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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
高校生の日々を 2

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第105話 めんどくさい新入生




午前中の授業が終わり、昼食をと席を立ち食堂へ向かう。

今日は、母親から弁当の代わりにお昼代としてお金を渡されたのだ。


……昨日、飲み過ぎるから寝坊するのだ。

そういえば、今朝は父さんも慌てて家を飛び出していったっけ……。


弁当組の悠太たちに挨拶を済ませ、教室を出て食堂へ向かう。

すると、一階に降りる階段の途中の踊り場で、新入生の女子二人に声をかけられた。


「あの、冒険者同好会の先輩ですよね?」

「少しお時間、よろしいですか?」


……まあ昼休みは始まったばかり、時間もあるし大丈夫かな。

少し怪しいけど、同じ同好会のメンバーだし。と軽い気持ちでついて行った。


まあ、これが間違いのもとだったんだけど……。




彼女たちについて行くと、一階の端にある教室に連れて行かれる。

そこは、あまり使われていない教室で、どこかの同好会が月に一回使うような寂しい教室だった。


そんな教室に入ると、五人の新入生男子が椅子に座って待っていた。

しかも、教室の後ろにまとめてある机と椅子の中から、椅子だけを持ってきて車座に置いて座っているのだ。


俺はこの時、ピンと来たね。めんどくさいことになりそうだと……。

案の定、二人の女子は俺を無視して男子たちに声をかける。


「お待たせ~、同好会の先輩、連れて来たよ~」

「この三年生でしょ?りくっちが探していたの」


すると、その声を聞いて、一番手前の椅子に座る男子が笑顔でお礼を言った。


「ああ、サンキュ~。

この先輩で間違いないよ、視聴覚の一番後ろで女子の先輩に囲まれて偉そうにしてた先輩だ」

「おいおい、流石異世界。やっぱハーレムは夢だよな!」


そしてしゃべらない他の男子三人が、俺を睨む。

こいつら、新入生か?それに、先輩への態度じゃないだろう……。


「あ~、何か質問があるんじゃなかったの?」


俺が、男子の側に移動した女子二人に向かって言うと、バカにしたようなセリフが返ってくる。


「はぁ?いつ、あたしたちが質問があるからって言いました?」

「先輩、私は少し時間ありますか?って言ったんですよ?」


そう言うと、バカにしたような声で笑う。

……初めて聞いたな、キャハハハッて笑う女子高生の声。

まあ、教室に入ってきたときから、嫌な感じはしていたからいいけどね。


「まあいいけど。それで、俺に何か用事があるのか?」

「あぁ?あるから呼んだんだろうが、ボケ」


……だから、先輩に対するセリフじゃないだろう?

そう俺が呆れていると、それが態度に出ていたんだろう、俺を睨んでいた三人が座っていた椅子を倒すほど勢いよく立ち上がり、俺に近づいてきた。


……普通の高校生なら、ビビるところなんだろうけど、異世界で魔物を相手にしている冒険者からすると、迫力が足らないんだよね。

後輩の睨みより、ダンジョンのオークの睨みの方がよっぽど迫力がある。


いや、ゴブリンの睨みも負けていないだろうな……。

そんなことを考えながら、後輩三人の睨みを黙って受けていると、女子高生二人が側にいるりくっちと呼ばれた男子生徒が、椅子に座ったまま俺に睨みをきかせている男子生徒三人に声をかけた。


「孝二、晃、真也、そう睨むなよ。先輩が声も出せずに、困っているだろ?」

「チッ」

「すみませんね、先輩。異世界だと強い先輩も、こっちじゃ普通の高校生ですものね~。それはビビりますよね~」


女子生徒に、りくっちと呼ばれた男子生徒がこちらをバカにした態度で、睨んでいた男子たちを下がらせた。

こいつらの認識だと、やっぱり冒険者効果を知らないんだな……。


ということは、俺は異世界では強い冒険者でも、地球では見た目通りの弱い高校生に見られているのか?

……確かに、俺の見た目は普通の高校生だ。


イケメンだとか、筋肉質だとか、背も悠太より低いしな……。




「先輩、そろそろ本題なんですけど、いいです?」

「……ああ」


名前の分からない最後の男子生徒に、本題の話をされる。

まあ、こいつらの本題は、異世界でのレベル上げのお願いだ。深夜のテレビでの特集を見て冒険者になり、異世界で好きなことができるかと思いきや、チートスキルが無くてレベルも一から上げなくてはならない。


ものすごくめんどくさい!

何かないかと、考えていると同好会のことを聞きつけ入会。

レベルの高そうな先輩に、レベル上げを手伝ってもらえば苦労しなくて済むとゲームのように考え、俺に目をつけたらしい。


「……一つ質問があるんだけど……」

「はい、何ですか?先輩」

「異世界で俺のレベルが高いこと、どうやって知ったんだ?」


そう質問すると、後輩たちは顔を突き合わせて笑い出した。

そして、答えてくれる。

俺のレベルを教えた犯人が悠太であることを……。


はぁ~、しょうがない奴。

同じ同好会メンバーでも、教えていい情報と秘匿するべき情報とあるだろうに。



「それじゃあ先輩、俺たちのレベル上げ、手伝ってくれますよね?」

「……おいおい、『断る』、なんて言わねぇよな?」

「先輩?無事レベルが上がったら、チューしてあげましょうか?」

「先輩、童貞みたいだし、ね?」


……悪かったな、童貞で。

しかし、レベル上げねぇ。レベルが上げるだけで、強くなるって思っているのかな?こいつら……。


「ちょっと聞いておきたいんだけど、いいかな?」

「んなことより、受けるのか受けないのかはっきりしろよ!」

「てめえが断ったら、次のやつ連れてこねぇといけねぇんだよ!」


俺以外の候補がいるのか?……誰だろ。


「まあまあ、それで、質問って何です?先輩」

「レベルを上げるにしても、どれだけ上げればいいんだ?」

「ああ、これは俺たちのミスだったな。

でも、レベル上げに時間がかかりすぎてもつまらないからある程度で構わないですよ」


「サンちゃん、上げれるだけ上げてもらえばいいじゃん。

その方が楽できるっしょ」

「それじゃあ、面白くないって。だから、レベル五十辺りまで、お願いできますか?」


レベル五十ねぇ、こんなやつらを一緒のパーティーに入れて?

………めんどくせぇ~。


「で、どうします?お願い、聞いてくれます?」


椅子に座って俺をバカにした視線で見ている、りくっちとサンちゃん。

俺をずっと睨んでイライラしている、孝二、晃、真也。

これまたニヤニヤと、上から目線で見下している女子生徒二人。


多分、断ったら、即、ボコボコにするつもりなんだろう。

はぁ~、変なのに掴まっちゃったな……。





今日は、ここまで。

次回は、俺の返答と次のいけにえ?








第105話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

後、誤字脱字報告、ありがとうございます。

大変助かっております。これからもよろしくお願いします。

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