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駅前に冒険者ギルドが出来ていた  作者: 光晴さん
高校生の日々を 2

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第100話 真之介さんが行く 2




「名前、聞いてもいいか?」

「私、キリカ」

「僕は、アルバンといいます」


この子たちは孤児院でも仲のいい友達で、大きい方の男の子がアルバン、小さい女の子の方がキリカという。

ともに七歳らしいのだが、どう見ても女の子の方が小さく、年下に見える。


多分、孤児院で食べれてないというのは本当のことなのだろう。

……とりあえず、暗くなってきたし送って行くか。

いくら人見知りの僕でも、こんな子供をこの場に置いて帰ったりはしない。


「暗くなってきたし、君たちの孤児院に送って行くよ」

「……うん」


アルバンとキリカは、お互いの顔を見て、僕に返事をした。

誘拐されるとか思ったのかな?

……まあ、地球なら即通報レベルだからな……。


とにかく、僕たちは子供二人の案内で、孤児院へ歩いて行く。

場所はどうやら南の方にあるみたいだ。




▽    ▽




中央広場から、南門へ向かって歩いて行き、途中の今はもう閉まっている雑貨屋『バルガンの雑貨屋』を左へ曲がる。

すると、大通りとは違う路地が真っすぐ続き、井戸と水飲み場が一緒になったところで道が三つに分かれていた。


「こっち……」

「こっちだよ、おじさん」


アルバンが指さして案内しようとしたら、それよりも早くキリカが僕の手を引いて案内しようとする。

その行為にアルバンは、少し面白くなさそうだ。


どうやら、キリカは積極的な女の子で、アルバンは人見知りがある男の子ってところかな?

どこか、共感できるアルバンと、積極的に案内してくれるキリカ。


三つの道の左の手前の道を進むと、今度は小さな橋があった。

下を流れるのは人工的な川。

辺りは暗くなっているのに、ここには街灯があり、その明かりで確認できる。


この町、要所要所に街灯が設置されている。

その街灯は、どうやら魔道具みたいだ。

……うまくできているんだな……。


小さな橋を渡り、さらにまっすぐ進むと街灯に照らされた教会の入り口が見える。

そこは、小さな教会で街頭に照らされた門を入ると、教会に入る木でできたドアが見えた。教会の中は、まだだれかいるのだろう、灯りが漏れている。



―――ドンドン。

「シスター、ただいまー」

「ただいま、シスター」


キリカが木のドアを思いっきり叩き、声をかけた後アルバンも声をかける。

すると、すぐにドアが開き、そこには二人のシスターが現れた。


「キリカちゃん!アルバン君!」

「よかった!帰って…き……た?

……えっと、どちら様でしょうか?」


二人のシスターは、キリカとアルバンを見て安心した後、僕を見て困惑した。

まあ、当然な反応だろう。


「私は、真之介といいます。冒険者をしています。

中央広場で、この子たちを見つけて声をかけたところお腹が空いてて動けなかったようなので、私のお昼の残りを与えました。

で、この時間に、二人だけで帰すわけにもいかなかったので、送ってきました」


「それは、本当にありがとうございます」

「キリカちゃん、アルバン君、黙って出て行ったらダメでしょ?

みんな心配していたんだよ?みんなのところに行きましょう?」


「「は~い」」


僕の応対をしてくれるシスターは、頭を下げてお礼を言ってくれた。

そんな応対を横目に、もう1人のシスターはキリカとアルバンに注意して奥へ行くように促す。


キリカとアルバンは、それに従い、教会の奥へと進んでいった。

それを見届けてから、僕に向かって頭を下げてお礼を言ってくれる。


「ありがとうございます。わざわざ送ってもらって……」

「あ、いえ、夜道は危険だと思ってやっただけですから……」


シスター二人が、僕に頭を下げてお礼を言ってくれることは、貴重な経験だ。

……そういえば、キリカとアルバンが言ってたな……。


僕は、アイテムボックスから、前回のオークダンジョンでの報酬の一部である金貨100枚を革袋に入れて取り出す。

結局、何も買うものが無くてそのままだったけど、こういうことに使うのがいいと思うんだよね。


「あの、孤児院の今の状況を子供たちから聞きました。

これ、あぶく銭ですが、孤児院のために使って下さい……」


僕はそう言って、シスターに革袋を手渡した。

その行為に、すぐにお礼を言いそうになるシスターの後ろから、もう1人のシスターが革袋を手に取り中身を確認する。

そして、中身を二度見して驚き、それを見ていたシスターはお礼の途中で詰まっていた。


「あの、ありがと……う………」

「……こ、こんなに?」


……金貨100枚は、さすがに多いか?

でも、今さら少し減らしましょうか?とは言えないしな……。



少しの間、シスターたちの時間が止まっていたが、すぐに復活して手前のシスターは、すぐにぼくに向かって断りのセリフを言おうとしてもう1人のシスターに止められる。


「あの、こんなに受と、むグゥ!」

「こんなにたくさんの御寄付、ありがとうございます!

……ところで冒険者様?」


「冒険者様?」


いきなりの様づけに驚いた。こんなにも態度が変わる人は久しぶりに見たよ。

やっぱり、常識はずれな金額だったみたいだ……。


「はい、冒険者様。今夜の宿はもう決まってますか?」

「いや、まだだけど……」


今日は、地球に帰るつもりだったから、宿はとってないんだよな。

なんでそんなことを?


「なら、今日はここに泊まりませんか?

簡単な夕食しか用意できませんが、寄付のお礼をしたいのです」


……なんだろう、どこか期待している展開が……。

いいのかな?物語の主人公のような展開で……。


「いいんですか?」

「はい、どうぞ。

シスターニーナ、お部屋に案内してください」

「………はい」


シスターニーナさんの顔が赤いような……。

これは、ひょっとして、ひょっとするの……か?


シスターニーナに案内されて、教会の奥にある部屋に案内された。

案内されている時に聞いたのだが、孤児院はここからさらに奥に行くと教会の裏手に出て孤児院の建物に繋がっているそうだ。



シスターに案内された部屋は、質素でベッドが1つと机に椅子が1つだけの本当に何もないシンプルな部屋だ。

そこに案内され、シスターニーナは下がっていった。


ベッドに座り、二十分ほどしてドアがノックされる。


―――コンコン。

「夕食をお持ちしました……」


そう言ってドアを開けて入ってくるのは、シスターニーナ。

しかもその服はシスターの服ではなく、薄いネグリジェのような服だ。

ただ、スケスケではないが、体のラインはしっかりと確認できる。


普段は見えない髪も、金髪の長い髪がおろされていて少し水気を帯びているようだ。

もしかして、洗ったのかな?


持ってきてくれた夕食も、パンとスープに水という質素なもの。


そして、僕がその夕食を椅子に座って食べる間、シスターニーナはベッドに座ってこっちを見ている。

これはもう、そういうことなのだろうか?

僕の頭の中で、いろんなエロイことが駆け巡っていた時、シスターニーナが声をかけてきた。


「……あの、真之介様?」

「ひゃ、ひゃい?!」


………めちゃくちゃカッコ悪い返事をしてしまった。

これは、この歳になるまで女性経験が全くない男の、悲しい性なのか?





今日は、ここまで。

次回は、シスターとイチャイチャ……?








第100話を読んでくれてありがとう。

次回もよろしくお願いします。

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