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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
高校生の日々を 2

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第103話 冒険者同好会




入学式も滞りなく終わり、新学年が始まってしばらくしてある同好会が発足した。

その名も『冒険者同好会』。

三年生を中心に、四十人からなる同好会だが、部への昇格はない。


それも仕方ないだろう、何せ、学校と関係ない所での活動が主なのだから。


同好会を作るときに、先生に相談した同好会創立メンバーは、こんな大人数が集まるとは思わなくて驚いたという。

さらに、顧問になった先生曰く、学校外で集まって何か犯罪めいたことをされるより、教師の目の届くところで活動してもらった方がましだと。


確かに問題が起きれば、学校の責任に………なるのか?

活動場所は、異世界なんだがな………。



とりあえず、今日はその『冒険者同好会』初の顔合わせだ。

学校の教室でというわけにはいかず、視聴覚室を借りたらしい。


「なあ康太、俺たちは俺たちで冒険者として過ごせばいいんじゃないの?」

「そうね、何もこんな同好会に入らなくても……」


悠太と竹原さんが、俺に文句を言う。

ならば、一緒に入会しなければいいのに……。


視聴覚室の中は、たくさんの入会者で溢れていた。

確か四十人ほどと聞いていたが、こうして集まってみれば、六十人はいるんじゃないかというほど視聴覚室いっぱいに人がいる。


同好会の入会条件に、冒険者であることと記載されて募集していたのにもかかわらず、この人数が集まったということは、どれだけ冒険者が世の中にあふれているのかってことだ。


勿論、この中に見知った人物もいる。

大輔たちや同じクラスの同級生、さらに新入生も何人かいるようだ。


悠太と竹原さんが、ブツブツと文句を言い、それを日向さんと新城さんに市原さんがなだめている。

俺は、そんなやり取りを横目に見ながら、この視聴覚室に集まった生徒たちを観察していた。



「はい、冒険者同好会初の打ち合わせを始めますよ~」

「みんな空いてるところに座ってね~」


視聴覚室の一番前にある扉が開くと、四人の生徒と一人の教師が入ってきた。

多分あれが、この同好会の代表たちと顧問の教師だろう。


集まっていた生徒たちが座り、教壇にいる代表たちを注目すると、自己紹介し始めた。


「まずは、この冒険者同好会に入会してくれてありがとう。

この同好会の代表責任者の『須藤 洋二』だ」

「私は副代表の『飯島 翔子』です。

こっちは代表補佐の『岡本 幸太郎』君と同じく代表補佐の『神田 音香』さん」


そして、副代表の飯島さんが顧問と思われる教師を見る。


「ん、あ~、俺がこの同好会の顧問をすることになった、一年四組担任の『斎藤』だ。

去年の二年四組の生徒とはおなじみだな、よろしく頼む」


……良く見えなかったが、本当に一年と二年の時の俺たちの担任の斎藤先生だ。

確かに、斎藤先生って部活の顧問とかしてなかったよな……。



「それでは、自己紹介も終わったので、これからの同好会の活動内容だが、その前にこの同好会を作った理由を話しておこう。

理由は簡単だ、冒険者になり、異世界へ行ったことがあるものなら分かるだろう。


情報が少ないということに。


確かに、ギルドの職員たちは質問すれば答えてくれるが、それは質問したことだけだ。

RPGのゲームをしたことがあるものはわかるはずだ。

武器や防具、さらにアイテムなどの情報。どんな効果があるとか、だな。


それに魔法の種類や依頼などの攻略情報。

プレイヤーでなければ分からない、気づかないことがある。

そんな情報をこの同好会メンバーで共有しようというのが、この同好会を作った理由だ」


須藤代表がしゃべり終わると、飯島副代表が入れ替わるように教壇に立った。


「私たちには、情報が少なすぎるのよ。

みんなも冒険者として活動したことがある人は、わかるんじゃないかしら?

そこで、この同好会を通して情報を交換しようというわけ。


今、ネットで掲示板でも立ち上げればいいんじゃないか?そう考えた人はいないかしら?

確かに、ネットの掲示板には、『駅前冒険者ギルド』という掲示板があるわよ。

でも、そこに質問しても、答えてくれるのは五割にも満たないわ。


ほとんどが、自分で何とかしろよ。そう返ってくる。

場所は異世界よ?地球じゃない。分からないことはすぐに死に直結するかもしれない場所。だからこそ、情報交換を目的としたこの同好会を私たちは作ったの。


同好会に入会したみなさん、自分の命を守るため、ここにいるみんなの命を守るため、協力してください」


飯島さんが頭を下げてお願いする。

そのお願いに、同好会参加者全員が拍手をもって同意した。


「ありがとう」



再び須藤代表が教壇に立ち、今後の方針を告げる。


「まずは、学校指定の冒険者同好会専用の掲示板を立ち上げた。

質問や依頼の攻略など、聞きたいことをそこに書き込んでくれ。

答えられる人や、アドバイスができるものがそれに答えていくという形をとる。


また、みんなそれぞれでパーティーを組んでいると思うが、パーティーメンバー募集の書き込みもお願いしたい。

異世界はソロでは厳しい世界だからな。


後、パーティーを組んでいるなら代表を決めておいてくれ。

それとパーティー名もついでにな。もし、こちらからお願いすることがあった時、分かりやすいからな。


今月中に代表がパーティー名とともに、同好会代表の俺か副代表の飯島に教えてくれればいいからな。

今月の同好会集会の内容はこんなところだ。

分からないことがあれば、掲示板に質問してくれ。俺か副代表の飯島が答えるから」



そう言うと、顧問の斎藤先生が、同好会打ち合わせの終了を宣言し、解散となった。


「……なあ、この同好会の活動内容って何なんだ?」

「悠太、話聞いていたか?」

「あ~、すまん。私も分からんかった……」


「竹原さんもか……。

つまり、この同好会で冒険者活動の情報交換をしようってことだ。

自分から情報を見つけるには、危険なことが多すぎるからってところだろう」


俺の説明で、悠太をはじめ竹原さんも納得している。

まあ、分からないでもないんだよね。


異世界である向こうの世界は、俺たち地球人からは未知の領域だし、生活習慣から違うしな。魔物が当たり前にいる時点で、全く違うんだけどな……。


俺は、さっそく携帯で『冒険者同好会』の掲示板を探す。

ほどなくして、見つかった。

そして、さっそく書き込みや質問が寄せられている。


が、まずは俺たちのパーティーの代表と名前を考えなくては……。

まあ、代表は俺がすることになるだろう。

このメンバーの中で一番古参であるし……。


問題は、パーティー名だな。

痛い名前にならないように、考えないとな……。





今日は、ここまで。

次回は、同好会へ提出のパーティー名決定か?








第103話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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