンの第十一階層を、奥へ奥へと進んでいく。

他の冒険者パーティーの邪魔をしないように、進んできたわけだが、ここまで奥へ進むことになるとは思わなかった。


いろんなパーティーが岩石ゴーレムと戦っていたが、どのパーティーも安全に戦えているようだった。

このまま進めば、十二階層へ移動しなければならないかもしれない。


そんなことを考えながら進んでいると、通路の角から女性が飛び出してきた。

いや、女性というより女の子か?


「た、助けてください!」


俺たちは顔を見合わせ、通路の角を走って曲がる。

すると、そこには二体の岩石ゴーレムと対峙している女性冒険者二人がいた。



どちらもボロボロで、岩石ゴーレムと睨みあいながらゆっくりと後ずさりしている。


「康太、ここはヘルプだろ!」

「だな!悠太、神田さん、内村さんは遠距離から!

大輔と佐々木は俺と一緒に、ゴーレムとあの人たちの間にすべり込むぞ!」


「「「了解!」」」


この時ばかりは、全員の心が一つになったような気がした。

そして、俺はゴーレムと対峙している女性二人に声をかける。


「助けに入ります!よろしいですか?!」

「!お願い!」

「頼みます!」


その声を聞いて、俺たちは走り出した。

さらに、俺と大輔、佐々木が走り出したと同時に悠太たちの遠距離攻撃が始まる。悠太たちの放った矢が、岩石ゴーレムの顔面に突き刺さる。


『グオオオォォ!』

『グウウウゥ!』


二体のゴーレムが両手で顔を押さえて、動きが止まる。

どうやら、急所に近い場所に矢が刺さったようだ。


その間に、大輔が剣を構えて女性二人の前へ飛び出し、さらに俺と佐々木が、さらに飛び出してゴーレムの膝を横から衝撃を与える。


佐々木が攻撃した、ゴーレムの右膝はその衝撃でバランスを崩し、ゴーレムは大きな音をたてて倒れた。

俺が攻撃したゴーレムは、左膝をぶち壊し、バランスを崩してこちらも倒れてしまう。


「今だ!両ゴーレムの頭を狙え!」


俺の叫びに全員が一斉に、倒れて身動きがとれない岩石ゴーレムへ襲い掛かる。


大輔の剣がゴーレムの頭を、正面から突き刺し、悠太は魔導銃で攻撃し、神田さんと内村さんは、弓の至近距離攻撃、佐々木は鉄棒でゴーレムの頭を横から殴り、俺はハルバートで思いっきり薪割の要領で叩きつける。


それを見ていた、女性二人も持っていた剣でゴーレムの顔に突き立てた。


すると、その攻撃が本当のトドメとなり岩石ゴーレム二体は、砂になって崩れていく……。

後に残るは、それぞれのゴーレムの魔石と、体に隠されていた鉱石の原石が六個その場に残るだけだった。


「……た、助かった」

「はぁ~」


女性二人は、その場にしゃがみこんで生存を噛みしめている。

そこへ、角を曲がって飛び出してきた女の子も加わり、三人で喜んでいた。


俺たちは、ゴーレムの崩れた砂の中から魔石と鉱石を回収すると、喜んでいる女性たちに近づいた。



「だいじょうぶだったようですね?」


俺が声をかけると、三人は俺たちに気付きお礼を言ってきた。


「ありがとうございました」

「本当に、助かりました。ありがとうね」

「ほんと、助かりましたよ。ありがとう」


笑顔でお礼を言われると、どこか気恥ずかしいものがある。

少し、彼女たちと話してみると、どうやら四人でパーティーを組んでこのダンジョンへ来たそうだ。


鉱石採掘の依頼を受けここに来たものの、岩石ゴーレムの強さに満足に戦えず、引き返すところだったのだが、戦っていた岩石ゴーレムから逃げ出すことができずここまで連れてきてしまった。


しかも、二体目のおまけつきで……。


そんな話を聞いている時、俺たちが来た側の通路から声が聞こえ始める。

そして、角を曲がってきたのは一人の女の子とドワーフやケット・シーがいた冒険者のパーティー六人だ……。




▽    ▽




「いや、助かったんならいいんだ。気いつけてな」

「じゃあね~」


冒険者たちは、手を振ってダンジョンを戻っていった。

それを頭を下げて見送る、呼んできた女の子。


あの子が最後のパーティーの仲間か……。


「……あれ?君は確か、この町に向かう街道であった……」

「……ああ、馬に乗ってた冒険者さん」


偶然とは本当にあるもので、この女の子はこの町に来る途中で会った女の子だ。

名前を聞けなくて、今まで忘れていたけど思い出した。


「あの時はすみませんでした、いきなり声をかけてきて警戒してしまって……」

「いやいや、一人で街道を歩いていたから心配で声をかけただけだから……」


そして、お互いに頭を下げながら言い訳をする。

そんな俺たちに、女の子の仲間である三人が近づき改めてお礼を言われる。


「今回は、本当に助けてくれてありがとうございました。

私たちは、これから引き返します」

「引き返すって、依頼の鉱石採掘はいいの?」


そこへ悠太が、質問する。

依頼失敗は、違約金を払うことがあるんだ。ここで帰ったら、依頼失敗で違約金、なんてことになるかもしれないからと。


「心配してくれてありがとう。でも、自分たちの実力に合わない依頼を受けてしまったから……」

「何とかギルドと話し合ってみます」


ここで俺と悠太は、大輔たちを見る。

大輔たち四人は、視線をそらし口をつむぐ。

依頼失敗、大輔たちも経験がある事だ。もっとも、高木さんと一条さんの犠牲でその責務から免れたみたいだが……。


俺たちと一緒なら、岩石ゴーレムとも戦える。

依頼失敗ということはないと思われる。


………どうする?

俺と悠太は、大輔たちに決断をゆだねた……。





今日は、ここまで。

次回は、決断。








第117話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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