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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
異世界で過ごす連休

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第107話 貧乏くじを引く




ゴールデンウィーク初日の土曜の朝、午前六時の駅前で俺は悠太と待ち合わせをした。今日から、みんなでレベル上げをするつもりだったのだが、昨日の夜の電話で状況が変わったのだ。


「おはよう、悠太~」

「おう、おはよう康太。悪いな、急にこんなこと言いだして……」

「いやいや、こればっかりはしょうがないだろう」


大きな旅行鞄を持ちながら、悠太が待ち合わせ場所に待っていた。

悠太が一番に、待ち合わせ場所にいるのは訳がある。

それは、昨日の電話で、新城さんたちから相談されたらしい。


いつ相談されたんだ?て聞いたら、俺が食堂に行っていた時だって。

……その食堂に行った後のこと、お前に相談しただろう?

何で、その時に言ってくれないかな……。


相談の内容は、高木さんと一条さんが、大輔たちとパーティーを組みたくないってことだった。

たとえレベル上げで俺たちと一緒だとしても、パーティーは嫌だそうだ。

特に、高木さんと一条さんを誘った神田さんと一緒だということが、我慢ならないとか……。


まあ、そんなわけで俺は、悠太にそのことを相談されパーティーを三つに分けることにした。


「昨日言ったとおり、パーティーを三つに分けて行動しよう。

悠太は、大輔、佐々木、神田さん、内村さんの四人と一緒に組んでレベル上げをしてくれ。どうしても戦闘に支障が出る場合は、真之介さんに連絡してくれ」


「え、真之介さん、向こうに来ているのか?」


実は、あの春休みのレベル上げから真之介さんは、異世界で冒険者として活躍しているらしい。

まあ、一応社会人だし、地球で定職についていたわけじゃないみたいだしな。


「ああ、依頼を積極的に受けて、冒険者としての経験を積んでいるそうだ」

「へぇ~、がんばっているんだな~」

「とにかく、悠太は大輔たちを頼むぞ?」


「分かったけど、スキルは大丈夫なのか?」

「大輔たちは、訓練済みだからスキルは問題なく使える。

戦闘に支障はないと思うぞ?」



そこへ、俺たちに近づいてきたのが、日向さんと竹原さんだ。

二人悠太と同じく、大きな旅行鞄を持ってきている。


「遅れてごめんなさい」

「すまん、待ち合わせに少し遅れた」

「大丈夫、大丈夫。打ち合わせに、少し待ち合わせ時間を早くしただけだから。

それに、打ち合わせって言っても、この連休のレベル上げでのパーティー編成を伝えるだけだしね」


申し訳なさそうにしている日向さんと、竹原さんをなだめて、この連休中のパーティー編成を伝える。


「えっと、日向さんたちは、高木さんと一条さんを加えて、日向さん、新城さん、竹原さん、市原さん、高木さん、一条さんの六人でパーティーを組んでレベル上げをお願いします。

それと、ある程度レベル上げをしたら、冒険者として依頼を受けて経験させることも忘れないように」


「分かったわ」

「了解」

「分かった」


三人が了承すると、日向さんが俺のこの連休の行動を聞いてくる。


「西園寺君がパーティーに入ってないけど、別行動?」


……あ、後輩のことは悠太にだけ知らせてあったんだっけ。

というわけで、一連の同好会の後輩の件について話しておく。

案の定、日向さんも竹原さんも怒りだした。


それを、俺と悠太でみんなが集まるまで、なだめていた。

ただ、集まってくれば必ず日向さんと竹原さんの機嫌が悪いことが気になるのか、俺と悠太に聞いてくるのだが、それは向こうでと今は触れないようにお願いをしておいた。


そして、全員集まったところで、冒険者ギルドへ出発である。




▽    ▽




異世界側の冒険者ギルドで、無限鞄から自分たちの大きな旅行鞄を取り出し、それぞれが自分のアイテムボックスへ収納する。

その後、打ち合わせしておいたパーティーに別れて、この連休を過ごすことになる。


「それじゃあ西園寺君、何かあったら絶対連絡してね?」

「そうだ、絶対に連絡しろよ?」

「あ、ああ、その時は頼むよ……」


日向さんと竹原さんの迫力がすごい。

後ろの新城さんたちが、訳が分からずに困っているほどだ。


「じゃあ康太、俺たちも行くよ。

大輔たちのことは任せておけ、ちゃんと支払わせるからな!」

「……ああ、休憩はちゃんと取れよ?効率が悪くなるぞ?」

「おう!」


悠太は、少し落ち込む大輔たちを連れて西へ向かって行った。

レベル上げと素材や宝物確保のために、ナブトの町から西へ行った『コブト』という町にあるダンジョンへ行くそうだ。


『鉱石ダンジョン』と呼ばれているが、本当の名前は違う。

でも、そこの魔物はほとんどがゴーレムで、洞窟型であるためいろんな鉱石が採れるらしい。中には、宝石の原石もとれるとか。


大輔たちが、高木さんと一条さんに支払うことにしたお金を稼ぐには、うってつけだろう。

ただ、それで許されるかは別問題だけどな……。



「ハルちゃん、私たちも行こう」

「そうね。それじゃあ西園寺君、行ってきます」

「ああ、行ってらっしゃい」


俺と日向さんは、お互い手を振って別れていく。

それを竹原さんがからかい、少し言い争いになっているけど……。


日向さんたちは、東へ向かうことにしたそうだ。

『ポック村』のさらに先にある『オール村』という所が、目的地になる。

その村の南側に広がる森で、レベル上げをするらしい。


何でもその森には、ゴブリンやオークなどの人型の魔物はいなくて動物系の魔物が出るんだとか。

しかも、薬草なども採取できるので、一石二鳥だよと日向さんが笑顔で報告してくれた。


……まあ、大丈夫だろう。

何かあれば、すぐに撤退するって言っていたし……。



さて、問題は俺の方だな。

現在、午前八時ちょうど。冒険者ギルドの前で待っているのだが、後輩たちは一向に姿を見せない。

何かあったのか、それとも忘れているのか……。


とりあえず、今のうちにギルド内でポーションなどを購入しておくか。とギルドへ入ると、依頼掲示板の前でワイワイしゃべっている後輩どもを発見。


……しかも、防具も付けずに布の服のままだ。

その光景に、マジで頭痛がしてきた……。





今日は、ここまで。

次回は、初心者の後輩を連れて行けるダンジョンへ。








第107話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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