過去
ガンガン、ガンガン、ガンガン、ザッザッザッザッザ
何かを削り何かを払うような音が聞こえる、その男の周りには鉄格子があり、もう1人の男は外を見張っている。時間は夜中で周りは静かだ。
「おい、神崎、警備が来たぞ」
「そうか」
そう言いながら2人は自分の布団で寝る、布団と言っても畳の上だけの様なものだ。冬になると寒すぎて死にそうになる、夏は意外と涼しい。
「おい、起きているのか」
警備員が2人に話しかけるが2人は反応しない、そして警備員は去って行く。
「いったか?」
「いったな」
「それより、長野、お前の声がでかい」
「すまない」
2人の名前は神崎信実と長野吉晴だ、2人はこの監獄で知り合った
「最初の頃は、俺にすまない、なんて言わなかったのにな」
「自分より上の存在にはそれなりの態度を示す」
「なるほどな」
そう言いながら信実は2年前のことを思い出す。
「なんなのよ!貴方達は、私たちに何がしたいの?」
「俺はただ、君のそして世界のことを確かめた、それだけのことさ、お前らには理解できない様だな」
「そんな理由で、私の親を、そして世界をこんなことにしたって言うの?」
「君には理解できないさ」
「昔はあんなに人思いで優しかったのに、返してよ!私の気持ちを!」
そう言いながら彼女は引き金を引く、そしてそれが信実にあたり、目の前がクラクラする。
信実の意識がなくなる前に見たのは泣きながら自分にキスをしている彼女の姿だった。
そして気がつくと信実は処刑台の上にいた。
周りの人からは石や瓶などが投げられてくる、
だがどれも信実には届かない
「えぇー、それではこれから神崎信実の処刑を行う」
「やれ!!!」
「殺せ!」
「そいつは死ぬべきだ!」
そんな声が聞こえてくる
「うむ」
偉い人?が人々に返事をすると処刑台にいる2人の男が俺の左右に立つ
「俺はお前のやった事を間違いだと思う、だが後悔はしていないんだな?」
「あぁ、」
「おい、喋りかけてんじゃねーよ、こんなゴミに」
「そんな言い方はよせ」
「チッ!わかった、やるぞ」
「あぁ」
そして2人が構えたときに、偉い人?が言う
「神崎信実よ、最後に何かあるか?」
「あぁ」
「では、述べてみよ」
「お前らは何もわかっちゃいない、この世界が何をしようとしていたのか、そしてただ利用されていただけだということも、、俺はここに告げるこの世界は器でしかない」
「やれ」
そして剣が振り下ろされようとした時
眩い光が処刑台ごと包む、そこに残ったのは黒影になった2人の死体だった。