夕焼けの帰路
夕焼けのオレンジの光が、教室の中に流れ込んでくる。
そこで俺は、彼女を待っていた。
先月から付き合い始めたが、そこから中々進展がない。
そんな関係をどう変えようと、考えていた時に、彼女が教室の中に入って来た。
「ごめんね。先生に呼ばれて少し遅れちゃった」
「別に良いよ。先生に呼ばれてたんだったらしょうがないしね」
週に1、2度は先生に呼ばれて彼女は遅れて来る。
それでも、俺は気にはしていなかった。
クラスの中でも彼女は優しいと評判だ。
俺はそこに惚れて告白したわけでもあるし。
「それじゃあ、帰ろっか」
こうやって言いながら笑う彼女が、あまりにも可愛らしくて、俺は気にする気にもならなかった。
校舎を出て、俺たちはいつもの帰り道を歩いていた。
「今日は何処かに行くの?」
そう、彼女がおもむろに語りかけて来た。
「いつもの大きな木がある広場に行こうかなって思ってるんだけど………」
「そうね。そこに行きましょう」
いつもこんな感じだ。
彼女が俺に話しかけて、それに俺が答えて、それに彼女が賛同する。
そして、帰りは何もない限り、二人で何処かに行く。
それが俺たち二人の帰り道だった。
………この町に住む人なら誰もが知っている広場がある。
その広場の丁度中心あたりに、一本の大きな木がシンボルとして植えられている。
なぜ植えられたのかは誰も知らないが、そこは住民たちの憩いの場となっていた。
そして、町を見守っているようなところから、この木は《母親の木》と呼ばれていた。
この町の住民は、この木の下で待ち合わせたりしている。
俺たちは、そんな木の下で座り込んでいた。
ここに二人で来るのは、先月にここで告白して以来だった。
「そういえば、ここで告白してくれたんだったよね」
全く同じことを考えていた。
そして、それを真っ先に言われた。
「そうだな。……………なあ」
「何?」
俺は大体彼女に引っ張られている気がする。
だから、思い切って言ってみた。
「休日とかもどっかいかないか?」
言いたいことと全く違うことを言ってしまった。
ただ、そんな俺の言葉に彼女は少し驚いていた。
次第には笑い始めていた。
「何かおかしいことを言ったか?」
「いいえ、何もおかしいことを言ってないよ。ただ、私達付き合ってるのに全然遊びに行ってないから、可笑しくなっちゃって」
薄々築いていたことを言われて、俺も少し笑ってしまった。
「じゃあ、今週の日曜にでもどっか行くか」
「ええ、そうね」
それから、俺たちは会話をすることが徐々に増えていった。
休日にどこかへ行く機会が増えたし、何より毎日が楽しい。
それに、俺から何かを発言することが増えたし。
それも、あの日の帰り道、《母親の木》の下で彼女と話した事のおかげだろう。
俺はあの日のことを忘れることはなかった。
こんにちは、澪です。
先に謝罪させて下さい。すいませんでした。
タイトルとかタグの通り、この小説は練習用です。
あと、気が向いたら書くやつなんで投稿ペースがすごく遅いです。
この作品を読んだら、自分の他の作品も見てみて下さい。
それでは、次回をお楽しみに!