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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
異世界で過ごす連休

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第108話 初心者ダンジョンへの道




冒険者ギルドから馬車に乗り、目的地を目指す。

今回ギルドから、三台の馬車を借りている。一台は悠太たちが乗り、もう一台は日向さんたちが乗って目的地へ出発した。


最後の三台目には、俺と例の後輩たちが乗って目的地を目指す。

今回、後輩たちのレベル上げにふさわしいであろう場所は、ナブトの町から南にある初心者用のダンジョン『妖精の羽ばたき』だ。


ここは、地下へ潜るダンジョンでありながら明るく、歩きやすく罠がない構造となっている。しかも、出現する魔物もゴブリン、オーク、オーガと多種多様だが、すべて低レベルで出現する。


また、全階層も二十階層で終わり、まさに初心者向けなのだ。

冒険者ギルドでも、ダンジョン体験用としてダンジョン初心者のパーティーに勧めているほどである。


スキルの訓練をしていない後輩たちにはふさわしいだろうと、思っていたらこれだ。

防具も付けずに依頼掲示板の前で、何をはしゃぐ必要があるのか……。


俺が呆れてため息をつくと、りっくんという後輩がギルド正面の入り口にいた俺を見つけて手を振る。

その顔は笑顔で、緊張感がまるでない。


俺はもう一度ため息をつくと、後輩たちに近づいた。

後輩たちに近づくたびに、周りからの視線が集中するのが分かる。

……まあ、これだけ場違いな連中は目立つよな……。


「先輩、カッコいい鎧ですね~。それ革の鎧ってやつですか?」

「へぇ~、これがゲームでよく出てくる革の鎧か~」

「わぁ~、かったぁ~い。それに色が黒い~」


後輩の女二人が、俺の鎧を手で触りながら感想を言う。

……べたべた触りすぎじゃないか?


「君たちは防具はつけないのか?」

「あ~、実は俺たちの防具は消えちゃったんですよ~」

「そうそう、魔法陣で日本に帰ったらこの布の服だけになっていて、びっくりだよね~」


……こいつら、絶対人の話とか聞かないんだな。

防具外さずに、起動した転送魔法陣に飛び込んで、ギルド職員が驚き困った顔をしている光景が目に浮かぶ……。


俺は、自分の頭を押さえながら、後輩たちをある場所へ案内する。

それは、武器と防具を支給してくれる部屋だ。

本来なら、二度と来ることはない部屋だが、転送魔法陣で武器、防具を消してしまった者も訪れることができる。


ただし、消えてしまった武器や防具の代金は支払わないといけないがな。


後輩を連れて、武器、防具部屋に入ると、ちょうど担当していたギルド職員のシンシアさんがあいさつしてくれる。

もう1人は、人族の女性みたいだが初めて会ったな。


「おはようございます、シンシアさん」

「あら、おはようコータ君。でも、そっちからここに来るなんて何かあったの?」

「ええ、実は……」


俺は、後輩たちがしでかした魔法陣による持ち物消去を報告。

それを聞いたシンシアさんともう一人の職員女性は、同じように頭を抱えた。


とにかく俺は、後輩たちに武器と防具を選ぶように言うと、どれを使おうかと悩みながら選び始めた。

……自分で選んだスキルと同じ武器は選ばないのか?



「先輩、先輩、あのエルフとは知り合いなんですか?」

「ん?ああ、俺の仲間の時もお世話になったし……」


最初に武器と防具を選び終わったサンタという後輩が、シンシアさんのことで俺に質問してくる。


「先輩、こう言っては何ですけど、あんな美人とは釣り合いませんよ?」

「は?」

「ああ言う美人は、俺みたいなイケメンじゃないとね~」


……何言ってんだこいつは。

お前のどこがイケメンなんだ?と呆れていると、後輩全員の武器と防具選びが終わったようだ。そして、そのまま俺を残し、全員で部屋を出ていった。


……予想通りの行動だな……。

とりあえず、代金は初心者用ということもあって金貨一枚以内に収まる。

……後で、絶対回収してやる。




後輩を連れて、冒険者ギルドを出ると馬車が一台、用意されている。

これが、ギルドに用意してもらった馬車だ。


「全員、この馬車に乗ってくれ。

これから、レベル上げのためにダンジョンへ行くからな」


「おお、ダンジョン!」

「レベル上げといえばダンジョンが定番だよな~」

「ダンジョンって、洞窟でしょ~?暗くて、汚くない~?」

「私、臭い所嫌なんですけどぉ~」

「先輩、その辺大丈夫なんですよね?!」


……文句も多いが、何故そう睨んでくるんだ?」

特に、孝二とかいう後輩。俺に対して敵意むき出し過ぎだろう……。


「そこは初心者ダンジョンだよ。

レベル1から上げるなら、そのダンジョンしかないし、暗くて汚いとか臭いとか、そういう文句は聞いたことないぞ?」


俺の言葉に、渋々馬車に乗り込む後輩たち。

御者席に俺が座り、手綱でたたくと馬は静かに歩きだした。


「先輩、馬を操ることができるんですね~」

「一応な、何度か馬車で移動した時、御者をさせてもらったことがあったしな」


まあ、嘘なのだが……。

御者を何度かしただけで、馬を操ったりできるはずがない。

『馬操作』か『馬車操作』のスキルが無ければ、こんな馬車を操ることなんてできないのだ。


そう、俺はその二つのスキルを持っている。

スキルレベルはレベル1と低いが、持っていれば操ることができるので勉強して覚えたのだ。

馬車操作や馬操作は、車やバイクと同じようなものだ。


勉強して、実際操作して、スキルが身につく。

スキルが身につけば、ベテランの人にお墨付きをもらって終わりである。

早ければ1日で取れる、生活に便利なスキルでもある。


悠太たちと一緒に、土日を利用して取っておいて正解だった。

ほんと、どんなスキルがどんな時に役立つか分からないものである……。



これからナブトの町の南門を出て、二時間ほど進めば、初心者ダンジョン『妖精の羽ばたき』に到着する。

ダンジョン周辺に町はないが、集落はある。


初心者ダンジョンとはいえ、ダンジョンに違いはないので、何かあった時のための兵士の詰所や当番冒険者の休憩所などだ。

さらに、ポーションなどを売る雑貨屋も小さいながら店を出している。


そして、何故かその雑貨屋ではお土産がよく売れるという。



ガタゴトと揺られながら、馬車は進む。

案の定、後輩たちは、お尻が痛いと文句を言い出した。

何とかなだめて我慢させるが、五分ともたない。


そのため、休憩を入れながら進んだため、二時間で着くところが倍の四時間かかってしまった……。

これは、前途多難だな……。





今日は、ここまで。

次回は、初心者ダンジョンでの戦い。








第108話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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